森博嗣、新潮社。『迷宮百年の睡魔』
『女王の百年密室』の続編に当たる作品。エピソードとしては独立しているので、こちらだけ読んでも意味が通じないということはないのですが、こちらから先に読んでしまうと前作の大変なネタバレになってしまうので、刊行順に読むことをお勧めします。前回の感想は伏字だらけで自分でもわけのわからないことになってるな……。
時は2114年。エンジニア・ライタのミチルが、パートナのロイディを連れて取材にやってきた宮殿。海に囲まれた島の、迷宮のような街の中にその宮殿はあった。
というわけで後はいつものように殺人事件が起こり、否応なく巻き込まれ……巻き込まれる以上に首を突っ込む主人公ペアが事件の真相にたどり着くまでのお話。前回「ファンタジー」などとコメントしてしまいましたが、何を考えていたのか。この舞台設定は誰がどう見てもSFだろう……。SFはサイエンスフィクション。サイエンスファンタジーなどという言葉はない!多分。
ミチルとロイディのやり取りが前回にもまして可愛らしい。ところどころで吹き出してしまったですよ。一体いつのまにこんなに可愛らしくなったのか。前作冒頭では道に迷って食料が尽き、半分死にかけていたミチルが、今回は走ったり飛んだり泳いだり殴ったり眠ったりと大活躍。シャルルがアレなので、ミチルとシャルルの関係が非常におかしい。笑が止まらない。
そして今頃気付いたんですが、このシリーズではついにあらゆる「名詞化er」の「ー」が消えましたな。ここまでやれば清々しい。いつも同じようなことを言っていますが、森博嗣には理系の特権のようなものを感じます。理系の特権というのは例えば「熱が伝わって、層厚が増した場合に垂直応力の支持に支障をきたしませんか?」というような台詞を、開かずに書いてしまうところにあらわれていると思います。文系の作家であれば、開かずともニュアンスで通じるとしても、このような書き方はしないと思うのです。今まで読んだ本の中で、こういったことを平然と書いてのける作家は森博嗣くらいしか見たことがありません。文系の人間としてはものすごく憧れを感じます。詩的でありながら理系の極みのようなところが魅力なのです。何処までも厳密な数値化と、具体性に乏しい記述と、理系の特権と、叙情的な文章。煌々とした明かりの灯る白く清潔な研究室の整然とした数式か実験が、森博嗣作品のイメージ。
『女王の百年密室』の続編に当たる作品。エピソードとしては独立しているので、こちらだけ読んでも意味が通じないということはないのですが、こちらから先に読んでしまうと前作の大変なネタバレになってしまうので、刊行順に読むことをお勧めします。前回の感想は伏字だらけで自分でもわけのわからないことになってるな……。
時は2114年。エンジニア・ライタのミチルが、パートナのロイディを連れて取材にやってきた宮殿。海に囲まれた島の、迷宮のような街の中にその宮殿はあった。
というわけで後はいつものように殺人事件が起こり、否応なく巻き込まれ……巻き込まれる以上に首を突っ込む主人公ペアが事件の真相にたどり着くまでのお話。前回「ファンタジー」などとコメントしてしまいましたが、何を考えていたのか。この舞台設定は誰がどう見てもSFだろう……。SFはサイエンスフィクション。サイエンスファンタジーなどという言葉はない!多分。
ミチルとロイディのやり取りが前回にもまして可愛らしい。ところどころで吹き出してしまったですよ。一体いつのまにこんなに可愛らしくなったのか。前作冒頭では道に迷って食料が尽き、半分死にかけていたミチルが、今回は走ったり飛んだり泳いだり殴ったり眠ったりと大活躍。シャルルがアレなので、ミチルとシャルルの関係が非常におかしい。笑が止まらない。
そして今頃気付いたんですが、このシリーズではついにあらゆる「名詞化er」の「ー」が消えましたな。ここまでやれば清々しい。いつも同じようなことを言っていますが、森博嗣には理系の特権のようなものを感じます。理系の特権というのは例えば「熱が伝わって、層厚が増した場合に垂直応力の支持に支障をきたしませんか?」というような台詞を、開かずに書いてしまうところにあらわれていると思います。文系の作家であれば、開かずともニュアンスで通じるとしても、このような書き方はしないと思うのです。今まで読んだ本の中で、こういったことを平然と書いてのける作家は森博嗣くらいしか見たことがありません。文系の人間としてはものすごく憧れを感じます。詩的でありながら理系の極みのようなところが魅力なのです。何処までも厳密な数値化と、具体性に乏しい記述と、理系の特権と、叙情的な文章。煌々とした明かりの灯る白く清潔な研究室の整然とした数式か実験が、森博嗣作品のイメージ。
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