映画の話。

2004年10月11日 未分類
本日、家主と共に「I,Robot」を観てきました。やつは「『モンスター』が観たい、そして鬱々したい!」と主張していましたが、私の「アシモフを観ずして何がロボ子か!何がクラスタか!」という強硬な主張に折れました。矢張りガンダムを見ないことにはサブカルの何割かが理解不能なように、原典に当たらずしてロボを理解するのは不可能ですよ。三原則がいかに働くか思い知れー!
以下何事もなかったかのように、細部のみに拘った感想。

近未来(もう「近」なのですよ!)ロボが当たり前のように雑踏を歩く世界がそこにある。主人公はちょっとした事故からロボ不信に陥った刑事。時々神経科に行ったほうがいいんじゃないかなーと思われる程度で、古き良きものを愛する以外には取り立てて特徴はありません。ていうかまあ、主人公としての基本は全部押さえてるのでオッケー。そんな彼が何故かロボを売って大成長した、ロボ供給会社の開発者トップの博士からお呼び出しを食らいます。博士はよくわからん問答を残して自殺済み。自殺した瞬間のデータはビルの管理システム(ヴィッキーという女性人格)からも失われ、引きこもり人間不信をこいていた博士がどうやって死んだのかは全くの謎。周囲は自殺だと言うけれど、ロボ不信の主人公は「誰がこの強化ガラスの窓叩き割ったんだよ」と、ロボ犯行説を主張。博士の引きこもり部屋を捜索したらなんと三原則に従わないロボ=名前はサニー発見!さあ逃げるサニーをダッシュで追跡だー!
燃えどころは、ビル内廊下でのサニーVS他のロボ。人間同士の殴り合いは見ててイマイチだけど、互いに一撃必殺の機構を持っているロボ同士の接近戦は息を飲むほどカッコいい。常に殴り合いがこういうのならトリガーハッピーやめてもいいなあ。ロボなら人間だと見えない骨格や筋肉の動きがそのまま見えるというのも素晴らしい。警部が乱入してきたロボを撃ち倒すところも素敵。クリーンヒットは爽快。
最初にサニーが疑問点として提示した「ウィンク」の使用や、トラウマ持ちの刑事のロボ不信の原因が目の前で解消されるところなんかはもうベッタベタの王道お約束。鉄板ですな。しかしこのお約束の強固さ故に安心してみていられると言うのも事実。つーかお約束好きにはたまりません。

……ものっそいここだけの話、途中から「はろわ」フィルターが稼動して、ヴィッキーがイズモに見えてしまったり色々と大変でした……。反対していたはずの家主が「かーずきー!!」と帰りの車で大変ご満悦だったのは忘れてあげた方がいいんだろうか。
読んだー。
読んだー。
読んだー。
土岐さん大好き。こうなりたいと肝に銘じるほど理想だった。光を、まぶしいものを、鋭いものを、強いものを、純粋なものを、誰かの心の中で永遠に輝くものだけを、正しいと思っていた。
自分が書くものは、書きたいものはきっとそういうもので情熱と言うことだと思っていた。

自分がもう若くないと思うと余計に切ない。
『ねじの回転』見事!

恩田陸描くところの二・二六事件。人類は時間遡行の技術を確立し、その結果として(以下ネタバレにつき割愛)。
時間遡行ものは頭が悪いので苦手なんですが、久しぶりに大当たりでした。つーても時間遡行絡みで読んだ本なんて某SF大家の日本が沈没する話くらいなのでえらそうなことはいえません。基本的に時間遡行は「ループ」形式をもっているので、やり直したらああなってこうなって影響が〜、と考えているうちに大混乱、訳がわからなくなるのがお約束です。
しかし、まあ。ここまで広げた大風呂敷を、よくも見事に畳んだものです。はい、ここに取り出だしたりますは時間遡行、柄はニ・ニ六事件、中から飛び出したのは鳩ならぬ猫、ついでに言うならウィルス持ちで人類滅亡の予感!贅沢です。劫火です。もとい豪華です。鳩、逆上がり、懐中時計、ハッカー、クリップ、猫、時間遡行、壮大なループ、歴史の改竄、仕掛けはこれだけで飽き足らず、夢オチまでつけてくれちゃうそのサービス精神。
……恩田陸は文庫のラインアップを考え直した方がいいと思う。マジで。文庫作品だけを読んで培った恩田イメージは「基本的に『蛇行する〜』で、少年は大抵『ネバラン』で、女性はことごとく『木曜』。まあ当たりが多いのは『三月』よね〜」なので、まさか陸軍と海軍が仲が悪くて一触即発で東条英機を軍用銃で撃ち殺す(この頃陸軍内で使用されていた銃ってなんだっけ)話を書こうとはお釈迦様でも思うまい。軍事マニア大喜びーイエー!岡田首相暗殺失敗なんて基本よね。うふふふふふ。鈴木さんとか名前見るのも久しぶりな人が大挙して登場。キャー!ああ、でも政治ネタは食指が動かない。

日本海軍大好き。

足袋。

2004年10月9日 未分類
なんとなく本屋に寄って『キノの旅8』ゲットー!それからコンビニに行って『AGE/楽園の涯』も受け取ってまいりました。後者はなんと「出版社在庫問い合わせ」になっててビビたシロモノですが、こうして無事ゲットできれば嬉しい限り。

『キノの旅8』
ローマ数字は機種依存なので便宜的にアラビア数字表記。
「歴史のある国」
師匠ー、笑いすぎて涙が出ました。特に時候の挨拶から始まる例の手紙と、交渉のときの会話。国を滅ぼすと言う意味ではマジで「傾国の美女」ですな。ああおかしい。
「愛のある話」
久々にダークな話だー。わー。喜んだのも束の間、これでは足りん、足りんのだよ。もっとブラックを俺にー。
「ラジオな国」
ザッツエンターテイメント!!エンターテイナーの真髄を見ました。これ以上はネタバレにつき撤退。
「救われた国」
誰かに、救われた国なのか。誰かが、救われた国なのか。相変わらずサブタイトルも含めていいセンスしてるよなあ、と嘆息のタイトル。
「船の国」a,b
長ッ?!
実はプロローグに当たる方のエピソード、誰が喋っているのかわからずじまい……。定住の話なんて縁がない人だと思っていたんだけど、あの人なのかなあ。ううん、何回読んでも解らない。
「あとがき」
最初ぱらぱらっと内容を確認したとき、全く気がつかなかった……。まさかこんなあとがき、生きているうちに目の当たりにしようとは思いもよらなんだ。これって一体、どうやって書いたんだろう。GOサイン出した編集サイドもどうかしている(笑)。相変わらずの著者近影もあいまって、素晴らしい破壊力。このあとがきだけで買った価値は充分にありました。ぷはー、満足。
黒理瀬だー!

『麦海』で学校を出てから理瀬はまっしぐらに突き進んでいるようですね。うんうん。彼女の将来が非常に楽しみだ。ネタバレしたくない方は『三月』『麦海』を読んでからご覧下さい。

あの素晴らしいパパ上の母君である祖母がお亡くなりに。血の繋がっていない伯母(だか叔母だか。血が繋がっていないならこの表記は意味がない)と住むことになった理瀬。祖母君の思い出詰まる屋敷には、思い出と一緒に「魔女の館」という中傷めいた噂と、なんだかやばそうな「ジュピター」が詰まっておりましたとさ。
「ジュピター」の謎を探り出しながら、それを他の人間に悟られることなく暮らさなければならない理瀬の明日はどっちだ?!頼りになる従兄弟も二人ついてきて、最後の最後まで気が抜けないサスペンス。
いやー、好対照のいとこが好感度高めと思いきや、潜む伏兵、意外な結末。事件が転がり始めるまでの息苦しさと、転がり始めてからの一気呵成な展開、予想外の結末が非常に良い。ゴシック体がないのも素敵(そこにこだわるか)。「R」についての手記を誰が書いていたのか解らなかったので、もう一回読み直してきます。
あれだ。

『クレオパトラの夢』読了。めぐみさん久しぶりー。妹さんの性格の悪さには読んでるほうもイライラするってのな。気になったのは、恵弥と和見の双子が会話するところ。特に前半だと「視点が誰のものなのか」曖昧になることが多い。妹、と書いてあればめぐみ視点だろうに、そのすぐ後に兄、とめぐみを外から見る描写があったり、空白を挟んでいるから視点が移動したのかと思えば、そうでもないことがあったりと、誰の謎も明らかにされていない段階での視点のふらつきが目立つ。確かに視点固定すると、固定された人間の謎はだだ漏れになるから仕方ないのかもしれないけど、もう少しなんとかならかったのかなー。
「実際はないものを、みんなが勘違いして追っかけるものだから、参加者全員があると信じちゃってどうしてくれるのよないものはないって言ってるでしょ!と逆切れ、じゃあこうなったらないものをあるように見せかけた挙句おおっぴらに処分するわよこれで元々あってもなくてもなくなったでしょ?!とばかりに壮大に機密を処分する振りをする話」。
と、思いきや。
という話。

ここまでもここからも素晴らしくネタバレな気もしないではない。

ラストで「実はずうっと気付かなかったんだけど、本当は考えてたのと逆なのよね?真相は推理と真逆で、あれはこうでこれはこうなのよね?……証拠はないから推測だけど〜」っていう展開で「実は推測が真相であったことを匂わす」手法なんてありふれていてよ。

実はそんなことはどうでも良く。
「恩田作品なのに文中に突然ゴシック体が挿入されることが一度もなかった!」
偉大なことです。
読み終わってからしばらく「あれ〜?」と思いながら気付かなかった。
大脱走だ!しかもちゃんと起承転結できっちり落ちて終わっています!ありえねえ恩田陸!(ものすごい暴言)。

『ロミオとロミオは永遠に』恩田陸、ハヤカワSFシリーズJコレクション。読みました。面白かったです。サブカル好きにはたまらん話です。ジャンプの三大テーマって努力友情勝利だったと思ったけどなー。正義友情勝利だっけ?うわー、混乱してきた。
で、サブカルに対するオマージュとか言ってますがパロディにしか見えない私。パスティーシュって何だっけ。いやーしかし、アレだ、とても素敵だ。恩田陸芸風広いな。むしろこういう話を書いてたほうが良いんじゃないのかなー。文庫で読んだ分で培ったイメージがガタガタと音を立てて良い方向に崩れて行きます。いやそういじゃなくてさ。何が言いたいのかと言うと、ちゃんと結末があって、お話としてこれ以上無いほどきちんと終わっていますよと、それを叫びたい。世界の中心では愛しか叫べないので布団の中心辺りでこそっと。
難関試験を苦労して乗り越え、憧れの学園に入学してみたら聞くと見るでは大違い、百聞は一見にしかず、なんとか天国なんとか地獄、恐怖の管理型労働地獄に叩き落されちゃった少年二人が主人公。学園のありように疑問を持った人間が幾度も脱出を試みているが、警備が格段に厳しくなった最近では成功例がない。しかしそこはそれこれはこれ、彼らは脱走するのです。トンネルを掘って、空を目指して、輸送用トラックに忍び込んで。待ち受ける数々の苦難と困難とアクシデントと仲間の脱落を乗り越えていく。青春だー。脱出した先に何が待つのかは誰も知らない。ただ、「成仏する」と言う言葉がまことしやかに囁かれ、脱出に成功したものは日本の何処を探しても見つからない。煙のように消えてしまうその「成仏」の謎に迫るのと同時進行で脱出の手筈は着々と進行していく。
主人公二人組みの友情もいいですよ。内通者のあっと驚く正体も良い。時々、描写が足りなくて何が起こっているのか把握しづらい箇所もあったりしますがその程度は軽く読み流してスルー。サブカルに詳しければ一粒で三度おいしい『ロミオとロミオ』。恩田らしからぬキャラクター造形が好感度高めで「恩田陸は登場人物が少女小説っぽい」と敬遠している向きにもお勧めできる一品。

ちなみにサブカルに理解の無いみじんこ母は意味がわからなくて途中で投げたそうです。面白いのになー。サブカルわからなくても青春群像で脱出劇として読めば盛り上がること請け合いなのになー。勿体無い。
お金もないしー、やる気もないしー、歩いていけるところに図書館があるのなら、活用しない手はないですよ奥さん。ねえ奥さん、今日の夕食はサンマですか?デザートに梨なんかいかがでしょうか(大分頭がおかしな方向へトリップ中)。
つーわけで初・図書館利用で恩田陸5冊借りてきました。家の電話番号が解らなくて(普段使っていない。ネット回線専用と化している)、貸し出しカードつくるのに手間取ってしまいましたが、以後通いつめる所存にござる。

まずは一冊目『劫尽童女』読了。
タイトルから想像していたのは、日常生活にそろりと忍び込んでくる超常現象を宗教テイストでホラーかつファンタジーに仕上げた話だったので、実際の内容を目の前にして思ったのが「自分センスない」。珍しく真っ向からファンタジー(どちらかといえばSFよりなのだろうけど恩田陸なのでファンタジー)。日常を根底に変な現象を描くロゥファンタジーも上手いけど、真っ向勝負のファンタジーを書いたらそれも絶対に面白いだろうと思っていたので、ここまで正面切って「超能力」(超感覚も自分内特殊能力分類では超能力だ)を持った主人公が出てくるとは思わなくて大喜び。いいよーいいよー、思う存分やっちゃってくれさい。
しかしこれは本当に恩田陸なのだろうかと文章の平坦さに首を傾げつつノンストップしてたら、……紛れもなく恩田陸でした。どうしてこの人は明らかに「起承転結」のある、筋の通ったストーリーを書くのに、最後がこけるんだ。ストーリーのない話なら別にラストがこれでも怒らないけどさ……。蛇足なのか足りないのか竜頭蛇尾なのか。面白くて盛り上がるだけにこの落差は読者を突き落としてくれるね。しかもほぼ毎回。泣ける。
普通の人間にはない能力を持った主人公が、住む場所を転々としながら敵と戦い、気がついたら大きな流れに突入、最後にでかい事件が待ってるぞー、というある意味では王道お約束パターン。筒井の「七瀬」を思い出したけど、思い出す割には読んだことがないので比較できず。タイトル「劫尽童女」にはなるほどと納得させられたのも束の間、結局主人公は何処へ向かうのかわからんまま意味不明な確信と共に去ってしまわれるので、やっぱりタイトルがどう呼応しているのかわからなくなった。
それでもかなり当たりですよ。面白いですよ。超能力訓練のシーンなんて昔懐かしいヒロインが火星人の少女漫画を思い出してにやにやしてました。うふふ。

「マリ見て」も「マ」って表記にならないことはないと、今気がついた。そんなことする人はいないと思うけど、もしそうなったらややこしい限り。
三件連続で売り切れ、4件目でラスト一冊をようやくゲット、待望の『これがマのつく第一歩!』読みましたよー。うひひひ。
ネタバレありますので見たくない方はくるっと踵を返して本屋へどうぞ。

……前回の内容を殆ど覚えていなかった。思い出しつつ読んで、サラ様は絶対悪だよな!悪でなきゃ嘘だ!水色のマントを渡したのだって絶対故意犯だよな、寧ろこの場合だけは確信犯という単語を使用しても許されるだろう!と、息巻いていたのだったなあと自分の偏見が当たっていたことに概ね満足しました。
つーか、ものっそ気になるんですが、作中の軍曹ネタは「フルメタルジャケット」のハートマン軍曹が出所でいいんですよね?たまたまこの間見たばかりだったので、えらい笑わせてもらいました。まー、口を開けば糞でピーな元ネタにくらべれば大分ぬるいですが。
で。
なんでこんなところで切れてるわけー?!
しかも続きは可及的速やかと言いつつ今冬だしね……。がっくり。話が進んでないのに引っ張られても泣けるっつーねん。グレタの愛らしさだけであと最低2ヶ月(みじんこ予想)待つのは厳しい……。最近某あの人が某Nみたいになってきてすげえ嫌なんですが、これも向こう側についてる間だけですよね、謎が解けて大団円で解決したら元に戻ってくれ頼むむしろたのぬ。←ミスタイプそのままネタ使用。
松本さんはアナログじゃなくなった辺りから随分絵が変わりましたなあ。アナログ塗り好きだったんだけどなー。
いつものことながら変換に苦労するタイトル。「さま」なのか「様」なのか、「みてる」なのか「みている」なのか(「みる」「見る」のバリエーションも含めるとえらいことに)。時々、「マリヤ」って表記してる人も見かけます。
そんなことはどうでもいい、今野緒雪『マリア様がみてる〜特別でないただの一日』読了。ちなみに家主のです。みじんこ本人は『マ』待ち。待ちっていうか近所の本屋では売っていないので遠出するしか……がっくり。

なんだか最近厳しい。なんなのかこの「NOTみっしり感」は。すかすかというよりは、薄めすぎたスープの如き味わい。これだけ人が出てきて色々起こってるんだから、はしょらないで上下巻にしてきっちりぎゅうぎゅう書いて欲しかったですな。
瞳子嬢がツンデレでたまりません。なんちゅーか独壇場ですがな。ついに「ドリル」と言われてしまったけれど、作者は彼女があちこちでドリル呼ばわりされていることを知っててやったんだろうな……。にんともかんとも。てか、可南子嬢も問題が解決したらしいし、これでまたどっちが妹になるのかわからなくなってきました。いや、感想書くまですっかり忘れてて、もう瞳子嬢で確定だと信じてましたが。どうせなら反則二人妹とかどうですか。主人公ならではの大反則ですが、多分みんな許すと思う(笑)。

ところでコバルトは少女小説誌なのにどうしてボーイズラブの特集なんぞを組むのか……!そんなものは他所に任すか別レーベルを立てるかして欲しいもんです。
よく考えたら、こないだマリ見てを表紙に特集組んだ後、すぐにBL特集って、ものすご節操のない話ですね。
『薔薇とダイナマイト』『ムーンシャイン』(今、ムーン社員って変換してくれやがりましたよIME!)『フィラメント』をイーエスブックスを利用して購入。便利だ。愛してしまいそうだ。

『薔薇とダイナマイト』
店頭で発見できずに十年。ようやく買いました!読みました!コノ頃の若木未生は勢いがあって大変によいですね。地の文の独特さが疾走感に溢れて印象強い。頭から突っ込んでいくしかない不器用なヒロイン西条が、上手く自分の気持ちを伝えられずにぐしゃぐしゃに乱される様子がなんかいい。上手いなあ。そして全く欠片も一ミリも一グラムも躊躇しないで、覚悟を決めたならどんな怖いことでも嵐の中でも突き進むだけ、っつーある意味では暴虎馮河な無鉄砲無軌道無理無茶無謀を貫き通す姿勢にも惚れ。音に関する描写の切れが恐ろしいですよ。何処からこの速度と威力が出てくるのかなあ。形容詞重ねればいいってわけじゃないから余計に不思議。こんなのを一人称で書いてたら、そりゃあ世の乙女が影響受けるよな、と若木劣化コピーが素人の間で氾濫した時期を懐かしく思い出してみる。
『ムーンシャイン』
やべっ、これ持ってるかもしれん。読んだ覚えが満載。アシハラから借りたのは番外だけの筈……?坂本一人称「ムーンシャイン」が真骨頂。ヘッドホンでクリックトーン聴きながら、都会のど真ん中で深海に潜って熱帯魚に金魚鉢かぶせて、母親と全く意思の疎通が出来なくて社会的に半人前で外れてしまってもう帰れない。それがどうした俺は音楽がやりたいんだよ、という話。母親との会話の噛み合わなさときたら、こっちが歯噛みをしたくなる勢い。っていうか大人ってそうだよね。質問に答えないで勝手な話を始めた挙句、どうなのよと重ねて聞くと人の話を聞いてくれないと逆切れするんだよね。ふふふ。すげえわかる!と思った自分は今も変わらずにすげえわかるよその気持ち!と思います。藤谷先生と歩道橋の上でムーンシャインを作るくだりが白眉かな。
しかしこの頃に比べると、「GLASS HEART」になってからは随分苦しいのが目に見えるようだ。無理やり勢いをつけようとして失敗してる。クロイツェルソナタ(忘れたので途中から編曲)の金色の音なんて失速する以前に音じゃないよ。あーあ。

『フィラメント』は漆原友紀の初期短編集。しまそよこ(漢字がわからん)名義で書いてたものがほとんどかな。二本ほどリアルタイムで読んだものが入っていて、大変懐かしい。絵柄が今と恐ろしく違うのもご愛嬌。今の民俗学関係の昔懐かしい香りもたまらなく好きだけど、この頃時々見られる長野まゆみテイストも大好きなんです。しかし……怖い話はマジで怖いよ!(泣)。

次はCGI入門書か『文体練習』か……どっちにしようかな。

『骨音』

2004年9月27日 未分類
いしだいら。ああっ、しまった、縊死がトップに出てくる上に石平って変換できなくなってる!
んなことはどうでもよし。池袋ウェストゲートパーク、ようやく文庫でお目見えなりなり。こないだふらっと寄った本屋で発見、即購入したのに何故か忘れてて今日まで積んでました。ファンを名乗る資格なし(ファンというわけでもないんだけど)。
「骨音」
最速、ということがどれくらい格好良いのか、という話。嘘です。いやでも、今までに聞いたことのない断然カッコいい音、が最速の音だというのは、問答有無用の真実だと思う。最速ってことはそれだけで充分なカッコよさなのですよ。わかるかい、撃墜王(意味なしフレーズ)。頭のてっぺんから爪先まで、光の速さで駆け抜けていく電撃のような音が、もし出せたなら、僕はきっとそれを追及して踏み外すに違いない。僕ですら踏み外すというのに、それが「耳の種族」であるスライが見過ごせるわけがない。ううむ、一つの素敵なものを追求するときに、どれだけのものを犠牲に出来るかという命題は、「全て」と当たり前のように答えられる人間が一番カッコいいんだと若い頃は信じていたものです。あの時君は若かった。事件の構造としては、謎というものが何処にあるのか探した方が早いような単純さなので、純粋に音を愛でればよいのかと。多分。あと、ギターの「俺が飲むから」というガッツを高く買う。以上。多分。
「西一番街テイクアウト」
やばい、香緒が可愛すぎる。いいなあ。父親になってもいいなと思ってしまった主人公の気持ちはわかるぞ同士!「叶姉妹に判定勝ち」など、今回の文庫は描写のときの小技が冴えてるね。人によっては鬱陶しいと感じる向きもあるかもしれんが。「(ユニクロ)(アディダス)(オールイングランドのすかした白いダッフルコート)」に暫く笑いが止まらなかった……。服装の描写じゃないところがポイントなー。しかも人間でもないじゃん!主人公母が本格的に登場したのが嬉しいような、出張りすぎなのが悲しいような。普通のおふくろだった方が個人的には良かったかなあ。
「キミドリの神様」
もう事件はどうでも良いらしいです。投げてるのか石平。初期の事件の混迷→解決の手さばきは何処へ放棄してしまったのだ。ここからちょっと気になったのが、ゲストとして出てくる登場人物の造形に対する踏み込みの浅さ。造形としては申し分なく「キャラが立っている」状態なんだけれど、そのキャラクター(性質)に対する踏み込みが甘い。主人公が事件を通してのみかかわりを持つせいなのだろうと推測。事件以外でかかわりを持った登場人物はレギュラーになっているのとあわせると、これ以上増やせないので仕方ない判断だとは思うんだけども、なんだか物足りないのは間違いない。「おしゃれなカフェのステップを、おしゃれに降りる」とか、相変わらず細かい部分では笑いまくったけど。
「西口ミッドサマー狂乱」
鋼のソプラノ。以上。いや、なんだろ、もうこれ以上言うことはないっつーか。欲しかった言葉を有難う、っつーか。コントミン飲み過ぎて動けなくなったことはあるけど、スマートドラッグで飛んだことはないです。キノコが合法だった頃に友人から体験レポなんかを聞かせてもらったのも遥か昔の思い出。今ではしらふでトリップできます(大嘘)。作中主人公が、音楽と水と夜明けの光だけで飛んでいたのと同じようなことは可能だと信じている手合いです。何かの助けを借りないとその域にたどり着けないうちは色々とまだまだなんだろうなー。一冊の半分近くを占めているのに気付いたときはびっくりして「長ッ」と呟いてしまいました。それにしても音楽というものの力を描くのが好きですね石田衣良は。

不満な点は、タカシの描写が記号的になってきたこと。これじゃあそこいらの萌えキャラと同じ扱いです。「冷たい」ということを毎回毎回描写するのも良いけれど、前回を踏まえて洒落として織り込んでるのだろうとも考えられるけど、「クールで感情表現の少ないタイプ」っていうのは狙いすぎると記号になるので、次回以降は何とかしていただきたい。事件に対する雑な設定もできれば……。

鋼のソプラノ、鋼のソプラノ。うん、いいフレーズだ。
裏表紙の内容紹介の時点でげんなりしたっつーの。「痛めつけた→監禁し、暴行を加えた→助け出し、暴行を加え……」裏表紙だけで食傷できる小説ってのも中々珍しいと思うんだけど。
『行きどまり』なんとか読了。5日とかかかった気がします。読み出した時点で、主人公が大学生なのが妙に生臭い感じがして一度置いちゃったんだ、そういえば。
抜ける油も生成できないような、乾燥するための潤沢さもない青二才がハードボイルドって、どうなのよ。少なくもと俺は認めなくってよ。これだったら高村薫の『わが手に拳銃を』のほうが、青春してる分まだマシだって。マシっていうか比べ物にならん。主人公にはきちんと女がいて、バイトしてて、親友がいるのに、のっぴきならぬ事情で流されるように暴力社会に足を突っ込んだその先が、「行きどまり」だというのは共通なのにね……。ああん。

女史の愛読書は「JISハンドブック」という情報を入手。わしも真似してみるかー。
土曜日は午前中で閉まってしまうことを失念したまま郵便局へ荷物を出しに行って倒れました。世界は日曜祝日と平日だけで出来ている。
『ビートのディシプリンSIDE3』読了。相変わらず打ちにくいタイトルだ。そしてプリンみたいでおいしそうだ。
雑誌連載終了してたんじゃなかったですかー?!終わってないなんて聞いてない。ああ聞いてないとも。しかし、上遠野は毎回「読みにくい……」と歯噛みするような文章を書いてくれますな。「そいつ」とか「そんな」とか、地の文で使わないでくれ。シリアスな筈なのに腰砕け。「世界を裏から牛耳る組織」と比較される組織集団がいつもちゃちいのはなんでですか。世界を知らない中学生が「凄い」ことを強調しようとして失敗してるみたいだ。なんつーかアレだ、現代日本なのに「財閥の総帥」とか言っちゃうみたいな。「中枢」の設定は面白いんだけどなー(只単に「未登場なので読み手が勝手に期待を大きくしているだけ」かもしれないと思うとやりきれない)。おかげで物語に入るまでが大変。入ってしまえばノンストップでラストまで駆け抜けるんだけど。
そろそろオールスター登場で、あの人も正体が割れました。くそう、個人的にはあの人は未だ地上にたどり着けないでいる人であって欲しかった。迂回と犬と酸素大好き。しかし、前回から間があったせいで、ストーリーの細かいところを殆ど忘れている罠。
「当たってから射たんだから〜」という台詞を引用されている弓の達人に笑った。そう考えると、傷物の赤と傷んだ赤ってネタ被りよね。本人達の言いたいところは反対らしいが。
酸素が鼓動をすなどったラストに爆笑。あ、すなどるが出ない。

今日からイーエスブックスに参戦。参戦ていう言い方もどうかなあ。
『フルーツバスケット』の15巻げとー(ずさー)。「じゅんぐろ」に爆笑。でも「純白じゅんぱく」なら「純黒じゅんこく」じゃないのかしらん。今、「じゅんこく」って打ったら「殉国」って変換されましたよ!魚谷さんたらおっとこまえー。由紀とあきとさんは小さい頃の方が普通に素直に可愛いと思えます。そういえば夾の時もそんなこと言ってたな自分。

で。

『NERVOUS VENUS』が続き出てるよー!!

大喜びです。欣喜雀躍です。狂喜乱舞です。カッコいいんだよー、いやもう、5巻読んでその場に崩れ落ちそうになった。厳しい男が好きだなんて、振られて「思ったとおりだ!」って、容赦の欠片もなく鋭く厳しい、力のある生き様。
登場人物のぎりぎりさがたまりません。こんな崖っぷちを好んで突っ走るような生き方してたら死んじゃうって。良く切れる刃物のようにあっさりざっくりと大事なものを切り裂いていくちから、が情熱として他人に向く、怖いなあ。人の想いが現実と同じだけ破壊力あるってのは一体どういうことなんだ。
こういう感覚を描いて(わたしが他人に説明するときに)言葉に困る作家といえば、あとは若木未生しか思いつかないなあ。

時期限定でも確かに自分の中にもあったちからなんだ。あれは。

北方さあ。

2004年9月21日 未分類
全部同じに見えるんだけどどうなのよ。
『友よ、静かに瞑れ』読了。
むかしむかしに読んだことがあるようなないような。これを読んでて思い出したのが、やっぱり人がいない街にやってきたハードボイルドな主人公が、線路の側だかトンネルだかでチンピラに命を狙われて、返り討ちにするという、かなりお約束な展開をする話。中学生の頃に読んだのだ。覚えている理由は只一つ、作中に登場する喫茶店の中に飾ってある絵がとても鮮烈だったから。赤い空、赤い海、水平線に没する輝きの一閃が赤い画面を強烈に分断していた。赤だけで描いた絵が、どうして真ん中の線が強く強く見えるのかなと不思議に思って想像して、自分で描いてみたけれど無理だった。夕日が沈んで青く染まっていくだけの絵になった。歯ブラシと網を使ってエアブラシみたいな効果を出すテクニックを習得したばっかりで、試してみたくて仕方なかったのが敗因だろう。
もしこの作品のタイトル作者を正確に覚えている人がいたら教えて欲しい、ってことで。

……ああ、肝心の『友よ〜』の話をひとつもしていない。
では採点だ(サイテー。よりによってこのネタがトップかい)。

買った本を読みつくし、今月の予算がもうないので家主の本を奪って読書開始。北方は好きですよ。中学生の頃、わざわざハードカバーの『活路』を購入したくらいですから。連載リアルタイムで読んでましたから。
毀したい、何を毀したいのかも曖昧な主人公は手が触れるものを毀し続ければその先に何かあるのかもしれないと考えた。一番毀したいのは自分自身だった。殺し合いもしてみたけれど、誰も俺を殺してはくれないのだな。理屈にならないということはこの世の中で通じないと言うことだと、自ら名言しながら漂流し続ける。能力はあるのに最後は駄目になる、自分から毀す。迷走中に「そこにあったから」と指先に触れた他者を完膚なきまでに毀す様は、駄々っ子のようにしか見えなかった。
ハードボイルド。鼻血が出てもハードボイルド。寧ろ鼻血と煙草と粗末な食事と酒と後頭部強打がなければハードボイルドとは呼べないのかも知れん。
ああ、駄目だ、ラストまで『活路』に被りまくり。登場人物も、他人に対する主人公の動きも、ほぼ置換可能。厚さが足りない。もっと書け。
こういうわけわからん男は、小説内でよく見かけるけれど、一体彼らは何を欲しがっているのかな。曖昧に濁した言葉の先をー!
ハードボイルドな男を捕まえて「子供のようだ」と言うのは、割とありがちな評価だな。

下巻読了。

2004年9月12日 未分類
脅迫状の文面がおかしい事には気付いても、それが一体どういうことなのか考えようともしないっつーか考えるなんて発想すら出てこない私。
同じ顔した人が二人出てきたからには、出てきたなりの展開があるだろうに、未だにそのお約束が飲み込めてない私。
実は上巻読了時点で「滋は殺され役に決定だろう」とか予想していたワタシ。
……段々化けの皮がはがれてきた気がする。
ミステリ読みの風上にも置けないみじんこも金田一事件簿ラストとなれば粛然とします。事件の結末はともあれ、あのラストは……滝から落ちなくて良かったね。でも、あの程度なら復帰できなくもない。年を取ったと盛んに地の文で言われ続けて『悪霊島』から『病院坂』だったので、ああ、老兵は死なず、ただ消え去るのみって言ったのは誰だったかなあ、な気分。
角川文庫では金田一の登場する事件は全部読めるのかしら。未収録作品とかあったら嘆き悲しんで売り払い、全収録してる出版社のシリーズに鞍替えしようと思います(物凄い無駄なお金の使い方)。

なんかこー、色々突込みどころを考えながら読んでいた気もするんですが、いざパソに向かったらほとんど吹っ飛んだ。善哉善哉。
へいへいへーい、やっとこさ上巻読了イエー☆
ジャズの話に終始したので頭の中がよくわからない音楽に占拠されまくり。どうせなら上巻終了時点での今後の展開及び犯人の目星ついでに犯行の動機に方法にふたつの事件の関係を推測して感想に書き、晒し上げるという自殺行為に及んでみたかったけれど、全くなんにもかけらも見当がつかないので挫折。下巻を読んで真相を知ってから見たら、余りの外れっぷりに思わず首をくくりたくなるような感想を書くのが夢だったのに。ちぇ。せめてもと用意した由香利さんと小雪ちゃんが同じ顔だろう予測はあっさり上巻で解明されてしまって立場のない私。
それにしてもとり・みきは偉大だ。ネタバレになってるけどなってない。美人だかブスだか解らないあの人はいつでてくるのか。そして馬は(出てくるわけがない)。横溝は大事件となると、入り組んだ血縁関係を用意しますけど、どうしてなんでしょうか。矢張り必要な登場人物が赤の他人だと縁もゆかりもなくて厳しいからでしょうか。ちゅうか弥生さんより上の世代の血族の話って必要なのかい。
物語の書き手であるところの「先生=ご隠居」が作中内に登場してえらくびっくりした。この人は語り手としてしか登場しないものだと思っていたのに。うひー、流石最後の事件。まだ『仮面舞踏会』読んでないけど。
話は下巻を読んでからだ(またか)。
『悪霊島(下)』一気呵成に終了〜。上巻とは比べ物にならん勢いです。真帆ちゃん死なんでくれと心臓どっきどき。磯川警部はなんだかおかしなことになってるし。巴さんは蒸発してる人が他にもいるという話が出たところからやたらに怪しいし。つーかね、

「女郎蜘蛛」なんて章があったらそれだけで犯人がわかっちゃうと思うの……!

あ〜あ〜あああああ〜。
シリーズ最後に発表されただけあって、ややこしさとそれを捌く手つきには見事なものがありました。
次は『美容院坂〜』だー!(違います。でもとり・みき大好き)。
……洞窟内で対決、決着って他にもあったよな。『八つ墓村』だっけ?

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