『蜘蛛の糸・杜子春』
2005年12月25日 未分類芥川龍之介、新潮文庫。
本棚導入の際に発掘されたので再読。
それはそれは活字に飢えていた子どもの頃、父親の本棚に入っていたのを無断で拝借したのが出会いでした。で、小学生だから漢字は読めない、むつかしい物語になると意味がわからない、と苦労しつつ中学生くらいまでずっと読んでいました。今読み返すと、なんて耽美なのかとときめき打ち震えますな。これを気に入っていた子どもなら、そりゃ耽美主義にも育つと言うものです。
「蜘蛛の糸」
「犬と笛」
「蜜柑」
「魔術」
「杜子春」
「アグニの神」
「トロッコ」
「仙人」
「猿蟹合戦」
「白」
解説二本と年譜つき。
子どもの頃好きだったポイント。
・蓮池の描写
・髪長彦の与えられた大将の装い
・蜜柑の色
・喋る札の王
・杜子春の贅沢
・電燈の明かりがさした村
・猿蟹合戦の容赦のない結末と繰り返し
こう書き出してみると、我ながら恐ろしい気持ちになります。どんな趣味だ小学生。そしてその小学生とひとつも変わらない好みの現在。
特に好きだったのは「魔術」と「アグニの神」。時雨の険しい坂を上り下りして、ようやくたどり着く竹薮に囲まれた小さな洋館。上海の敷石に染みるような不思議な香の匂い。
うつくしい。
違う世界からの空気が漂ってくるようです。一行目から、目の前に違う世界が広がって、これからそこに踏み入るような気分にさせてくれる書き手は貴重です。
しかしこう読み返すと、軽快でいながら無駄も隙もない完璧な文章にため息が出ます。「魔術」の場面転換の手際にはもはや言葉もなし。
「白」はわかりやすくて繰り返し読んだものの、道徳的な面が前面に押し出されていたのであまり好きになれなかった昔と、感想がほとんど同じでした。成長がない。
「猿蟹合戦」は太宰のかちかち山と合わせて読むとよりいっそう楽しめると思います。ああひどい。
本棚導入の際に発掘されたので再読。
それはそれは活字に飢えていた子どもの頃、父親の本棚に入っていたのを無断で拝借したのが出会いでした。で、小学生だから漢字は読めない、むつかしい物語になると意味がわからない、と苦労しつつ中学生くらいまでずっと読んでいました。今読み返すと、なんて耽美なのかとときめき打ち震えますな。これを気に入っていた子どもなら、そりゃ耽美主義にも育つと言うものです。
「蜘蛛の糸」
「犬と笛」
「蜜柑」
「魔術」
「杜子春」
「アグニの神」
「トロッコ」
「仙人」
「猿蟹合戦」
「白」
解説二本と年譜つき。
子どもの頃好きだったポイント。
・蓮池の描写
・髪長彦の与えられた大将の装い
・蜜柑の色
・喋る札の王
・杜子春の贅沢
・電燈の明かりがさした村
・猿蟹合戦の容赦のない結末と繰り返し
こう書き出してみると、我ながら恐ろしい気持ちになります。どんな趣味だ小学生。そしてその小学生とひとつも変わらない好みの現在。
特に好きだったのは「魔術」と「アグニの神」。時雨の険しい坂を上り下りして、ようやくたどり着く竹薮に囲まれた小さな洋館。上海の敷石に染みるような不思議な香の匂い。
うつくしい。
違う世界からの空気が漂ってくるようです。一行目から、目の前に違う世界が広がって、これからそこに踏み入るような気分にさせてくれる書き手は貴重です。
しかしこう読み返すと、軽快でいながら無駄も隙もない完璧な文章にため息が出ます。「魔術」の場面転換の手際にはもはや言葉もなし。
「白」はわかりやすくて繰り返し読んだものの、道徳的な面が前面に押し出されていたのであまり好きになれなかった昔と、感想がほとんど同じでした。成長がない。
「猿蟹合戦」は太宰のかちかち山と合わせて読むとよりいっそう楽しめると思います。ああひどい。
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