浅井ラボ、小学館ガガガ文庫
角川書店から出ていた同タイトルのシリーズに、大幅加筆修正を加えての新装版。
作者本人の発言から推測するに、角川とは恐ろしいほどもめたっぽい。ていうかガガガ編集部のブログが怖すぎます。
どう見ても全力で喧嘩売ってるよね。

信者的には、作者が快適に執筆して新作を刊行してくれる出版社がよい出版社なので、発音できない書店からの移籍については「ああーこれで新刊が出るよ、死ぬ前に続きが読めるよ」と喜びを持って迎えたいと思います。
内容とは全く関係ないですが、ガガガ文庫の使用しているフォントの美しさは素晴らしいですね。
上品で冷淡でスタイリッシュ。
角川版と脳内比較しなければこの美しさには気づかなかったかも。

さて新装版について、旧版と比較しつつ感想ー。もちろん旧版は読んでるという前提でネタバレしますよ。

・「號っ!」はさすがに削るだろう、いや、しかしあれはある意味でマイノリティの誇りと挫折を端的にあらわす作品の本質的なアレをアレしてるアレなので、残してくるだろうけど一行目にこれはないと……
ありました。
そんなどうでもいいところに情熱をかけて予想するアホがわたし以外にも存在して嬉しいです。同士よ。同好の士よ。
厳密には「1章の1行目」になってましたが。
・おそろしくこなれているけど、結婚式に生首とかの冗句については旧版のノリのほうが好きだなあ。いびつに過剰な若々しさは削れて丸くなる運命にあるのはわかっているけど。
・話の流れはほぼ旧版と同じ。削られていたところを存分に肉付けしなおした感じ。2巻以降の物語とつながる「シリーズ全体の大きな流れ」を意識した調整ですね。
・そのおかげで1巻だけではあんまり意味のない登場人物が新規に足されたり、クローズアップされたりしてるので、旧版の「無駄に入り組んだ構成と必要なもの以外は全くない」完結した美しさが殺がれてやや残念。
・デビュー1発目にもかかわらず、二重三重に重ねてくる緻密な構成と、必要なものの演出と不要なもののフェードアウトの手際、しかも完全にひとつの物語として完結してるところに驚愕したので「ひとつ」でなくなったことは残念でありますなー。
・新装版読んで好きになった人は、旧版がなくなる前に買いに走るといいと思うよ。
・完全な信者の発言だと自分でも思います。
・キュラソーは「つけものを嬉々としてつけるおっさん」でも相当に可愛いと思うので、1巻のあいだくらい正体を伏せて欲しかったであります。
・ヨルガとマグナスは旧版のデザインの方が好きだった……!新版ではよりオートマチックぽくなったけど、その分量産型っぽいよね……。大業物なんだから一本物であって欲しいんだぜ。
・魔法使いの杖で剣で銃で日本刀もこなすって、どんだけ欲張りで贅沢な設定なんだろうと気がついて、驚愕した。これだけでかなり勝ってる。いろんなものに。
・アクションの加筆で燃える燃える。
・あと駄目眼鏡な主人公が好きすぎるので、もっと酷い目に遭えばいいと心の底から思います。ぼこりたい。
・誤字脱字が酷いとは聞いていましたが、地の文の間に突然かぎかっこの下半分だけとかひどすぎる。大変盛り上がっているラストバトルで「間違いを犯していただようだ」とか。特に後者、緊迫感が瞬時に蒸発した。

完全新規書下ろしが来るまで、楽しく楽しみに生きて生きたいと思います。

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