『花龍神話』

2005年9月3日 未分類
真堂樹、コバルト文庫。

四龍島シリーズ番外編。もはや過去のわたしは現在のわたしの手の届かぬ彼方に押し流されていってしまっていたことを、今更のように知りました。時の流れに抗うすべはないのか……。

主人公、美形。花のような、どころか「花」だ花だと登場人物全てから愛され、四つの市に別れた島のアイドル。心は優しく喧嘩は強く、作中で一番女装率の高い男。
その主人、美形。宝石宝石と立っているだけで美貌を誉めそやされる街の主。根性曲がりで口からは皮肉しか出てこない、主人公命の恐ろしい執着心の持ち主。性格が極悪。
そんな登場人物がメインのこの本を、普通に面白いと物語に一喜一憂していた自分が信じられません。我に返ってあまりの狂乱の痕跡に眩暈が。なんだこの女装率の高さ、主人公男なのに花?って何さ、これがやおい学園(学園じゃないけど)という奴か!などなどなど。あとがきの作者のテンションの高さがそらおそろしい。
25冊+番外編で、いい加減ネタも尽きたのか、事件が起こって解決するパターンがマンネリになっているのが残念でした。イラストの人も、一時期の美しさを失ってしまって、99ページの絵に涙が滂沱と流れ落ち。でも前巻持ってないみたいなので買うことにします。

衝撃がさめてから改めてなぜに自分はこの作者が好きだったのかとよくよく本文を検討してみれば、なるほど美文の出現率が高い。言い切りの形なんかが独特で、使われている単語の選びようが結構耽美。これでたとえば皆川博子のような本を出したら、間違いなく店頭へ発売日前日に走っちゃいます。
女性陣が素晴らしく美人であることと、近親相姦の多発が自分の好みに合っていたことも再確認して、己の駄目人間ぶりに落ち込みました。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索