『聖戦ヴァンデ』(上下)
2005年4月27日 未分類藤本ひとみ、角川文庫。
フランス革命を舞台に、複数青年の劇的な人生の岐路を描いた作品。
背表紙には「青年たちの友情と憎悪、別れと再会を通じ、革命美談の裏に隠されてきたフランス史の暗黒を暴く、懇親の力作長編!」ってあるんですが、フランス革命といえばギロチンで、更に更に勇気と決断で、捕虜を積んで船を沈めろー、というイメージがある当方には「美談てなにさ」とかなり腑に落ちない解説。隠す以前の問題じゃないのか。革命は常に粛清を伴うものだと信じている。
それはともかく。
少女めいた美貌の金髪お貴族様アンリ、地味で誠実で庶民出身でアンリと運命的な出会いをしたニコラ。革命の中心人物であるロベスピエールにアホほど傾倒して熱狂的な革命推進派のジュリアン。
全てのエピソードが一々ドラマティックで、先が気になってなかなか読むのを中断できない。ニコラ放逐、サン・ジュスト噴水に飛込み、アンリ自殺と枚挙にいとまなし。剣と鞘のエピソードには、懐中時計の鎖とべっ甲の櫛を贈りあったどこぞの夫婦かと、しょうもない連想がはたらきましたが。
サン・ジュストとかロベスピエールとかお前ら肩抱きしめすぎですよとかおかしなところばかり目について困ります。というか歴史小説で美少年が登場するのって注意深く避けられてたんじゃないんですか?出てくるなり「少女のような童顔」「官能的な感じのする微笑」って、思わずのけぞったわ。うわー、躊躇しないなさすが藤本ひとみ、と思った人他にもいるはずだ!史実にはとんと疎いですが、アンリってそんなに美少年で有名だったのですか……?
フロル=心のオアシス。
情熱の余り大量虐殺に突っ走るジュリアン、内通に苦しめられるアンリ、かつて半身とまで思ったアンリとの正面対決を前に手紙を握りつぶすニコラ、と、おいしいエピソードは続くんだけれども、時間のスパンが長いので、後半になると一度きり、しかも名前しか登場しない登場人物が増加。同時にこまごまとした戦闘もどんどん省かれてしまうので、どうしても駆け足急ぎ足の感が否めない。
素敵だ!と思って再登場を心待ちにしてたミラボーがいつのまにかお亡くなりになってたり、結局ジュリアンはどうなったのか今ひとつ掴みにくかったり、微妙に不満が残りますが、フランス革命って面白いなー、とかなり大きな収穫がありました。
フランス革命を舞台に、複数青年の劇的な人生の岐路を描いた作品。
背表紙には「青年たちの友情と憎悪、別れと再会を通じ、革命美談の裏に隠されてきたフランス史の暗黒を暴く、懇親の力作長編!」ってあるんですが、フランス革命といえばギロチンで、更に更に勇気と決断で、捕虜を積んで船を沈めろー、というイメージがある当方には「美談てなにさ」とかなり腑に落ちない解説。隠す以前の問題じゃないのか。革命は常に粛清を伴うものだと信じている。
それはともかく。
少女めいた美貌の金髪お貴族様アンリ、地味で誠実で庶民出身でアンリと運命的な出会いをしたニコラ。革命の中心人物であるロベスピエールにアホほど傾倒して熱狂的な革命推進派のジュリアン。
全てのエピソードが一々ドラマティックで、先が気になってなかなか読むのを中断できない。ニコラ放逐、サン・ジュスト噴水に飛込み、アンリ自殺と枚挙にいとまなし。剣と鞘のエピソードには、懐中時計の鎖とべっ甲の櫛を贈りあったどこぞの夫婦かと、しょうもない連想がはたらきましたが。
サン・ジュストとかロベスピエールとかお前ら肩抱きしめすぎですよとかおかしなところばかり目について困ります。というか歴史小説で美少年が登場するのって注意深く避けられてたんじゃないんですか?出てくるなり「少女のような童顔」「官能的な感じのする微笑」って、思わずのけぞったわ。うわー、躊躇しないなさすが藤本ひとみ、と思った人他にもいるはずだ!史実にはとんと疎いですが、アンリってそんなに美少年で有名だったのですか……?
フロル=心のオアシス。
情熱の余り大量虐殺に突っ走るジュリアン、内通に苦しめられるアンリ、かつて半身とまで思ったアンリとの正面対決を前に手紙を握りつぶすニコラ、と、おいしいエピソードは続くんだけれども、時間のスパンが長いので、後半になると一度きり、しかも名前しか登場しない登場人物が増加。同時にこまごまとした戦闘もどんどん省かれてしまうので、どうしても駆け足急ぎ足の感が否めない。
素敵だ!と思って再登場を心待ちにしてたミラボーがいつのまにかお亡くなりになってたり、結局ジュリアンはどうなったのか今ひとつ掴みにくかったり、微妙に不満が残りますが、フランス革命って面白いなー、とかなり大きな収穫がありました。
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