『本格小説』と書くべきところを何を思ったか八割がた『私小説』と書いていました。家主に「耄碌したかみじんこよ!」と言われました。耄碌したかもしれません。『私小説(上巻)』って何よ。書いたときに気付きなさいよ。

『浴室』ジャン=フィリップ・トゥーサン、訳:野崎歓、集英社。
むかーしむかしに動物占いが流行った頃、それと同じノリで薦められた本。ついに読みました。いきなり浴室で暮らし始める謎の主人公「ぼく」。引きこもるのかと思いきや、いきなりイタリアへテニスをしに行ってしまう。アクティブなんだかネガティブなんだかさっぱりわかりません。
江國香織と村上春樹の中間地点のにおいを感じた作品。こういう感性で読む本は、面白いと感じるか否かはセンスの問題で、面白く感じようと思って面白く感じられるわけではないので、この手の本を読んで言葉の代わりに感嘆の溜息が出るような人のセンスがとても羨ましい。細部では理解できても、物語全体の話となると途端にわけがわからなくなってしまう。村上春樹が好きな友人に勧めておこう。

『最後の記憶』綾辻行人、角川書店。
長編ホラー。怖い。若年性痴呆症によって、子どもの頃の恐怖体験だけが唯一残った記憶となった母。「僕」は母の病気が遺伝ではないのか、母が子どもの頃体験した恐怖は一体なんなのか、日常を侵食する恐怖に脅かされつつ母の実家を訪ねる。
頻繁に通り魔が幼児を殺害し、主人公はかなり神経症に近い言動をし、妄想と現実との境目が曖昧な世界がいつ何処にでも入り口を見せて待ち構える、微妙にスプラッタの気配がするホラー。サイコ的なものよりも、肉だー、血だー、という描写が生々しくて、痛いそれ痛い!
真相は途中でわかってしまうし、生っぽい描写が痛いし、些細な事柄を引っ張られるのが気になるし、……やはり新本格派を読むのは無理だ。←ホラー読んでホラーとは関係ないところを悟る。
秋祭りの神社で狐の仮面を被って、暗闇の溜まる路地から子どもを誘う不思議な存在というのは、とてもファンタジックな印象を受けるのは何でだろう。和風好き好き。

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