『怪談の学校』

2006年3月5日 読書
怪談之怪(京極夏彦、木原浩勝、中山市朗、東雅夫)、メディアファクトリー。

怪談之怪メンバー四名が、雑誌『ダ・ヴィンチ』誌上にて怪談之怪コーナーで募集した投稿作品を元に、「怪談を書く」実践的手法を徹底レクチャーする一冊。

怖い話が大の苦手なので、読むのに大変苦労しました。怖くて夜読めない。昼間でも一人では読めない。でも怖い話が大好きなので読む。
怪談とは何か?
都市伝説とは違うのか?
心霊レポートとは違うのか?
怪談の定義、怖さのツボ、ジャンルの境目、ありとあらゆる角度から「怪談」を極めつくし、では怖い話を書こうではないか諸君!という頭からしっぽまでみっちり怪談尽くしの本でした。
投稿作品を取り上げ、それを添削する形で「どうすれば怖いのか?」と怪談を書くコツをレクチャーしているのですが、投稿作品自体は素人のものなのでそれほど怖くありません。創作怪談だとわかっているのであらかじめ「創作だ創作だ」と言い聞かせれば更に怖くありません。
が、とっても怖いです。
頭の中では冷静に怪談を分析する一方で、背中が不安になってくるこの矛盾。うおー怖いよー背後が気になるよー。
これだけ怖がらない準備ができているのなお怖い。わたしがチキンな性根の持ち主であるせいもありますが、添削後の作品の洗練され具合が、創作だと言い訳を許さないほど怖い。特に三時間目担当の木原浩勝による添削が見事でした。どうしてこんなに短くなってしかも怖いのですか。
あと、読んでいる間中、今までに読んだり聞いたりした怖い話を記憶にある限り思い出し、先の展開を勝手につくりあげ、脳内ブラッシュアップに全力を尽くしてしまう自分の脳みそが嫌です。これがあるから怖いのだとわかっていてもやめられない。怪談の想起力、からだに影響を及ぼす力の強さおそるべし。

なんてことのない単語を挙げただけで、勝手におそろしい連想を働かせて怯える人間こそ、怪談を楽しむのに向いているのではないか知らん。怪談を集めたサイトを見に行くと、タイトルだけで怖くて回れ右するわたしのことですが。
前書きに当たる「開校の辞」から既に怖いです。京極夏彦が書いているのですが、あらためて芸達者だなあと感心しました。
本文のチープな紙質がまたおっかなくてすばらしいですね。

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