山内志朗、平凡社新書。

卒論戦友その2。本の整理中に発掘。ついでに、懐かしくなったので卒論関係の本を積み上げて、端から読んでいます。
大学で日々生徒の論文と格闘している現役教授の書いた、論文マニュアル。笑いの研究をしている学者として、トリビアに二回ほど出演していたので、知っている方は知っていらっしゃるのではないでしょうか。滑舌が微妙に悪くて、頻繁に「ハビトゥス」と言う、頭髪の具合がちょっとフランシスコ・ザビ(恩師に対してあまりに暴言に過ぎるので略)みたいなあの人です。
参考文献の挙げ方や記号の使い方、紙に出力する際の注意、採点者の視点から見たいい論文など、非常に実践的で実用的な内容です。
何が一番いいかというと、そもそも「論文」というものはなんぞや?というところをちゃんと解説している点。論文には論文という形式があり、それを外したらどれほど素晴らしい内容でもアウトですよ、という基本が何度も繰り返されます。高校までの勉強で「論文とは何か?」なんて習ったことがないのに、大学生になった途端「単位が欲しけりゃ論文を書くのだなけけけ」という環境になって戸惑ってしまう人は少なからずいると思われます。実際わたしは卒論書いてる最中に「論じる、という言葉の意味が解りません」とのたまって担当教官に嘆息されました。だって国語辞典に載っている「論じる」と、論文の内容として適当な「論じる」は違うと言うことを知らなかったのですもの。
そしていよいよ締め切りが近づいてきてどうもこうもしようがなくなる寸前に買いました。
で。
人生に近道無しという言葉の意味を思い知りました。正当な手段では間に合わない→求む近道→一番近いのが正当な道程と知ったときのあの衝撃。目的地に一番正しくかつ早く到達する手段が王道であり、そしてその王道には近道がないのです……。
王道では遠すぎる!と手っ取り早い近道を求めてこの本を買ったわたしはまだまだ甘かったようです。
このように、少なくとも夢を見ている若者には真理を知らしめる力がこの本にはあります。そして思い知った後に読むと、無駄のないシンプルな解説と構成、そして語られている内容の含蓄深さがとても楽しい。
そして何度読んでも「角ブラケット[]」の正しい使用方法がわからなくて悔しいです。そもそも普段角ブラケットが出てくるような本なんて読んでないですから。……がくり。

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