『グラン・ヴァカンス 廃園の天使1』
2006年10月7日 読書飛浩隆、ハヤカワ文庫。
ふひー、世の中には探せばあるものなのですね。
自分と完璧に趣味の合う、あつらえてもらったんじゃないかと錯覚しそうになる物語が。
ああ美しかった、ああ美しかった、ああ美しかった。
三回口に出して言ったので、三回繰り返して書きます。
あらすじはめんどいんでよそから引用しますよ。
えーと、あれだ、夏でSFで廃園で海で特殊な石が出てきて、夜明けまでを凌ぐ大攻防戦って、
天才だ。
しかもAIですよ?生のいきものじゃないんですよ?情報の集積体のくせに山ほどトラウマ抱え込んでシステムの一部として酷使されるAIたちの、廃園の一千年の夏休み!
長野まゆみの『テレヴィジョン・シティ』の夏のイメージと大崩壊を思い出します。
そしてそれ以上に世界残酷物語。
緻密にちりばめられた、むごいむごい過去の挿話と、今展開するグロテスク寸前の殺戮劇。
これが陳腐なほど醜悪で、残酷で美しい。
生きたまま、最後の一瞬まで意識を保って徹底的に腑分けされ頭から食われる苦痛。ほどかれながら歩む、一歩の歩幅に圧縮された一千キロの廊下。背後から仲間の食らい尽くされる音が聞こえてくる、永遠ほどに引き伸ばされた瞬間。
この残酷趣味の徹底が、むやみにエロス。
過去の記憶にまでその酷さが及ぶに至っては、もう残酷とエロスをイコールで結んでしまいたい。
あとヒロインがぱんつはいてない16歳。夏の光にほとんど白く光る金髪を短くして、生成りの麻のワンピースを身にまとって軽やかに海まで走る。
そんでAI。
更に「設定がツンデレ」。
古めかしい海沿いの街で、人間のゲストがやってこない永遠の夏休み。グラン・ヴァカンス。
夏の日差し、青い空、強い風、海、鳴き砂、小さな宝石のような硝視体。
冒頭の朝食の描写でがつんとやられました。いいなー、こんなリゾートあったら行きたい。もちろん、「現実には存在していないこと」が必須条件です。
あとがきで作者が「ネット上で古臭いと言われました」という主意のことを書いているのですが、この古臭さがわたしには逆に古きよき懐かしき、という感じがしてとても好ましい。最先端の情報で構築されていたら、逆に愛せなかったのではないかと。
「清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけた」という作者の言葉がまったくそのまま作品の評になるというのは素晴らしいなあ。
ああ美しかった(4回目)。グロ寸前の猟奇描写が好みの分かれ目かもしれませんが、わたしは躍りあがりました。
真面目に語ろうとした端から、興奮のあまり文章が素の口調に近くなっているわたしを、みんな哀れむといいです。
ふひー、世の中には探せばあるものなのですね。
自分と完璧に趣味の合う、あつらえてもらったんじゃないかと錯覚しそうになる物語が。
ああ美しかった、ああ美しかった、ああ美しかった。
三回口に出して言ったので、三回繰り返して書きます。
あらすじはめんどいんでよそから引用しますよ。
内容(「BOOK」データベースより)
ネットワークのどこかに存在する、仮想リゾート“数値海岸”の一区画“夏の区界”。南欧の港町を模したそこでは、人間の訪問が途絶えてから1000年ものあいだ、取り残されたAIたちが、同じ夏の一日をくりかえしていた。だが、「永遠に続く夏休み」は突如として終焉のときを迎える。謎のプログラム“蜘蛛”の大群が、街のすべてを無化しはじめたのである。こうして、わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦がはじまる―仮想と現実の闘争を描く『廃園の天使』3部作、衝撃の開幕篇。
えーと、あれだ、夏でSFで廃園で海で特殊な石が出てきて、夜明けまでを凌ぐ大攻防戦って、
天才だ。
しかもAIですよ?生のいきものじゃないんですよ?情報の集積体のくせに山ほどトラウマ抱え込んでシステムの一部として酷使されるAIたちの、廃園の一千年の夏休み!
長野まゆみの『テレヴィジョン・シティ』の夏のイメージと大崩壊を思い出します。
そしてそれ以上に世界残酷物語。
緻密にちりばめられた、むごいむごい過去の挿話と、今展開するグロテスク寸前の殺戮劇。
これが陳腐なほど醜悪で、残酷で美しい。
生きたまま、最後の一瞬まで意識を保って徹底的に腑分けされ頭から食われる苦痛。ほどかれながら歩む、一歩の歩幅に圧縮された一千キロの廊下。背後から仲間の食らい尽くされる音が聞こえてくる、永遠ほどに引き伸ばされた瞬間。
この残酷趣味の徹底が、むやみにエロス。
過去の記憶にまでその酷さが及ぶに至っては、もう残酷とエロスをイコールで結んでしまいたい。
あとヒロインがぱんつはいてない16歳。夏の光にほとんど白く光る金髪を短くして、生成りの麻のワンピースを身にまとって軽やかに海まで走る。
そんでAI。
更に「設定がツンデレ」。
古めかしい海沿いの街で、人間のゲストがやってこない永遠の夏休み。グラン・ヴァカンス。
夏の日差し、青い空、強い風、海、鳴き砂、小さな宝石のような硝視体。
冒頭の朝食の描写でがつんとやられました。いいなー、こんなリゾートあったら行きたい。もちろん、「現実には存在していないこと」が必須条件です。
あとがきで作者が「ネット上で古臭いと言われました」という主意のことを書いているのですが、この古臭さがわたしには逆に古きよき懐かしき、という感じがしてとても好ましい。最先端の情報で構築されていたら、逆に愛せなかったのではないかと。
「清新であること、残酷であること、美しくあることだけは心がけた」という作者の言葉がまったくそのまま作品の評になるというのは素晴らしいなあ。
ああ美しかった(4回目)。グロ寸前の猟奇描写が好みの分かれ目かもしれませんが、わたしは躍りあがりました。
真面目に語ろうとした端から、興奮のあまり文章が素の口調に近くなっているわたしを、みんな哀れむといいです。
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