『異邦人 fusion』『聯愁殺』
2005年1月27日 未分類『異邦人』西澤保彦、集英社。
23年前、父が謎の死を遂げる数日前にタイムスリップしてしまったわたし。父の死をきっかけに、不本意な人生を歩まざるを得なかった最愛の姉のため、わたしは父の死を回避するべく奔走する。
なんちゅうキュートな話なのか!キュートは違うという方もいるかもしれないけど、とにかく可愛い。何もかも上手くいくハッピーエンドというのはシアワセなことなのだなあ。その幸福な姿こそが愛らしい。
同性しか愛せない姉が、父の死によって実家に戻って家業を継がざを得なくなる。不本意な結婚をしてまで家業を継いだのは、弟であるわたしのためであったと時間遡行してから思い出すわたしの内省をえんえんと読まされる。それでもなおこの話はキュートで可愛らしいのである。
タイムスリップして、迷宮入りとなった殺人事件を阻止しようとするという、SFな設定は西澤保彦の得意路線らしいです。でも、これ「足跡がなかった」っていう時点で既に犯人わかってしまうんですが。というか、最早「タイムスリップして事件に割り込む」という王道展開を見せた時点で、話の構造が丸わかりになってますが。ずばり綾辻某の某ホラーと展開同じ。最近読んだばっかりなので余計に切なかった……。
謎解きよりもセクシュアリティの問題を前面に押し出しているので、骨子というか主題がよくわからないことに。結局重要なのはどっちなんだ。参考文献見たときにうわあと思ったのは私だけではないはず。
そして姉の恋人、季里子のエピソードに「それは中山可穂!」と呟かずにはいられなかった。
『聯愁殺』西澤保彦、原書房。
タイトルの意味が解らない。そして「装丁に使用した絵の著作権所有者さん連絡求む」という奥付手前の文章に爆笑。内容と全く関係ないところでウケてどうする。
登場人物の名字がおかしなことになっているのは、いつものことなのでしょうか。読めねええ。最初は、作家辺りにモデルがいて、その名前をパロディに仕立てたから変な名前なのかなー、とも思ったんですが、どうやらそうでもない様子。『異邦人』でもそうだったけど、登場人物が難読名字というのは西澤作品ではデフォルトなのか。
無差別連続殺人に巻き込まれた梢絵。辛うじて助かったものの、どうして自分が狙われたのか理由が全くわからない。事件から数年経っても殺されかけたという記憶は薄れず、せめて自分が殺されかけた理由、犯人の動機でも知れば不安の幾らかは解消されるのではないかと、「恋謎会」というアマチュア推理集団に真相解明を依頼する。
探偵役を自称する集団がディスカッションすることによって真相にたどり着く、推理合戦の見本のような作品。仮説仮説また仮説。そして仮説の披露と否定と肯定を繰り返し、より「らしい」結論にたどりつく。
「らしい」結論なので、ディスカッションの結果が真相とは限らないわけですが、この途中経過を楽しめない人や、結局真相はどうなってんだよという気の短い方にはお勧めできない。
ですが。この作品なんと二段落ちになってるんですよ。推理合戦のち真相、のあとにもうひとつ章があって、それはもう想像を絶する落ちがついてます。落ちがついてると言ってしまってる時点でネタバレですいません。目次の章立てを見ればわかることなのでネタバレ許せない派のかたは、確認しつつ読み進めることを推奨。
一番怪しい人も怪しくない人も、単独でも共謀でも、誰が犯人でも驚かないぞー、と思っていたけどあの結末には驚いた。途中で「双侶さんが犯人で真相に気付いた面子は皆殺し」「実は恋謎会が全員共謀で梢絵さんお亡くなり」とか相当かっとんだ想像をしていたにもかかわらず、ぽかーんとなりました。参った。
23年前、父が謎の死を遂げる数日前にタイムスリップしてしまったわたし。父の死をきっかけに、不本意な人生を歩まざるを得なかった最愛の姉のため、わたしは父の死を回避するべく奔走する。
なんちゅうキュートな話なのか!キュートは違うという方もいるかもしれないけど、とにかく可愛い。何もかも上手くいくハッピーエンドというのはシアワセなことなのだなあ。その幸福な姿こそが愛らしい。
同性しか愛せない姉が、父の死によって実家に戻って家業を継がざを得なくなる。不本意な結婚をしてまで家業を継いだのは、弟であるわたしのためであったと時間遡行してから思い出すわたしの内省をえんえんと読まされる。それでもなおこの話はキュートで可愛らしいのである。
タイムスリップして、迷宮入りとなった殺人事件を阻止しようとするという、SFな設定は西澤保彦の得意路線らしいです。でも、これ「足跡がなかった」っていう時点で既に犯人わかってしまうんですが。というか、最早「タイムスリップして事件に割り込む」という王道展開を見せた時点で、話の構造が丸わかりになってますが。ずばり綾辻某の某ホラーと展開同じ。最近読んだばっかりなので余計に切なかった……。
謎解きよりもセクシュアリティの問題を前面に押し出しているので、骨子というか主題がよくわからないことに。結局重要なのはどっちなんだ。参考文献見たときにうわあと思ったのは私だけではないはず。
そして姉の恋人、季里子のエピソードに「それは中山可穂!」と呟かずにはいられなかった。
『聯愁殺』西澤保彦、原書房。
タイトルの意味が解らない。そして「装丁に使用した絵の著作権所有者さん連絡求む」という奥付手前の文章に爆笑。内容と全く関係ないところでウケてどうする。
登場人物の名字がおかしなことになっているのは、いつものことなのでしょうか。読めねええ。最初は、作家辺りにモデルがいて、その名前をパロディに仕立てたから変な名前なのかなー、とも思ったんですが、どうやらそうでもない様子。『異邦人』でもそうだったけど、登場人物が難読名字というのは西澤作品ではデフォルトなのか。
無差別連続殺人に巻き込まれた梢絵。辛うじて助かったものの、どうして自分が狙われたのか理由が全くわからない。事件から数年経っても殺されかけたという記憶は薄れず、せめて自分が殺されかけた理由、犯人の動機でも知れば不安の幾らかは解消されるのではないかと、「恋謎会」というアマチュア推理集団に真相解明を依頼する。
探偵役を自称する集団がディスカッションすることによって真相にたどり着く、推理合戦の見本のような作品。仮説仮説また仮説。そして仮説の披露と否定と肯定を繰り返し、より「らしい」結論にたどりつく。
「らしい」結論なので、ディスカッションの結果が真相とは限らないわけですが、この途中経過を楽しめない人や、結局真相はどうなってんだよという気の短い方にはお勧めできない。
ですが。この作品なんと二段落ちになってるんですよ。推理合戦のち真相、のあとにもうひとつ章があって、それはもう想像を絶する落ちがついてます。落ちがついてると言ってしまってる時点でネタバレですいません。目次の章立てを見ればわかることなのでネタバレ許せない派のかたは、確認しつつ読み進めることを推奨。
一番怪しい人も怪しくない人も、単独でも共謀でも、誰が犯人でも驚かないぞー、と思っていたけどあの結末には驚いた。途中で「双侶さんが犯人で真相に気付いた面子は皆殺し」「実は恋謎会が全員共謀で梢絵さんお亡くなり」とか相当かっとんだ想像をしていたにもかかわらず、ぽかーんとなりました。参った。
コメント