『完訳 ペロー童話集』
2006年3月24日 読書シャルル・ペロー著、新倉朗子訳、岩波文庫。
内容(「BOOK」データベースより)
ペロー(1628‐1703)の『童話集』は、民間伝承に材を得た物語集のうちでも最も古いものといってよい。よく知られた「眠れる森の美女」「赤ずきんちゃん」「青ひげ」「長靴をはいた猫」「サンドリヨン(シンデレラ)」を始め、韻文で書かれた「ろばの皮」など全作品を収め、口承文芸研究の視点から注・解説を付した。
有名どころの童話がいくつかありますが、物語集として「最も古いもの」だけあって、実に殺伐と短いバージョンです。赤ずきんは狼に食われて終わりだし、「青ひげ」も部屋をのぞいた妻が兄とともに青ひげに逆襲惨殺で終わりだし。とてもさっぱりしているので、好みが分かれるところだと思います。本当は残酷なグリム童話が流行したのを見ると、こちらのほうが人気ありそうですが。
「グリゼリディス」は、同名の女性がその忍耐によって幸福を得る話。夫のどのような暴虐にも愛と忍耐という美徳を発揮して接し、ついには夫を改心させるという「あまりにも古臭い教訓のせいで/お笑い草になるであろう(p.18)」内容。
作者見たこの頃のパリは、女性が主権者で主で、忍耐の美徳を発揮するのは亭主の方、という状況らしいですが、それの何が悪いのかと思ってしまうわたし。忍耐の美徳は発揮されるほうが気持ちよくて、発揮するのは辛く厳しいことを知った男性が「返せよー、忍耐を発揮される側だった俺の立場返せよー」と嘆いているみたいでちょっと面白い。そういえばこういった夫婦間の関係が主題になっている物語で、男性側に忍耐の美徳をさとすような教訓ものってみないですね。
と、色々考えたんですが、グリゼリディスは結婚するときに、相手から「わたしの意志だけを重んじ、決してそれに逆らわないよう誓ってください」って言われて誓ってるんですよね。大公はあらかじめちゃんと「服従心と忍耐のない女とは結婚しないもん!」って熱烈に主張してるし。なら忍耐の美徳がどうこうではなく、契約・誓いを忠実に遂行しただけの話じゃないかしらと思えてきました。「あー、うん、誓ってるんだー、じゃあしょうがないよね」と。自業自得とか因果応報とか責任問題とか?
「愚かな願いごと」は「猿の手」のバリエーションとして読んだことがありました。てっきり、感情的になって願いごとを無駄に使い果たす話なのかと思っていたら、予想以上にジュピターの約束がオートマチックでびっくりしました。これは慎重な思考型の人間には使いこなせいなー。ひらめきが全て。一瞬で決する。
オーロラ姫は「眠れる森の美女」に登場していたのですね。義理の母親が娘を食い殺そうとして、かわりに差し出された鹿にだまされるのって白雪姫もでしたっけか。
「ねこ先生」超モユス。ねこ先生萌え。
昔読んだあの童話、もう一度読みたい!という大人向け。
ペローの教訓がいちいち気が利いて面白い。辛辣だけど。
内容(「BOOK」データベースより)
ペロー(1628‐1703)の『童話集』は、民間伝承に材を得た物語集のうちでも最も古いものといってよい。よく知られた「眠れる森の美女」「赤ずきんちゃん」「青ひげ」「長靴をはいた猫」「サンドリヨン(シンデレラ)」を始め、韻文で書かれた「ろばの皮」など全作品を収め、口承文芸研究の視点から注・解説を付した。
有名どころの童話がいくつかありますが、物語集として「最も古いもの」だけあって、実に殺伐と短いバージョンです。赤ずきんは狼に食われて終わりだし、「青ひげ」も部屋をのぞいた妻が兄とともに青ひげに逆襲惨殺で終わりだし。とてもさっぱりしているので、好みが分かれるところだと思います。本当は残酷なグリム童話が流行したのを見ると、こちらのほうが人気ありそうですが。
「グリゼリディス」は、同名の女性がその忍耐によって幸福を得る話。夫のどのような暴虐にも愛と忍耐という美徳を発揮して接し、ついには夫を改心させるという「あまりにも古臭い教訓のせいで/お笑い草になるであろう(p.18)」内容。
作者見たこの頃のパリは、女性が主権者で主で、忍耐の美徳を発揮するのは亭主の方、という状況らしいですが、それの何が悪いのかと思ってしまうわたし。忍耐の美徳は発揮されるほうが気持ちよくて、発揮するのは辛く厳しいことを知った男性が「返せよー、忍耐を発揮される側だった俺の立場返せよー」と嘆いているみたいでちょっと面白い。そういえばこういった夫婦間の関係が主題になっている物語で、男性側に忍耐の美徳をさとすような教訓ものってみないですね。
と、色々考えたんですが、グリゼリディスは結婚するときに、相手から「わたしの意志だけを重んじ、決してそれに逆らわないよう誓ってください」って言われて誓ってるんですよね。大公はあらかじめちゃんと「服従心と忍耐のない女とは結婚しないもん!」って熱烈に主張してるし。なら忍耐の美徳がどうこうではなく、契約・誓いを忠実に遂行しただけの話じゃないかしらと思えてきました。「あー、うん、誓ってるんだー、じゃあしょうがないよね」と。自業自得とか因果応報とか責任問題とか?
「愚かな願いごと」は「猿の手」のバリエーションとして読んだことがありました。てっきり、感情的になって願いごとを無駄に使い果たす話なのかと思っていたら、予想以上にジュピターの約束がオートマチックでびっくりしました。これは慎重な思考型の人間には使いこなせいなー。ひらめきが全て。一瞬で決する。
オーロラ姫は「眠れる森の美女」に登場していたのですね。義理の母親が娘を食い殺そうとして、かわりに差し出された鹿にだまされるのって白雪姫もでしたっけか。
「ねこ先生」超モユス。ねこ先生萌え。
昔読んだあの童話、もう一度読みたい!という大人向け。
ペローの教訓がいちいち気が利いて面白い。辛辣だけど。
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