『【バベルの図書館 5】 ジャック・ロンドン -死の同心円-』
2007年1月31日 読書ジャック・ロンドンもはじめて読みます。
そういえばホーソーンははじめて読むと思ってたら、はるか昔に例の金の星社のアンソロジーで読んでいました。意外と侮れない自分。
収録作品は「マプヒの家」「生命の掟」「恥っかき」「死の同心円」「影と光」の5編。
「マプヒの家」
ひとつの真珠を巡る話かと思いきや、ある小さな島に集った人々を襲う嵐の話。ジャーナリストとしても名を馳せた作者による、ノンフィクション作家の面目を失わせんばかりの嵐の描写がすさまじい。
実際にこんな嵐に遭遇したことがありそうですよね作者。
珊瑚礁輝く南の海が、半日足らずで地獄の様相を呈する様子が、ありありと目に浮かぶようです。
そしてマプヒ母超つよい。
「生命の掟」
語り手の老人が、昔狼の狩りのあとをつけたことを思い出すくだりで、一度倒れた鹿が起き上がった痕跡の場面で涙が出そうになりました。なぜかは自分でもわからない。
昔愛読した、雪原に生きる狼一家の物語を思い出したのですが、その本のタイトルが出てこなくて激しく悔しい。確かメスの仔に「ドーン(夜明け)」とか名前をつけておきながら、面倒くさいし覚えにくいので性格から取ったもっと簡単な名前を使ってた変な本。もしかして海外作品を、子供向けに書き改めた作品かも。
北の果ての冬の厳しさは、そのまま掟の厳しさに直結していますよね。
ノンフィクション作家顔負けの卓越した描写が冴え渡る。
「恥っかき」
背表紙の内容紹介で「拷問を免れる男の話」と書いてあって、ネタバレしてるじゃん!ダメじゃん!と思ったらさにあらず。
あまりに周到な法螺に、これは逃げ切るのか否かとどきどきしながら読むといいです。あらすじとラストに開いた口が塞がらなくなります。そして己の発想の貧困さを嘆じるがいい(すごい自嘲)。
すぐれた作家の発想力というやつは、死角をついて何事かを破壊して突破してゆく瞬発力に溢れていますよね。そしてその発想を肉付けする描写の分厚さは、作者の体験に支えられているのかもなー。
すごい経歴だ作者。
「マルセイエーズ」を「まじないの言葉」として歌う男の心情がいいなー。北の果て、極寒の地で、拷問を免れるための大法螺の中に、かつて辿ったヨーロッパの思い出が恋の歌が込められているこの落差。その落差を生んだ男の姿。
お前背中がすすけてるぜ!(全然違う)
「死の同心円」
原題は「ミダス王の従者」ですが、翻訳されたときのタイトルが秀逸だったということでこちらにしたそうですボルヘスが。
昔読んだ(またですすいません)推理小説で、シリアス度はさがりますがこれそっくりのものがあるのを不意に思い出しました。
確か「ブルーライオンズ」とか名乗る一団が、無差別に毒を盛って回ることで「脅迫」を行うという筋。この場合、日本国民全員が人質になるわけですが、監禁も誘拐もないのに人質というのはどうなの?という問に対して、探偵が「辞書的な意味合いで言えばばっちり人質です」と答えるんです。探偵は「こんな名前を名乗るからには、高学歴で教養のある集団でに違いない」と名前だけで犯人像を絞り込んでたな。「なんでそんなことがわかるのよ」って女性に突っ込まれて理由を答えてた気がする。
ちなみに毒が仕込まれたのはその辺の喫茶店のシュガーポット。これは確か。
あと、高村薫の『レディージョーカー』がビール会社相手にした脅迫ではじまる物語でした。
これら推理小説と一線を画すのは、彼ら「ミダス王の従者」がとてもオートマチックなシステムであることかしら。
しかし警察が無能だな。
「影と光」
まったく正反対の方法で姿を消すことを実現した二人の科学者の壮絶な争い?
むしろ幼い頃から天敵として対立する二人の最後の死闘が、姿を消す発明の成功にあったんじゃないかしら。
光を透過することによって透明化する理屈は理解できますが、光を吸収することによって透明化する理屈が、どうしても理解・想像できない。
どんなことになってるんだその「究極の黒」ってー。
と、ここまで考えて気がついた。ブラックホールって観察できてますがなんで?
最近感想を書くごとに、頭の悪さに拍車がかかっているのが判明して嫌な感じです。超頑張れ自分。
そういえばホーソーンははじめて読むと思ってたら、はるか昔に例の金の星社のアンソロジーで読んでいました。意外と侮れない自分。
収録作品は「マプヒの家」「生命の掟」「恥っかき」「死の同心円」「影と光」の5編。
「マプヒの家」
ひとつの真珠を巡る話かと思いきや、ある小さな島に集った人々を襲う嵐の話。ジャーナリストとしても名を馳せた作者による、ノンフィクション作家の面目を失わせんばかりの嵐の描写がすさまじい。
実際にこんな嵐に遭遇したことがありそうですよね作者。
珊瑚礁輝く南の海が、半日足らずで地獄の様相を呈する様子が、ありありと目に浮かぶようです。
そしてマプヒ母超つよい。
「生命の掟」
語り手の老人が、昔狼の狩りのあとをつけたことを思い出すくだりで、一度倒れた鹿が起き上がった痕跡の場面で涙が出そうになりました。なぜかは自分でもわからない。
昔愛読した、雪原に生きる狼一家の物語を思い出したのですが、その本のタイトルが出てこなくて激しく悔しい。確かメスの仔に「ドーン(夜明け)」とか名前をつけておきながら、面倒くさいし覚えにくいので性格から取ったもっと簡単な名前を使ってた変な本。もしかして海外作品を、子供向けに書き改めた作品かも。
北の果ての冬の厳しさは、そのまま掟の厳しさに直結していますよね。
ノンフィクション作家顔負けの卓越した描写が冴え渡る。
「恥っかき」
背表紙の内容紹介で「拷問を免れる男の話」と書いてあって、ネタバレしてるじゃん!ダメじゃん!と思ったらさにあらず。
あまりに周到な法螺に、これは逃げ切るのか否かとどきどきしながら読むといいです。あらすじとラストに開いた口が塞がらなくなります。そして己の発想の貧困さを嘆じるがいい(すごい自嘲)。
すぐれた作家の発想力というやつは、死角をついて何事かを破壊して突破してゆく瞬発力に溢れていますよね。そしてその発想を肉付けする描写の分厚さは、作者の体験に支えられているのかもなー。
すごい経歴だ作者。
「マルセイエーズ」を「まじないの言葉」として歌う男の心情がいいなー。北の果て、極寒の地で、拷問を免れるための大法螺の中に、かつて辿ったヨーロッパの思い出が恋の歌が込められているこの落差。その落差を生んだ男の姿。
お前背中がすすけてるぜ!(全然違う)
「死の同心円」
原題は「ミダス王の従者」ですが、翻訳されたときのタイトルが秀逸だったということでこちらにしたそうですボルヘスが。
昔読んだ(またですすいません)推理小説で、シリアス度はさがりますがこれそっくりのものがあるのを不意に思い出しました。
確か「ブルーライオンズ」とか名乗る一団が、無差別に毒を盛って回ることで「脅迫」を行うという筋。この場合、日本国民全員が人質になるわけですが、監禁も誘拐もないのに人質というのはどうなの?という問に対して、探偵が「辞書的な意味合いで言えばばっちり人質です」と答えるんです。探偵は「こんな名前を名乗るからには、高学歴で教養のある集団でに違いない」と名前だけで犯人像を絞り込んでたな。「なんでそんなことがわかるのよ」って女性に突っ込まれて理由を答えてた気がする。
ちなみに毒が仕込まれたのはその辺の喫茶店のシュガーポット。これは確か。
あと、高村薫の『レディージョーカー』がビール会社相手にした脅迫ではじまる物語でした。
これら推理小説と一線を画すのは、彼ら「ミダス王の従者」がとてもオートマチックなシステムであることかしら。
しかし警察が無能だな。
「影と光」
まったく正反対の方法で姿を消すことを実現した二人の科学者の壮絶な争い?
むしろ幼い頃から天敵として対立する二人の最後の死闘が、姿を消す発明の成功にあったんじゃないかしら。
光を透過することによって透明化する理屈は理解できますが、光を吸収することによって透明化する理屈が、どうしても理解・想像できない。
どんなことになってるんだその「究極の黒」ってー。
と、ここまで考えて気がついた。ブラックホールって観察できてますがなんで?
最近感想を書くごとに、頭の悪さに拍車がかかっているのが判明して嫌な感じです。超頑張れ自分。
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