スティーヴンスン、南條竹則・坂本あおい訳、光文社古典新約文庫

まったく光文社は素敵なレーベルを創設してくださったものです。
繁栄をきわめたヴィクトリア朝のロンドンは、いかなる冒険が待ち受けるかわからない魔法の都。本書は、各篇の主人公が謎と陰謀のさなかに引きずりこまれる、「狐につままれた人の乗合馬車」なのだ。(帯より)
理由なき自殺者が集うロンドンの夜。クリームタルトを持った若者に導かれ、「自殺クラブ」に乗り込んだボヘミアの王子フロリゼルが見たのは、奇怪な死のゲームだった。美しい「ラージャのダイヤモンド」をめぐる冒険譚を含む、世にも不思議な七つの物語集。(背表紙より)
『宝島』の著者が書いた19世紀ロンドン版「アラビアンナイト!」(帯より)
ボヘミアの王子フロリゼルを狂言回しに、ロンドンで起こる不思議な事件を複数のパート・主人公で語る物語。
事件ごと、更にエピソード・主人公ごとに区切られたパートと、パート間のつなぎが実にアラビアンナイトらしいつくりです。まさに19世紀ロンドン版アラビアンナイト。
感想を探してネットをうろうろしてみたのですが、言われてみればちょっと懐かしい探偵小説の香りがそこかしこに感じられますな。
とは言え探偵役のフロリゼル殿下は、金と権力で事件を片付けてしまうので、推理とか証拠とか本格とか、そういった単語は出てきません。
冒頭の「クリームタルトを持った青年が酒場を回っている」という奇想天外さに、作者の自信のほどがうかがえます。こんな無茶な出だし、自信がなければとても書けない。
「スティーヴンスン」という名前にまったく見覚えがなくて、著者の紹介を見るまで、素ではじめて読むなあと思っておりました。「宝島」「ジキル博士とハイド氏」の作者だなんて知らなかったわよ。

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