「GOD SAVE THE QUEEN」というサブタイトルが美しい、森博嗣、幻冬舎。
森博嗣読むのは久しぶりだー。このひとは「新本格」に入るのだったかしら。そこら辺の分類ってよくわかりません。でも今回は伏線が残らずきちんと回収されていて、気分良く本を閉じることが出来ました。頭悪いから明言されていないと理解できないままの事がよくあるのです。
以下だらだらと感想。
ハードカバーの時はいつも装丁が美しいですね。この独特の雰囲気がいい。一人称が「僕」で機械のパートナーと旅するミチルを見て、なんとなく『キノの旅』を連想。物語に徹底的に噛んでいるところは全く似ても似つかないんだけれども、どこかずれたところが彷彿とするのかもしれない。「語り口」だけ見ると長野まゆみみたいだとか、好き勝手最近読んだ本を思い出してました。「カーボン・ファイバの耐久性なんて、高が知れている」の辺りとか、時々えらい近似値を描くのでびっくりしました。
相変わらず芸が細かいというか言葉に対して斜めな拘り方をする、と思ったのが「50」と「15」の聞き間違い。日本語だったら絶対「15」と「50」を間違えたりしないので、ああなるほど、英語だなあと感心することしきり。言葉に対する機械的というか、システム的な、曖昧さを許さない独特な感性がちょこちょこ顔を出しているのがたまらない。行間を読めとか言われたら、本当に文字列と文字列の間の空白を読みそうなところがいい。具体的な数字が出てくるのに具体的な描写がなにもなく地に足のついていない感じも妙に懐かしく。謎の副タイトも読めば納得の美しさ。タイトルを見てどんな話なのか全く想像できなかったのに、読めば確かに「女王」で「百年密室」で「神は女王を救う」つー。うーん、ジャストでナイスで流石なり。
百年間誰にも知られず、部外者の立ち入りなく存続してきた国に、偶然迷い込んだ主人公が、たまたま起こっちゃった殺人事件の犯人を見逃せずに、ひとり犯人探しをはじめます。設定がファンタジーなのに、理屈は一から十まで厳密に論理的ですな。ジャイロコンパスのついた銃があれやらこれやら云々云々。
ミチルと僕と彼女の関係が二回騙されて最後に「そうか、それ以外ないな」という見事な回転。エピローグは本気で驚いた。ええええ?!って感じで。まさか当たるとは。そして××××とは。そして××××さらに××××で××××とくるかー。うわ、伏字ばっかりになった。
面白かった。買うならハードカバーで買うべきだ。漫画版も見てみたい。

ところでサラはなにゆえにラストでああいう行動に出たんですかね?確か誰がどうしてああしてそうなったのかは公表してないと思ったんだけど。

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