大脱走だ!しかもちゃんと起承転結できっちり落ちて終わっています!ありえねえ恩田陸!(ものすごい暴言)。

『ロミオとロミオは永遠に』恩田陸、ハヤカワSFシリーズJコレクション。読みました。面白かったです。サブカル好きにはたまらん話です。ジャンプの三大テーマって努力友情勝利だったと思ったけどなー。正義友情勝利だっけ?うわー、混乱してきた。
で、サブカルに対するオマージュとか言ってますがパロディにしか見えない私。パスティーシュって何だっけ。いやーしかし、アレだ、とても素敵だ。恩田陸芸風広いな。むしろこういう話を書いてたほうが良いんじゃないのかなー。文庫で読んだ分で培ったイメージがガタガタと音を立てて良い方向に崩れて行きます。いやそういじゃなくてさ。何が言いたいのかと言うと、ちゃんと結末があって、お話としてこれ以上無いほどきちんと終わっていますよと、それを叫びたい。世界の中心では愛しか叫べないので布団の中心辺りでこそっと。
難関試験を苦労して乗り越え、憧れの学園に入学してみたら聞くと見るでは大違い、百聞は一見にしかず、なんとか天国なんとか地獄、恐怖の管理型労働地獄に叩き落されちゃった少年二人が主人公。学園のありように疑問を持った人間が幾度も脱出を試みているが、警備が格段に厳しくなった最近では成功例がない。しかしそこはそれこれはこれ、彼らは脱走するのです。トンネルを掘って、空を目指して、輸送用トラックに忍び込んで。待ち受ける数々の苦難と困難とアクシデントと仲間の脱落を乗り越えていく。青春だー。脱出した先に何が待つのかは誰も知らない。ただ、「成仏する」と言う言葉がまことしやかに囁かれ、脱出に成功したものは日本の何処を探しても見つからない。煙のように消えてしまうその「成仏」の謎に迫るのと同時進行で脱出の手筈は着々と進行していく。
主人公二人組みの友情もいいですよ。内通者のあっと驚く正体も良い。時々、描写が足りなくて何が起こっているのか把握しづらい箇所もあったりしますがその程度は軽く読み流してスルー。サブカルに詳しければ一粒で三度おいしい『ロミオとロミオ』。恩田らしからぬキャラクター造形が好感度高めで「恩田陸は登場人物が少女小説っぽい」と敬遠している向きにもお勧めできる一品。

ちなみにサブカルに理解の無いみじんこ母は意味がわからなくて途中で投げたそうです。面白いのになー。サブカルわからなくても青春群像で脱出劇として読めば盛り上がること請け合いなのになー。勿体無い。

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