井上ひさし、新潮文庫。

とりあえず背表紙より引用。
文部省も国語の先生も真っ青!あの退屈だった文法がこんなに興味津津たるものだったとは。もはや教科書ではつかみきれない日本語の多様なる現実がここにある。一家に一冊話題は無限。古今の文学作品は言うに及ばず、法律文書、恋文、歌謡曲、新聞広告、野球場の野次まで、豊富かつ意表を突く実例から爆笑と驚愕のうちに日本語の豊かな魅力を知らされる空前絶後の言葉の教室。
感想書くのにぐぐったら、wikiに井上ひさしのページがあるのを見つけたのですが、すげえですね。よいしょっと。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E4%B8%8A%E3%81%B2%E3%81%95%E3%81%97
こんなところで米原万里の名前に遭遇するとは思わなんだ。日本語に興味があるなら、米原万里の本は超おすすめ。そして『修羅の棲む家』読みたい。

奥付によると文庫が昭和59年、1979年発行。単行本は56年ですってー。その当時を知る人は思い出しながら読むとよいですよ。
日本語についての軽妙なエッセイなのですが、著者の博覧強記が多岐に渡りすぎておそろしい。ものすごい勤勉な人なのに遅筆堂なんだ……。
学術的にもきっちりした本ですな。興味深くしかも読みやすい話題で知的好奇心がもりもり刺激されます。実例をあげるための引用先もすごい。野球場の野次やらスワッピングの交換相手募集の記事やら、普段から読んでいる新聞7紙やら。
個人的に、翻訳者によって日本語に取り入れられた外来語(と文法)のくだりが面白かったです。「〜や否や」が「as soon as〜」だなんて思いもよらなかった。ははあ、言われてみれば古文には句読点も擬人化もないよなあ。
あと、この時代から既に「日本語が乱れている」「オリコンチャートの上位は英語ばっかり」は言われていたのですね。おっかしー。今見たら件のオーストラリア人は卒倒すると思うデスよ。わたしも久しぶりにテレビ見たら、上位が見たことのない単語で埋め尽くされていて、どれが歌手名でどれが歌のタイトルなのかわからなくて思わず目を擦ったしな!

「政治家は字をいじるな、票でもいじってろ」に諸手を挙げて賛同したひとは、福田恒存の日本語教室を読んでにやにやするといいよ、いいよ、っていうか一緒ににやにやしよう。
旧かなは好きだけど、新かなとの間で困っちゃうという感性にはとても共感します。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索