『博士の奇妙な思春期』
2008年1月6日 読書斎藤環、日本評論社
レビューサイトで引用されていた、やおいについての考察が素晴らしかったのでずぎゅーんときて買いました。具体的にここです。
位相の読み替えかー。つまり、読み替えが難しいほど萌えの強度があがるということですね。嘘ですけど。商業BLには全く食指が動かないけれど、二次妄想ならいける人がいる理由も、「狙われると萎える」という発言の意味も、ライトおたくな腐女子層とやおいなねーさんがたのゆるやかな棲み分けラインも、全部この解釈で説明可能ですね! 嘘ですけど。
ちなみに、この「榎本氏」は漫画家の榎本ナリコのことです。そういえば評論活動もしてましたね。単行本にまとまってるとは知らなかった。『センチメントの季節』のあとがきがすごい切れ味だったのを思い出し、深く納得しました。
それはさておき本書の感想です。
このレベルの切れ味が全編に横溢している妄想によだれ垂らしつつ購入したのですが、いろんな事象に広く浅く当たっているため、ちょっと物足りなかったです。面白いことは間違いないんですけど、もっとねっちりがっつり一つのテーマを掘り進めて欲しかった。常から分析妄想にひたっている当事者=オタクそのもの、な人には再確認以上の意味はないかもしれません。あと、専門用語が多すぎてときどき涙目でスルーしなければならないポイント多発。たとえば、
「言い換えるなら、男性は自分の立ち位置が崩されることを恐れる。バリントのいわゆるオクノフィリアとフィロバティズムの対比がただちに連想されるだろう」
とか。バリント以下が全くわからないので華麗にスルーしたのですが、家主に読ませたところ「わからないどころか全部の単語が生まれてはじめて見るんですけど」と言われました。
なんとか読了はしましたけど。とりあえず趣旨を掴むだけならさして困らないのではなかったでしょうかしら?
・「なぜ母親は、発掘した息子のエロ本・ビデオをきちんと整理整頓して机の上に置くの?」という疑問がスマートに解決されていて、笑うところじゃないのに吹きました。
・ヤマギシ会という単語が懐かしく目に映ります。
・ショタコンが男性向けと女性向けの融合する極北だというのはものすごい頷ける。
・フロイトの髭親父めー
・本旨と直接関係はないのですが、大人は「死」というタブーについて子どもに質問されたときに、ちゃんと応じることができるように心構えしておいて欲しい。別に答えはなくていいんです。応じて欲しいんです。そうですか異端ですか。くそう、どうせ異端さ!
・東浩紀は必読なのかなあ……。ううう。
・それ以前の問題として、辞書を買うべきかもしれない。実は哲学事典をもっていないという罠。
レビューサイトで引用されていた、やおいについての考察が素晴らしかったのでずぎゅーんときて買いました。具体的にここです。
それでは女性おたく、すなわちやおいの人々は、何に『萌える』か。そもそも彼女たちは、あまりこうした表現を使用しない。しかし榎本氏によれば、やおいの人々は『位相萌え』なのだという。(中略)『位相』とはすなわち、関係性の位相を指している。ある少年もの漫画作品において、男同士の友情や確執といった関係が描かれるとしよう。彼女たちが熱く注目するのは、まさにこの関係性なのである。そこに描かれた微妙なしぐさ、視線、せりふ等々の断片から、こうした関係性をいかに恋愛、すなわちホモセクシュアルな関係性の位相に変換するか。これこそが、やおいにおける普遍的テーマにほかならない。第2章「『おたく』のセクシュアリティについて」からの引用なのですが、腑に落ちる+核心を突かれる=腑を突かれるようなショックでした。
位相の読み替えかー。つまり、読み替えが難しいほど萌えの強度があがるということですね。嘘ですけど。商業BLには全く食指が動かないけれど、二次妄想ならいける人がいる理由も、「狙われると萎える」という発言の意味も、ライトおたくな腐女子層とやおいなねーさんがたのゆるやかな棲み分けラインも、全部この解釈で説明可能ですね! 嘘ですけど。
ちなみに、この「榎本氏」は漫画家の榎本ナリコのことです。そういえば評論活動もしてましたね。単行本にまとまってるとは知らなかった。『センチメントの季節』のあとがきがすごい切れ味だったのを思い出し、深く納得しました。
それはさておき本書の感想です。
このレベルの切れ味が全編に横溢している妄想によだれ垂らしつつ購入したのですが、いろんな事象に広く浅く当たっているため、ちょっと物足りなかったです。面白いことは間違いないんですけど、もっとねっちりがっつり一つのテーマを掘り進めて欲しかった。常から分析妄想にひたっている当事者=オタクそのもの、な人には再確認以上の意味はないかもしれません。あと、専門用語が多すぎてときどき涙目でスルーしなければならないポイント多発。たとえば、
「言い換えるなら、男性は自分の立ち位置が崩されることを恐れる。バリントのいわゆるオクノフィリアとフィロバティズムの対比がただちに連想されるだろう」
とか。バリント以下が全くわからないので華麗にスルーしたのですが、家主に読ませたところ「わからないどころか全部の単語が生まれてはじめて見るんですけど」と言われました。
なんとか読了はしましたけど。とりあえず趣旨を掴むだけならさして困らないのではなかったでしょうかしら?
・「なぜ母親は、発掘した息子のエロ本・ビデオをきちんと整理整頓して机の上に置くの?」という疑問がスマートに解決されていて、笑うところじゃないのに吹きました。
・ヤマギシ会という単語が懐かしく目に映ります。
・ショタコンが男性向けと女性向けの融合する極北だというのはものすごい頷ける。
・フロイトの髭親父めー
・本旨と直接関係はないのですが、大人は「死」というタブーについて子どもに質問されたときに、ちゃんと応じることができるように心構えしておいて欲しい。別に答えはなくていいんです。応じて欲しいんです。そうですか異端ですか。くそう、どうせ異端さ!
・東浩紀は必読なのかなあ……。ううう。
・それ以前の問題として、辞書を買うべきかもしれない。実は哲学事典をもっていないという罠。
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