ブライアン・ラムレイ、夏来健次訳、創元推理文庫。

タイムリーな読了タイミングではありますが、ちょっと今忙しいのであとで。
むしろあと5日くらいは忙しそうなのは突っ込み不可。

『小生物語』

2006年12月30日 読書
乙一、幻冬舎。

webで連載していた日記を書籍化したもの。
エッセイとも日記ともいつもの大法螺ともつかない不思議な本。

また読了メモですよ!
横溝正史、角川文庫。

ひとまず読了記録のみ。
鋼屋ジン+古橋秀之、角川スニーカー。

古橋秀之による、ニトロプラス作品『デモンベイン』のノベライズ第三弾。
西博士充満。

毒量目も、もとい読了メモのみでごめんなさい。
なにはさておき、最高だったということだけ叫んでおく。
中島敦、岩波文庫。

はじめて知ったのが、高校生のとき。国語の資料集に「山月記」からの引用が載っていたのでした。
己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、また、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。

これが当時あまりに衝撃で、読まねば、読むならば原文で読むのだ、と固く思い込んだばっかりに、結局今の今まで読むことが出来ずに人生の曲がり角をひとつ曲がり損ねた感じ。
今衝撃を受ける点はそこではなくて、むしろ「臆病な自尊心、尊大な羞恥心」のほうでありました。
いちいち掌をさすようにぴたりぴたりと人の心の弱いところをえぐってくれるので、引用まみれにして語ろうかと思いましたが気力がないので長文感想はまた今度。
読み手がえぐられると思っている事柄は、すなわち作者がえぐられてしんどかったことなんだろうなー。
南洋の華やかで寂寥極まる真昼も素敵。
「文字禍」や「牛人」はわたしの中では幻想文学に分類されてます。
これくらい硬い漢文調の文章が一番好みに合っているかもしれない。
ああそれにしても曲がり角を曲がり損ねてしまった。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス編纂・序文/酒本雅之・竹村和子訳

イタリア、フランス、ドイツ、スペインで刊行された国際的出版物の日本語版。現代文学の巨匠J.L.ボルヘスが編集、各巻にみずから序文を付した、夢と驚異と幻想の全く新しい「世界文学全集」。ポー、カフカ、ドストエフスキーからアラビアン・ナイト、聊斎志異まで、文学のすべてがこの30冊のなかに! イタリア・オリジナルの装幀。  突然理由もなく妻のもとから失踪し、ロンドンの大都会のなかで「宇宙の孤児」と化した1人の男の物語「ウェイクフィールド」に「人面の大岩」「地球の大燔祭」「ヒギンボタム氏の災難」「牧師の黒いベール」の全5篇。

最後の「牧師の黒いベール」を、ラスト3ページまで読んで3週間放置プレイした自分は強いと思う。
面白いことは面白かったけど、合わなかった。
オチに求めるところが違いすぎた感じ。
要するに趣味の違いということですね。
「ヒギンボタム氏」が一番趣味に近くて、「人面の大岩」が一番遠かったかしら。大岩が多いわって変換されて怖いタイトルになった今。

『小鳥たち』

2006年12月17日 読書
アナイス・ニン、矢川澄子訳、新潮文庫。

「ヘンリー・ミラーとの奔放な愛に生きた美貌の女性作家ニンが、一人の老人コレクターの楽しみのために匿名で書いた、繊細で脆く、強烈で妖しいエロチカ。」

というわけでエロ小説です。短編14本収録。
表題作の「小鳥たち」は、女学生の前で露出したい変態男が、女の子を呼ぶための口実に小鳥を飼い、そして露出する話。
「うっわー変態だ」
という感想しか出てきませんでした。
芸術作品に対してなんたる冒涜ーイエー。
解説が三浦しをんなのは、新しい層を取り込むためなのかしら。
注文主が「詩は切り落とせ」と至上命令を出していることを知らずに読むと、わけわからなさ百倍。

『痴情小説』

2006年12月12日 読書
岩井志麻子、新潮文庫

短編集。買うタイミングが悪いのか、またしても現代・東京・岡山・ベトナムの男の話ばっかりで、そろそろ飽きてきました。
同じことを繰り返し書くのはいいけれど、ここまでディティールが同じだとさすがに食傷気味。
テレビでもまた同じ話をしてるらしいしなー。
ちょっと岩井志麻子おやすみします。
安野モヨコ、講談社文庫。

読んだー。

『貧しき人びと』

2006年11月26日 読書
ドストエフスキー、木村浩訳、新潮文庫。

か(以下略)。

いつになったら風邪が完治するのか、全てはそれからだと思いますたぶん。
来年の話をすると鬼が笑うんですけども。
筒井康隆、角川文庫。

ついに買ってしまった……。手を出してしまった……。
永年の憧れ筒井康隆。
永遠と長年を混ぜたら永年になってしまった。死ぬな、まだ死ぬなわたし。

「日本以外全部沈没」
「あるいは酒でいっぱいの海」
「ヒノマル酒場」
「パチンコ必勝原理」
「日本列島七曲り」
「新宿祭」
「農協月へ行く」
「人類の大不調和」
「アフリカの爆弾」
「黄金の家」
「ワイド仇討」
パニック短編集と銘打ってあります。

そしてここまで書いておいて感想は後日。
倉橋由美子、講談社文庫。

エッセイ集。実家帰省の際に、母上様から半ば強奪するように譲り受けてきたもの。
大変面白かったのと、前々から狙ってた倉橋由美子であるので嬉しさもひとしおですが風邪でしんどいのでかんそ(以下略)。
塩野七生、新潮文庫。

友人が誕生日にプレゼントしてくれたありがたい一冊。
しかし風邪でしんどいので感想は後日。
喬林知、角川ビーンズ文庫。

感想は後日……。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス編纂・序文/中西秀男訳

もちろん書いたのはサキですよっと。
そしてわたし長いこと「どうしてサキはサキだけとしか表記されないんだろう?」と不思議に思っていたのですが、ようやくこの年になって知りました。筆名だったのですね。姓名はっきりしない辺り、乙一みたいな感じ?

「無口になったアン夫人」
「話の上手な男」
「納戸部屋」
「ゲイブリエル―アーネスト」
「トーバモリー」
「名画の額ぶち」
「非安静療法」
「やすらぎの里モーズル・バートン」
「ウズラの餌」
「あけたままの窓」
「スレドニ・ヴァシュター」
「邪魔立てするもの」
を収録。

一番目に「アン夫人」を持ってくるなんて、さすがボルヘス……!
サキ未読だったのですが、一撃で参ってしまいました。のっけからむごいオチで素晴らしい話です。しかもそれがトップを切るという、内容と配置の絶妙さに喝采です。
「話の上手な男」と「ゲイブリエル―アーネスト」は読んだことがあるような気がする。優等生でいい子の女の子が、その優等生ぶりを褒め称えるメダルのせいで不幸な目にあう話というのが、他になければですが。「ゲイブリエル」は少年の茶色い濡れた体の様子と、それがいきなり部屋のソファに寝そべっているところと、名前に見覚えが。わたしが読んだときは「ゲイブリエル」じゃなくて「ガブリエル」だったよーなおぼろげな記憶。
しかし「日本語になじまないのでワーウルフ/ウェアウルフはさしあたり『ヒトオオカミ』と訳しておいた」っていつの時代のセンスなんだろう。今なら「狼人間」とかいっそ「人狼」とかいろいろあるじゃない。日本人もだいぶライカンスロープに親しんだよな、と刊行年を見て今思った。(1988年刊行)
「名画の額縁」は何処かで見たことあるなあ、人間国宝指定された男が、自由を奪われてついに博物館で展示されてしまう話を知っているぞ、と悩んで思い出しました。「世にも奇妙な物語」で、職人か職人によって刺青を施された男が、人間国宝に指定され、背中の刺青に傷をつけないようにと自由を制限されまくり、あげくに「生きてると破損する恐れが」と死体(殺されたかどうかは不明)を博物館で展示されてしまうという今思うとそのまんまサキな内容でした。「名画〜」は展示されてしまうよりもっとある意味で辛辣なオチですばらしい。
「ウズラ」も似たような空気をどこかで見たような見ていないようなー、多分「ウズラ」ではないほうに自分で一票。
これも人間心理をついてすばらしい。こういうの大好き。あと、話の筋と人間描写とは別に、こういうお店のこういう買い物のシーンがやけに好きだ。カウンター越しに店主に頼んで量り売りしてもらい、金貨を使うような買い物にはあとで使いをよこし、銀貨なんかで支払うようなそういう時代というか世界観というか。紙幣で支払ったらロマンが失われるそういう買い物風景。
編者にならって、2本選ぶなら「アン夫人」と「邪魔立てするもの」かなー。「トーバモリー」と「ウズラ」も大変捨てがたい。
ていうかみんな好き。
サキ全集とか文庫で出てないかしら……。

そして友人よ、「ヘンリーよりサキ」というその言葉しかと受け取ったー!
松原真琴、集英社。

小説版『BLEACH』の2巻ですよー。ルキアが主役で評判がいいらしいので、うっかり買ってしまいました。
ルキア萌え。

とりあえず、七緒たんが貧乳だということがわかっただけでも松原真琴ありがとうありがとう!

でも『とるこ日記』はもうしばらく積んでおく。

料理をするルキアを主軸に、脇役をオールスターに登場させてみましたよ、という感じ。
キャラはよくつかんでるし雰囲気も出てるし、ところどころ非常に美味しいので、キャラ萌えで財布に余裕がある人なら買い。
しかしこれで小説なのねー。ライトノベルも真っ青な白さと、ト書き寸前の描写とすかすかーな行間。
原作があるから外見とか性格の描写いらんのか、そうか。
どうせならこれを久保帯人本人が描いたものが見たいと思うのが人情でありますが、そんなことしたらこの本の意味ない上に、作者過労死しそうです。

よそはみんな隊長副隊長で仲いいのに、大前田のところはアレなのね……とカルピスソーダ吹きそうになった。
物集高音、講談社ノベルス。

借り物。1997年の新刊だってさー!同時配本が『黒猫の三角』であるところに懐かしさを感じつつも、しかしまったく知らない本であるのでした。
「物集」と書いて「もずめ」と読むのですが、これが一発変換されることに一番驚いた。
話の内容にはさして驚かなかった(むごい)。

家紋と名字を見れば、相手の出身をずばりと当ててしまう系譜学者、忌部言人が営む「系図屋」。これが三田魚籃坂の上の探偵社。
友人にして筆記者、一人称の物集は最近職を失ってひょんな縁で忌部のところに居候することになり、お約束で事件に巻き込まれるのでした。好きで首を突っ込んだとも言う。

時代は昭和三年。忌部と物集が暮らすのは東京。系譜学者は家族に親戚がいるとかいう洋行帰りの系譜学者で、物集は小さい頃から勝手な気性の忌部に振り回されてきたという(要するに毎回折れていたというこだ)どっかで見たような、ずばり言っちゃえば二匹目のどじょう狙いの一作。
この手の博識な書斎は探偵が、足を使って地道に調査するのもどうかと思うし、ノルマントン号事件が伏線にすらなってない「大団円」も更にどうかと思うし、大体最後まで読んでも忌部と物集のキャラがつかめなかったのは致命的に痛い……。
背景となっている時代や風俗は、見てきたように描かれていて、忌部の薀蓄も楽しいのですが、やっぱりぎこちない。
推理小説とかミステリとしてはがたがたですな。

物集の寺嫌いなど、続編がありそうな気配と、覆面作家ということでぐぐってみたのですが、続編あるのですね……。
既にデビューを果たした作家の別名じゃないかといううわさもありますが、個人的に新人説に一票。
さすがに書きなれた作家が「?!」だの「!!」だのの特殊な記号を講談社ノベルスで連発しないだろうと。
「?!。」を見たときには「禁則処理くらいしろよ!」と激しく突っ込んでしまいましたとさ。

借り物なのにこんなに罵倒してよいものだろうか……しかし面白くないものに面白いとは言わぬ!それが本読みのせめてものプライド!
というわけで、1999年頃の思い出と、古きよき時代風俗が好きならこんな本がお薦めよ〜とお茶を濁しまくった感想を伝えてこようと思います。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス編纂・序文/富士川義之訳
イタリア、フランス、ドイツ、スペインで刊行された国際的出版物の日本語版。現代文学の巨匠J.L.ボルヘスが編集、各巻にみずから序文を付した、夢と驚異と幻想の全く新しい「世界文学全集」。ポー、カフカ、ドストエフスキーからアラビアン・ナイト、聊斎志異まで、文学のすべてがこの30冊のなかに! イタリア・オリジナルの装幀。  「イズレイル・ガウの名誉」他ブラウン神父もの4篇と、「美しいチェスの遊戯を白い街道や白い軽騎兵、そして白い馬で武装したチェスタトンの代表作」とボルヘスが称えた「三人の黙示録の騎士」を収録。

まるっと国書刊行会オフィシャルページから引用。
国書刊行会の公式ページはこちら→http://www.kokusho.co.jp/index.html

「三人の黙示録の騎士」
「奇妙な足音」
「イズレイル・ガウの名誉」
「アポロンの眼」
「イルシュ博士の決闘」
の5編を収録。

待ち時間で一冊読めました。美しい装丁に、美しい紙面。うっとり。
ところでわたし、「ブラウン神父」という有名な探偵が登場する小説のことは聞き及んだことが多々ありましたが、その作者がチェスタトンだということは知りませんでした。
この本読んで初めて知りました……。超がつくほど無知……。
いいんだ、作者よりも創造された探偵のほうが有名になりすぎてあれやこれやというのはよくある話!
ブラウン神父との初遭遇ですが、面白かったです。事実を重視しない、犯人の内面から行動という外面へ迫るやりかたが特異だと訳者によって説明されていましたが、神父が犯人の懺悔を胸にしまって説明の必要なしと事件を切り上げてしまうところが素敵。
文章も端正ですね。微妙にひっかかるところがあったのは多分訳のせい。
「三人の黙示録〜」と「奇妙な足音」がお気に入り。

実物が手元にないのでこの程度の感想で勘弁してください……。
次はサキですよ、どきどきします。
友人が「ヘンリーかサキか、って分かれるところだよね」と言っていたのが忘れられない。
そしてサキ読んだことがない無教養。

『花鬼幻燈』

2006年11月5日 読書
真堂樹、コバルト文庫。

年一回出るのでなかなか縁が切れない、もとい油断ならない「四龍島シリーズ番外編」。
今回は主人公があんまり美形美形と連呼されてなくて安心しました(主人のほうはいくら連呼されてても全然気にならない不思議)。
相変わらずアイドル状態だなあ飛。
そして子どもが出てくると、「どこかで見たような……見たようなこの展開……」と疑心暗鬼におちいる自分が憎い。
伍家のひとと言えば、前に番外編で末っ子が登場してたけど、これが長兄なのか……と今気が付いた。

イラストがだいぶ持ち直していて一安心ですよ。こないだは倒れるかと思ったからな。
牧野修、ハヤカワ文庫。

牧野修の書く小説が、やたらにやわらかそうなのは、単に、グロテスクな肉塊や化け物や何者か得体も知れぬ腐った代物が多く登場するからというだけではなく、主人公たちや「わたし」がごく簡単に(多くの場合、言葉につられて)変容してしまうからなのであろうなあとようやく思い至りました。
しかしこれって見事なクローズドサークルテーマですよね。外部とは連絡の取れない環境で、顔も姿もわからない「月光夜」を探し出して捕獲する任務。の、はずが、じょじょに数を減らしてゆく面子、紛れ込んでいるらしいスパイ。3時間ごとにリセットされる記憶。その間の事柄を記録したメモリーカードの破壊。

この中に月光夜がいる?

いるんだろうなあ、いるなあ。しかし予断を許さぬ<レーテ>内の極悪な環境は、月光夜どころか生存すら覚束ない地獄のありさまであったのでした。

のっけから、
アガタ原中県は関の西側四県の中では最も富んだ県である。というのは、アガタ原中県には特産品の<ゆずす飯>があったからだ。<ゆずす飯>は原中地方特産のツマゴロシ虫と、アガタ原中県でしか採れない鉱物酢<ずむ酢>を使ってつくられる特殊な名産品だ。
 <ゆずす飯>を常食とする兵士は、無敵で不死身の<ゆずす兵>となる。従って国内での<ゆずす飯>の需要は高く、高額で取引されていた。

吹いた。
いったいどんな日本なんだろうとか、そのネーミングはどうなのよとか、何処から突っ込んでいいかわからないレベルで世界観を堂々と披露されて、もはや吹き出すしかなかった。
パソコンとキーボードが無事でよかったです。

やわらかいやわらかい連呼しましたが、残酷描写は相変わらずだし、今回はちょっと固めな印象でした。

『傀儡后』がライトノベルばりのきらきらしい表紙絵をつけられて文庫化していたことに驚愕した。

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