岩井志麻子、中公文庫。

帯の煽り文句は「熱帯の地/ベトナムに咲いた/四日間の/恋」だそうです。渡辺淳一と林真理子が絶賛しています。第二回婦人公論文芸賞受賞作品だそうです。
この時点で大体想像つく人がいると思います。そしてその想像はほとんど当たってます。
読む前に確かめて欲しい岩井志麻子を読む際のおすすめ順。
『ぼっけえ、きょうてえ』>『魔羅節』>『ラック・ヴィエン』>『自由戀愛』>『チャイ・コイ』
特に『ラック・ヴィエン』は『チャイ・コイ』より先に読んではいけません。最初に『チャイ・コイ』読むのも不幸の元です。『自由戀愛』は『チャイ・コイ』への布石だと思って読んでおくと幸せになれます。

ほとんど『ラック・ヴィエン』と同じです。ただ、ホラーではないので、仕掛けとしての落ちはありません。ベトナムに行った私が愛人と出会う四日間の物語。作品の八割近くがベッドシーンで、かつ女性一人称、かつ渡辺淳一と林真理子が絶賛しそうな内容です。この時点でみじんこが想像したものと、内容のズレは二割もないと思います。ひたすらベッドシーン、回想もベッドシーン、淡々とした上品な文章で延々とベッドシーン。生々しい場面のはずなのに、露骨な性描写の不快感を全く与えないところはさすが。いつのまにこんな文章も書けるようになったのか岩井志麻子。引き出しが広いというか、守備範囲の広さに舌を巻きました。どの時代でもどの国でも書くし、上品にも下品にも、思いのままに書いてみせる幅の広さ。
濡れ場の半分くらいは、主人公の人格をあらわすためのエピソードで、実際に物語中に占める量より少なく感じました。5割くらいかなと思っていたら8割。言われて確かめてびっくりしました。

これにて「文庫岩井志麻子大会」閉会。

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