京極夏彦、集英社文庫。
ハードカバー、ノベルスときてついに文庫まで出た「でぶ」。版型が変わるごとに買って、結局同じ本を三回読んだ自分の気持ちがわからない。
徹底的にでぶにこだわった阿呆極まる本。くだらなさの極みでもあります。落ちはないわ毎回同じネタを引っ張るわ、一度目は笑っても三度目は笑えない。正直無理。
京極夏彦に何らかの夢を見ている人は読まないほうがいいと思います。
うっとうしくも濃いキャラクターに、くだくだしく繰り返されるしょうもないギャグが許せるという方だけどうぞ。
個人的に笑ったのは「プラナリアが直木賞」のくだりの変更と、巻末ゲスト漫画。元ネタに関する知識が増えるごとに、くすっという笑いも増える本なので、タイトルのパロディ元や、作中の小ネタを理解できるようになってから読むのが吉。
おすすめの買い順は、文庫>ハードカバー>ノベルス。
ハードカバー、ノベルスときてついに文庫まで出た「でぶ」。版型が変わるごとに買って、結局同じ本を三回読んだ自分の気持ちがわからない。
徹底的にでぶにこだわった阿呆極まる本。くだらなさの極みでもあります。落ちはないわ毎回同じネタを引っ張るわ、一度目は笑っても三度目は笑えない。正直無理。
京極夏彦に何らかの夢を見ている人は読まないほうがいいと思います。
うっとうしくも濃いキャラクターに、くだくだしく繰り返されるしょうもないギャグが許せるという方だけどうぞ。
個人的に笑ったのは「プラナリアが直木賞」のくだりの変更と、巻末ゲスト漫画。元ネタに関する知識が増えるごとに、くすっという笑いも増える本なので、タイトルのパロディ元や、作中の小ネタを理解できるようになってから読むのが吉。
おすすめの買い順は、文庫>ハードカバー>ノベルス。
レーモン・クノー、朝比奈弘治訳、朝日出版社。
買っちゃったー!高かったけど思い切ってよかった。一冊でこれほど笑って泣いて考え込んで唸らされて原文で読みたいと切に希望した本は久しぶりだ。強いて言うなら、一曲しか収録されていないCDのようなものだろうか。たとえば「パッヘルベルのカノン」などは、様々な人の手による様々なヴァリエーションを集めて一枚のCDに収めてあったりするので参考までに。
バスの中で、帽子を被った首の長い青年を見かける。青年は隣の乗客となにやらもめているようだ。しかし青年はすぐに空いた座席に腰を下ろしに行ってしまう。2時間後、友人と連れ立って歩いている青年をまた目撃する。友人らしき男は青年にコートのボタンについて何か忠告していた。
たったこれだけのできごとを、99通りのヴァリエーションで描き出す手腕にときめきつつおののいた。普通99通りもバリエーションを思いつかないし、思いついても書けない。
訳者がまたいい仕事をしていて、翻訳の不可能性と可能性、その挑戦が素晴らしい。音と意味が密接な関係にある洒落や擬音などはてきめんに翻訳不可能な言葉なのだが、それをこう訳すか!と解説を見るまでわからない苦心や技術やアイディアが凝縮されている。脱帽。そして訳が素晴らしいほど原文を読んでみたくて仕方なくなるのだけれども生憎とフランス語は読めない。それが無性に悔しかった。
装丁も本文レイアウトも軽妙洒脱。それにつけても『ウンベルト・エーコの文体練習』を買い損ねたことが悔やまれる。文庫版の再版を切実に希望。
買っちゃったー!高かったけど思い切ってよかった。一冊でこれほど笑って泣いて考え込んで唸らされて原文で読みたいと切に希望した本は久しぶりだ。強いて言うなら、一曲しか収録されていないCDのようなものだろうか。たとえば「パッヘルベルのカノン」などは、様々な人の手による様々なヴァリエーションを集めて一枚のCDに収めてあったりするので参考までに。
バスの中で、帽子を被った首の長い青年を見かける。青年は隣の乗客となにやらもめているようだ。しかし青年はすぐに空いた座席に腰を下ろしに行ってしまう。2時間後、友人と連れ立って歩いている青年をまた目撃する。友人らしき男は青年にコートのボタンについて何か忠告していた。
たったこれだけのできごとを、99通りのヴァリエーションで描き出す手腕にときめきつつおののいた。普通99通りもバリエーションを思いつかないし、思いついても書けない。
訳者がまたいい仕事をしていて、翻訳の不可能性と可能性、その挑戦が素晴らしい。音と意味が密接な関係にある洒落や擬音などはてきめんに翻訳不可能な言葉なのだが、それをこう訳すか!と解説を見るまでわからない苦心や技術やアイディアが凝縮されている。脱帽。そして訳が素晴らしいほど原文を読んでみたくて仕方なくなるのだけれども生憎とフランス語は読めない。それが無性に悔しかった。
装丁も本文レイアウトも軽妙洒脱。それにつけても『ウンベルト・エーコの文体練習』を買い損ねたことが悔やまれる。文庫版の再版を切実に希望。
『頭のいい人、悪い人の話し方』
2005年2月5日 未分類樋口裕一、PHP新書。
「こんな話し方をするのは頭の悪い人だと思われる!だからこうして改めよう」
一口に言えばそれだけなんだけれども、頭の悪い話し方の実例がぱっと浮かぶ辺りや、「これは頭が悪いよね」と分類される話し方や、人間観察の着目点が非常に面白い。対処法の冷めたまなざしも、時として起こる改善方法の投げ出しっぷりも大変笑いを誘う。
この手の本、つまり文学でも学術書でもない新書を買うのは実に久しぶり。これがいわゆる実用書・ビジネス書というやつなのか。
薄い。
高い。
面白い。
見事な三点セット。つまり、じっくり読まなくても理解できて、ざらっと読んで面白くて、そしてすぐに実用できれば良い、っていうのがこの手の本が売れるための要件だということをしみじみと感じた。そしてちょっと高いのがまた値段設定として実にいいところをついているなあ。
書かれたものの何倍という量の書かれなかったものが、行間からにじみ出ているのが勿体無くて勿体無くて。でもちゃんと書いてしまったら売れない、売れる実用書の範疇からはみ出してしまうというのがわかってジレンマ。個人的には売れなくてもいいからちゃんと書いてくれー、と思うんだけどそうもいかないんだろうなー。
面白くて物足りない。面白いからこそ物足りない。どうせなら「何故そのような話し方をするのか」というところまで各項目ごとに突っ込んだ解説が欲しかった。日本人は「話し方」についての修練が全く足りていないですよね。
だからといって書き方についての修練ができているかと問われると辛いところだけれども。
とりあえず自分でわかる範囲では頭の悪い話し方はしていない……わからない範囲でやらかしていたらもう手の施しようがない。
沈黙は金だが非常に難しい、とはよく言ったもんだ。
「こんな話し方をするのは頭の悪い人だと思われる!だからこうして改めよう」
一口に言えばそれだけなんだけれども、頭の悪い話し方の実例がぱっと浮かぶ辺りや、「これは頭が悪いよね」と分類される話し方や、人間観察の着目点が非常に面白い。対処法の冷めたまなざしも、時として起こる改善方法の投げ出しっぷりも大変笑いを誘う。
この手の本、つまり文学でも学術書でもない新書を買うのは実に久しぶり。これがいわゆる実用書・ビジネス書というやつなのか。
薄い。
高い。
面白い。
見事な三点セット。つまり、じっくり読まなくても理解できて、ざらっと読んで面白くて、そしてすぐに実用できれば良い、っていうのがこの手の本が売れるための要件だということをしみじみと感じた。そしてちょっと高いのがまた値段設定として実にいいところをついているなあ。
書かれたものの何倍という量の書かれなかったものが、行間からにじみ出ているのが勿体無くて勿体無くて。でもちゃんと書いてしまったら売れない、売れる実用書の範疇からはみ出してしまうというのがわかってジレンマ。個人的には売れなくてもいいからちゃんと書いてくれー、と思うんだけどそうもいかないんだろうなー。
面白くて物足りない。面白いからこそ物足りない。どうせなら「何故そのような話し方をするのか」というところまで各項目ごとに突っ込んだ解説が欲しかった。日本人は「話し方」についての修練が全く足りていないですよね。
だからといって書き方についての修練ができているかと問われると辛いところだけれども。
とりあえず自分でわかる範囲では頭の悪い話し方はしていない……わからない範囲でやらかしていたらもう手の施しようがない。
沈黙は金だが非常に難しい、とはよく言ったもんだ。
虚淵玄、Nitroplus。発行までばっちりニトロプラスです。……って、これ一般店頭では入手できないってことですかもしかして。とりあえず7yとアマゾンで検索した結果では発見できないことを記す。
虚淵玄初のファンタジー、しかも完全書き下ろし、ということで「天挺」と一緒に通販しました。なんの予備知識もなくかつ予想もなく読み始めてみる。
読み終わってみる。
……黒ッ!
あとがきに書いてあるとおり、いつもと違って××××が××××しちゃっているのでなんつーかもう真っ黒ですね!←真っ暗ではないのがポイント。大人の事情万歳!でもこれは確かにゲームのシナリオとして採用は無理ですな……。だって××××が××××してるし。
でまあ以下詳しい感想。
馬といい武装といいカオスチャンピオンといい、いかにも虚淵節炸裂なんだけれども、どうにも「フツー」な文章に首を傾げまくり。わざと?わざとなの?このなんとも大仰かつ安直な言い回しはわざとなの?!なんというか頭の中は映画版指輪で萩原一至(主人公が作中で一番黒いところとかなー)。直前に『鬼哭街』を読んでいただけにどーにもこーにも。
もしかしてファンタジー向いてない?それともわたしが思うファンタジーと「面白い」点がかなり違うのか。
武装と最終兵器にはそれはもうありえんくらいのときめきを感じましたし、ヒロインについても全く綺麗に百舌落しくらいの勢いでひっかけられましたが、それでも評価はイマイチ。
色々と釈然としない。
虚淵玄初のファンタジー、しかも完全書き下ろし、ということで「天挺」と一緒に通販しました。なんの予備知識もなくかつ予想もなく読み始めてみる。
読み終わってみる。
……黒ッ!
あとがきに書いてあるとおり、いつもと違って××××が××××しちゃっているのでなんつーかもう真っ黒ですね!←真っ暗ではないのがポイント。大人の事情万歳!でもこれは確かにゲームのシナリオとして採用は無理ですな……。だって××××が××××してるし。
でまあ以下詳しい感想。
馬といい武装といいカオスチャンピオンといい、いかにも虚淵節炸裂なんだけれども、どうにも「フツー」な文章に首を傾げまくり。わざと?わざとなの?このなんとも大仰かつ安直な言い回しはわざとなの?!なんというか頭の中は映画版指輪で萩原一至(主人公が作中で一番黒いところとかなー)。直前に『鬼哭街』を読んでいただけにどーにもこーにも。
もしかしてファンタジー向いてない?それともわたしが思うファンタジーと「面白い」点がかなり違うのか。
武装と最終兵器にはそれはもうありえんくらいのときめきを感じましたし、ヒロインについても全く綺麗に百舌落しくらいの勢いでひっかけられましたが、それでも評価はイマイチ。
色々と釈然としない。
『鏡の中の鏡―迷宮―』
2005年2月3日 未分類ミヒャエル・エンデ著、丘沢静也訳。岩波書店。
奇想天外な長短30編からなる、児童文学よりもシュルレアリスムの絵画のごとき連作短編集。
「鮮やかなイメージと豊かなストーリーをそなえた三十の話は、ひとつずつ順番に、大きくゆがんだ鏡像となって前の話を映しだし、最後の話がまた最初の話につながっていく」訳者あとがきより引用。
児童文学の作家とみなされてきたミヒャエル・エンデが、現代を映し出すイメージを求め、神話やメルヘンの形を捨てて辿りついたのがこの辺りらしいです。一つの話は他の話を歪んだ鏡として映しだし、最後の話は最初の話へと続いていく。万華鏡のようなイメージの氾濫でありながら、明確なストーリーを持つ点では、幻想という言葉が相応しいのであるが、むしろここは「物語」と評するしかないと思われる。それも、児童向け文学から児童という制限を取り払った、神話からあの神々の名を削り、童話から「童」を外した、そんな意味での物語。ストーリーを持つが何一つ解明されていないエピソードや、圧倒的なイマジネーションから「ファンタジー」の匂いを嗅ぎ取る私にはこれ以上の適当な分類を思いつかない。
知人から「他の本に比べると難しい」と聞いてはいたけれど、まさかこんな直球勝負の難しさだとは思わず。全編を暗く灰色のしけった空気が覆う。腐り、悪臭を放ち、血を流し、倦怠し、絶望し、閉塞し、落下する。目覚めは否定され、キスは与えられず、女王は世界を滅ぼす。
しかしおそらくここに絶望はない。汚れた擦りガラスの向こう、灰色の空の下には誰かが立っている。誰かは誰かと同じ空の下にいる。
奇想天外な長短30編からなる、児童文学よりもシュルレアリスムの絵画のごとき連作短編集。
「鮮やかなイメージと豊かなストーリーをそなえた三十の話は、ひとつずつ順番に、大きくゆがんだ鏡像となって前の話を映しだし、最後の話がまた最初の話につながっていく」訳者あとがきより引用。
児童文学の作家とみなされてきたミヒャエル・エンデが、現代を映し出すイメージを求め、神話やメルヘンの形を捨てて辿りついたのがこの辺りらしいです。一つの話は他の話を歪んだ鏡として映しだし、最後の話は最初の話へと続いていく。万華鏡のようなイメージの氾濫でありながら、明確なストーリーを持つ点では、幻想という言葉が相応しいのであるが、むしろここは「物語」と評するしかないと思われる。それも、児童向け文学から児童という制限を取り払った、神話からあの神々の名を削り、童話から「童」を外した、そんな意味での物語。ストーリーを持つが何一つ解明されていないエピソードや、圧倒的なイマジネーションから「ファンタジー」の匂いを嗅ぎ取る私にはこれ以上の適当な分類を思いつかない。
知人から「他の本に比べると難しい」と聞いてはいたけれど、まさかこんな直球勝負の難しさだとは思わず。全編を暗く灰色のしけった空気が覆う。腐り、悪臭を放ち、血を流し、倦怠し、絶望し、閉塞し、落下する。目覚めは否定され、キスは与えられず、女王は世界を滅ぼす。
しかしおそらくここに絶望はない。汚れた擦りガラスの向こう、灰色の空の下には誰かが立っている。誰かは誰かと同じ空の下にいる。
『笑う怪獣 ミステリ劇場』
2005年1月31日 未分類西澤保彦、新潮社。
って、これ新潮社から出てたのか!あまりに馬鹿馬鹿しいカバーに大ウケしたあとだけに不思議に思う気持ちと複雑な笑いが湧いてきた。
カバーの絵を不審に思って確認したら装画・挿絵が喜国雅彦で、納得しながら爆笑した。このセンスたまらん。サイコー。内容との相乗効果が素晴らしい。挿絵に「小説を読まずに表紙を描いたら内容と合っていませんでした」という「おわび」があんまり悪びれた様子もなく紛れ込んでるのも笑った。ちょこちょこと名前を耳にして「面白いセンスだなー」と思っていたけど、次からは笑えるものを期待して探すことにしよう。
「ミステリ劇場」というサブタイトルが実は相当に意味深長で、むしろこちらのほうが一冊の本としてまとまった短編7作品の方向性を明確に言い表している。
「ミステリ」という単語は、謎解きとか推理小説ジャンルとかそういう名称より前に、子どもの頃に見たテレビ番組では怖い話についていた思い出があるので(某奇妙な物語とか、心霊番組とか)、ある意味ではダブルミーニングなのかな。怪獣や改造人間や幽霊が、なんの合理的な説明もなく堂々と登場し、主人公三人組をいいだけ翻弄する脱力系の設定にもかかわらず、ほぼ全編きっちり謎と解決が仕込んである手練の仕事。「怪獣は密室に踊る」は普通にミステリ分類が可能(普通に、というのもおかしな表現だけれど)。108号室にいつまでたっても救助が来ない理由である、とあるしかけについては、実行可能性を考えれば多少現実味が薄いものの、きっとこいつは浮かれたり焦ったりするとろくに周囲を見なくなるに違いない、と思わせるキャラクターの造形で読ませる。いや、これ、実際にやろうとしたらサングラス男の労力が甚大に必要だし、実行したら結構間抜けな労働が必要になると思うんですが。寝室が趣味の部屋と化しているオタクには通用しない技かも……などと思い悩んでも、怪獣が登場するような話に何を求めるかお前はと一喝されそうなので中止。
「聖夜の宇宙人」だけさりげなくお約束を外してるんですが、これは目くらましの弾幕かしら。
って、これ新潮社から出てたのか!あまりに馬鹿馬鹿しいカバーに大ウケしたあとだけに不思議に思う気持ちと複雑な笑いが湧いてきた。
カバーの絵を不審に思って確認したら装画・挿絵が喜国雅彦で、納得しながら爆笑した。このセンスたまらん。サイコー。内容との相乗効果が素晴らしい。挿絵に「小説を読まずに表紙を描いたら内容と合っていませんでした」という「おわび」があんまり悪びれた様子もなく紛れ込んでるのも笑った。ちょこちょこと名前を耳にして「面白いセンスだなー」と思っていたけど、次からは笑えるものを期待して探すことにしよう。
「ミステリ劇場」というサブタイトルが実は相当に意味深長で、むしろこちらのほうが一冊の本としてまとまった短編7作品の方向性を明確に言い表している。
「ミステリ」という単語は、謎解きとか推理小説ジャンルとかそういう名称より前に、子どもの頃に見たテレビ番組では怖い話についていた思い出があるので(某奇妙な物語とか、心霊番組とか)、ある意味ではダブルミーニングなのかな。怪獣や改造人間や幽霊が、なんの合理的な説明もなく堂々と登場し、主人公三人組をいいだけ翻弄する脱力系の設定にもかかわらず、ほぼ全編きっちり謎と解決が仕込んである手練の仕事。「怪獣は密室に踊る」は普通にミステリ分類が可能(普通に、というのもおかしな表現だけれど)。108号室にいつまでたっても救助が来ない理由である、とあるしかけについては、実行可能性を考えれば多少現実味が薄いものの、きっとこいつは浮かれたり焦ったりするとろくに周囲を見なくなるに違いない、と思わせるキャラクターの造形で読ませる。いや、これ、実際にやろうとしたらサングラス男の労力が甚大に必要だし、実行したら結構間抜けな労働が必要になると思うんですが。寝室が趣味の部屋と化しているオタクには通用しない技かも……などと思い悩んでも、怪獣が登場するような話に何を求めるかお前はと一喝されそうなので中止。
「聖夜の宇宙人」だけさりげなくお約束を外してるんですが、これは目くらましの弾幕かしら。
最近の腐れた読書傾向というか購入したブツ。
2005年1月31日 未分類夜中に突然7yでレイモン・クノーの『文体練習』と、『MELTY BLOOD公式攻略ガイドブック』を注文してみたり、『フルーツバスケット』の16巻を買ってネタバレ待ち持越ししてみたり、帰省中に友人に勧められてあっさり陥落した『ハッピーロンリーウォーリーソング』を息を詰めて心の中で復唱したり、西澤保彦を手当たり次第借りてきて読んでいたらシリーズ物が一冊混じっていて涙を呑んだとか。
家主が「天挺」と一緒に『白貌の伝道師』を購入したのでとりあえず積んでおく。帯の「全ての虚淵はどす汚れている!」という鋼屋氏の言葉に死ぬほど笑った。『真月譚』の2巻は明日コンビニに届くのでそれまでお預け。そして同時進行で読んでいる『鏡の中の鏡』に危うく違う世界に連れて行かれそうに。
なにはともかく、感想は読んだその日に書かないと手が鈍るということを思い知りました。
家主が「天挺」と一緒に『白貌の伝道師』を購入したのでとりあえず積んでおく。帯の「全ての虚淵はどす汚れている!」という鋼屋氏の言葉に死ぬほど笑った。『真月譚』の2巻は明日コンビニに届くのでそれまでお預け。そして同時進行で読んでいる『鏡の中の鏡』に危うく違う世界に連れて行かれそうに。
なにはともかく、感想は読んだその日に書かないと手が鈍るということを思い知りました。
『神のロジック人間のマジック』
2005年1月30日 未分類西澤保彦、文芸春秋。本格ミステリ・マスターズ。
ふりがなは「かみのろじっく、ひとのまじっく」。
英タイトルが「Logic of God is Magic of Human」。
略して「ろじろじ」って呼ぶのは間違い。
奥付見たら装丁が京極夏彦で、思わず「そっちじゃなくて小説の仕事しろよ!」と口走る。
11歳のぼくは「学校」の寮で同じ年頃の少年少女と暮らしている。「学校」は少し普通の学校と違った不思議なところだが、ぼくは両親のもとに帰る日がそれほど遠くないこと、親しい友達であるステラが綺麗な少女であることなどから、それほど苦痛を感じずに日々を過ごしている。
ある日、新しい生徒が「学校」にやってくることになった。ぼく以外の生徒はそのことに対し、恐怖を覚えているらしい態度を取る。明確な理由はわからないが、新入生による環境の変化は「学校」に住み着いている「邪悪なもの」を呼び起こすきっかけになるらしい。
新入生の登場と同時に事件が起こる。
立て続けに事件が起こるので、犯人は動機はとゆっくり考える暇も与えられない。集団推理は行われるが、犯人が特定されるには事件ではなく作品自体の結末と真相に至らなければならない仕組みになっている。
……「本格ミステリ・マスターズ」の作品に、ほぼ同じ構成のものがあるんですがほぼ同じ構成だとか言いながらまた同じように徹頭徹尾すかーんと騙された自分に対するこの気持ちを一体何処にやったらいいのか誰か教えてください。
認識が社会的なものに影響されるというのはさておき、その認識は身体的に作用したりはしないんだろうか。作用しているように見えるんだけれど、認識が影響を及ぼすのは情動だけで身体構成を左右したりはしないらしい。
あ、認識が知覚を凌駕するといったらあれもそうじゃないですか。
ふりがなは「かみのろじっく、ひとのまじっく」。
英タイトルが「Logic of God is Magic of Human」。
略して「ろじろじ」って呼ぶのは間違い。
奥付見たら装丁が京極夏彦で、思わず「そっちじゃなくて小説の仕事しろよ!」と口走る。
11歳のぼくは「学校」の寮で同じ年頃の少年少女と暮らしている。「学校」は少し普通の学校と違った不思議なところだが、ぼくは両親のもとに帰る日がそれほど遠くないこと、親しい友達であるステラが綺麗な少女であることなどから、それほど苦痛を感じずに日々を過ごしている。
ある日、新しい生徒が「学校」にやってくることになった。ぼく以外の生徒はそのことに対し、恐怖を覚えているらしい態度を取る。明確な理由はわからないが、新入生による環境の変化は「学校」に住み着いている「邪悪なもの」を呼び起こすきっかけになるらしい。
新入生の登場と同時に事件が起こる。
立て続けに事件が起こるので、犯人は動機はとゆっくり考える暇も与えられない。集団推理は行われるが、犯人が特定されるには事件ではなく作品自体の結末と真相に至らなければならない仕組みになっている。
……「本格ミステリ・マスターズ」の作品に、ほぼ同じ構成のものがあるんですがほぼ同じ構成だとか言いながらまた同じように徹頭徹尾すかーんと騙された自分に対するこの気持ちを一体何処にやったらいいのか誰か教えてください。
認識が社会的なものに影響されるというのはさておき、その認識は身体的に作用したりはしないんだろうか。作用しているように見えるんだけれど、認識が影響を及ぼすのは情動だけで身体構成を左右したりはしないらしい。
あ、認識が知覚を凌駕するといったらあれもそうじゃないですか。
『リドル・ロマンス』
2005年1月28日 未分類西澤保彦、集英社。
道化師「ハーレクイン」を名乗る謎の男と、彼に願いをかなえてもらうべくビルを訪れる依頼者(主に女性)のあれやこれやを描いた連作短編集。
「トランス・ウーマン」だけが微妙に形態を異にしている。ハーレクインが報酬を明確に要求し、理恵は明らかに尋常ならざる力の介在を体験している。
これが段々「話を聞くだけで全部解決」その場から動かないことを売りにする安楽椅子探偵の趣を呈するのだからやはりミステリである。
あとがきの篠田真由美に、色々な意味で笑いが止まらなかった。そうか、デビューが同じ頃なのか。探偵が美形なのは京極もじゃないかなーとかいらんことが頭をよぎる。あれは探偵が探偵役してないから違うんだろうけど。同じ「ハーレクイン」を書いても篠田真由美のほうが耽美なのがおかしくて仕方がない。宝塚って的を射た評価だよなほんと。
「ピクチャアウィンドウ」の表記にこだわりでもあるのかといぶかしみつつ、篠田真由美に恨みはないと一応明言しておく。
恨みはないよ、恨みは。
道化師「ハーレクイン」を名乗る謎の男と、彼に願いをかなえてもらうべくビルを訪れる依頼者(主に女性)のあれやこれやを描いた連作短編集。
「トランス・ウーマン」だけが微妙に形態を異にしている。ハーレクインが報酬を明確に要求し、理恵は明らかに尋常ならざる力の介在を体験している。
これが段々「話を聞くだけで全部解決」その場から動かないことを売りにする安楽椅子探偵の趣を呈するのだからやはりミステリである。
あとがきの篠田真由美に、色々な意味で笑いが止まらなかった。そうか、デビューが同じ頃なのか。探偵が美形なのは京極もじゃないかなーとかいらんことが頭をよぎる。あれは探偵が探偵役してないから違うんだろうけど。同じ「ハーレクイン」を書いても篠田真由美のほうが耽美なのがおかしくて仕方がない。宝塚って的を射た評価だよなほんと。
「ピクチャアウィンドウ」の表記にこだわりでもあるのかといぶかしみつつ、篠田真由美に恨みはないと一応明言しておく。
恨みはないよ、恨みは。
『異邦人 fusion』『聯愁殺』
2005年1月27日 未分類『異邦人』西澤保彦、集英社。
23年前、父が謎の死を遂げる数日前にタイムスリップしてしまったわたし。父の死をきっかけに、不本意な人生を歩まざるを得なかった最愛の姉のため、わたしは父の死を回避するべく奔走する。
なんちゅうキュートな話なのか!キュートは違うという方もいるかもしれないけど、とにかく可愛い。何もかも上手くいくハッピーエンドというのはシアワセなことなのだなあ。その幸福な姿こそが愛らしい。
同性しか愛せない姉が、父の死によって実家に戻って家業を継がざを得なくなる。不本意な結婚をしてまで家業を継いだのは、弟であるわたしのためであったと時間遡行してから思い出すわたしの内省をえんえんと読まされる。それでもなおこの話はキュートで可愛らしいのである。
タイムスリップして、迷宮入りとなった殺人事件を阻止しようとするという、SFな設定は西澤保彦の得意路線らしいです。でも、これ「足跡がなかった」っていう時点で既に犯人わかってしまうんですが。というか、最早「タイムスリップして事件に割り込む」という王道展開を見せた時点で、話の構造が丸わかりになってますが。ずばり綾辻某の某ホラーと展開同じ。最近読んだばっかりなので余計に切なかった……。
謎解きよりもセクシュアリティの問題を前面に押し出しているので、骨子というか主題がよくわからないことに。結局重要なのはどっちなんだ。参考文献見たときにうわあと思ったのは私だけではないはず。
そして姉の恋人、季里子のエピソードに「それは中山可穂!」と呟かずにはいられなかった。
『聯愁殺』西澤保彦、原書房。
タイトルの意味が解らない。そして「装丁に使用した絵の著作権所有者さん連絡求む」という奥付手前の文章に爆笑。内容と全く関係ないところでウケてどうする。
登場人物の名字がおかしなことになっているのは、いつものことなのでしょうか。読めねええ。最初は、作家辺りにモデルがいて、その名前をパロディに仕立てたから変な名前なのかなー、とも思ったんですが、どうやらそうでもない様子。『異邦人』でもそうだったけど、登場人物が難読名字というのは西澤作品ではデフォルトなのか。
無差別連続殺人に巻き込まれた梢絵。辛うじて助かったものの、どうして自分が狙われたのか理由が全くわからない。事件から数年経っても殺されかけたという記憶は薄れず、せめて自分が殺されかけた理由、犯人の動機でも知れば不安の幾らかは解消されるのではないかと、「恋謎会」というアマチュア推理集団に真相解明を依頼する。
探偵役を自称する集団がディスカッションすることによって真相にたどり着く、推理合戦の見本のような作品。仮説仮説また仮説。そして仮説の披露と否定と肯定を繰り返し、より「らしい」結論にたどりつく。
「らしい」結論なので、ディスカッションの結果が真相とは限らないわけですが、この途中経過を楽しめない人や、結局真相はどうなってんだよという気の短い方にはお勧めできない。
ですが。この作品なんと二段落ちになってるんですよ。推理合戦のち真相、のあとにもうひとつ章があって、それはもう想像を絶する落ちがついてます。落ちがついてると言ってしまってる時点でネタバレですいません。目次の章立てを見ればわかることなのでネタバレ許せない派のかたは、確認しつつ読み進めることを推奨。
一番怪しい人も怪しくない人も、単独でも共謀でも、誰が犯人でも驚かないぞー、と思っていたけどあの結末には驚いた。途中で「双侶さんが犯人で真相に気付いた面子は皆殺し」「実は恋謎会が全員共謀で梢絵さんお亡くなり」とか相当かっとんだ想像をしていたにもかかわらず、ぽかーんとなりました。参った。
23年前、父が謎の死を遂げる数日前にタイムスリップしてしまったわたし。父の死をきっかけに、不本意な人生を歩まざるを得なかった最愛の姉のため、わたしは父の死を回避するべく奔走する。
なんちゅうキュートな話なのか!キュートは違うという方もいるかもしれないけど、とにかく可愛い。何もかも上手くいくハッピーエンドというのはシアワセなことなのだなあ。その幸福な姿こそが愛らしい。
同性しか愛せない姉が、父の死によって実家に戻って家業を継がざを得なくなる。不本意な結婚をしてまで家業を継いだのは、弟であるわたしのためであったと時間遡行してから思い出すわたしの内省をえんえんと読まされる。それでもなおこの話はキュートで可愛らしいのである。
タイムスリップして、迷宮入りとなった殺人事件を阻止しようとするという、SFな設定は西澤保彦の得意路線らしいです。でも、これ「足跡がなかった」っていう時点で既に犯人わかってしまうんですが。というか、最早「タイムスリップして事件に割り込む」という王道展開を見せた時点で、話の構造が丸わかりになってますが。ずばり綾辻某の某ホラーと展開同じ。最近読んだばっかりなので余計に切なかった……。
謎解きよりもセクシュアリティの問題を前面に押し出しているので、骨子というか主題がよくわからないことに。結局重要なのはどっちなんだ。参考文献見たときにうわあと思ったのは私だけではないはず。
そして姉の恋人、季里子のエピソードに「それは中山可穂!」と呟かずにはいられなかった。
『聯愁殺』西澤保彦、原書房。
タイトルの意味が解らない。そして「装丁に使用した絵の著作権所有者さん連絡求む」という奥付手前の文章に爆笑。内容と全く関係ないところでウケてどうする。
登場人物の名字がおかしなことになっているのは、いつものことなのでしょうか。読めねええ。最初は、作家辺りにモデルがいて、その名前をパロディに仕立てたから変な名前なのかなー、とも思ったんですが、どうやらそうでもない様子。『異邦人』でもそうだったけど、登場人物が難読名字というのは西澤作品ではデフォルトなのか。
無差別連続殺人に巻き込まれた梢絵。辛うじて助かったものの、どうして自分が狙われたのか理由が全くわからない。事件から数年経っても殺されかけたという記憶は薄れず、せめて自分が殺されかけた理由、犯人の動機でも知れば不安の幾らかは解消されるのではないかと、「恋謎会」というアマチュア推理集団に真相解明を依頼する。
探偵役を自称する集団がディスカッションすることによって真相にたどり着く、推理合戦の見本のような作品。仮説仮説また仮説。そして仮説の披露と否定と肯定を繰り返し、より「らしい」結論にたどりつく。
「らしい」結論なので、ディスカッションの結果が真相とは限らないわけですが、この途中経過を楽しめない人や、結局真相はどうなってんだよという気の短い方にはお勧めできない。
ですが。この作品なんと二段落ちになってるんですよ。推理合戦のち真相、のあとにもうひとつ章があって、それはもう想像を絶する落ちがついてます。落ちがついてると言ってしまってる時点でネタバレですいません。目次の章立てを見ればわかることなのでネタバレ許せない派のかたは、確認しつつ読み進めることを推奨。
一番怪しい人も怪しくない人も、単独でも共謀でも、誰が犯人でも驚かないぞー、と思っていたけどあの結末には驚いた。途中で「双侶さんが犯人で真相に気付いた面子は皆殺し」「実は恋謎会が全員共謀で梢絵さんお亡くなり」とか相当かっとんだ想像をしていたにもかかわらず、ぽかーんとなりました。参った。
西澤保彦、文芸春秋。
吹奏楽部に所属する「僕」が中学時代に遭遇する楽器紛失事件。その4年後に、高校に進学した「僕」が所属する吹奏楽部で遭遇する二度目の楽器紛失事件。それは紛失ではなく盗難であることが明白だったのだが、犯人も動機もわからぬまま20年という時間が過ぎる。
主人公である「僕」が常に、自分は人生の舞台で人もうらやむ主役である、そうでなければそれは周囲のせいで自分の責ではないと欺瞞と逃避を重ね続ける姿をえんえんと描くので、盗難事件や冒頭での謎の死体よりも、「こいつは一体いつになったら現実に直面して痛い目を見るんだろうそして反省するんだろう」ということのほうが気になって仕方ない……。しかも「あの頃は」と言いながら、自覚すれども反省はせずを地で行っているので、痛々しい青春の勘違いと傲慢さにかけては青春小説と題されたものと比較しても全く遜色ない。
かたわらいたし。
そうして自覚と共に欺瞞を重ねすり替え逃避を続ける主人公は、ふとしたことから「あの頃」のみんなが逃げずに努力したなりの結果を得た姿を目の当たりにすることになり。
反省しろよこの野郎。
ミステリとしては普通の部類に入るような気がするけども、同時進行そして必須用件として描かれる主人公の逃避っぷりが、この本をただのミステリで終わらせない。西澤保彦を強力に推していたサイトさんの影響でもって手をつけたのだけれど、これは納得。いやあ、なんというか青春の醍醐味って振り返ってみればゴミだよね、とかゴミになりうるというか、寧ろ人がゴミのようだったよね、とか、
身につまされすぎ。
吹奏楽部に所属する「僕」が中学時代に遭遇する楽器紛失事件。その4年後に、高校に進学した「僕」が所属する吹奏楽部で遭遇する二度目の楽器紛失事件。それは紛失ではなく盗難であることが明白だったのだが、犯人も動機もわからぬまま20年という時間が過ぎる。
主人公である「僕」が常に、自分は人生の舞台で人もうらやむ主役である、そうでなければそれは周囲のせいで自分の責ではないと欺瞞と逃避を重ね続ける姿をえんえんと描くので、盗難事件や冒頭での謎の死体よりも、「こいつは一体いつになったら現実に直面して痛い目を見るんだろうそして反省するんだろう」ということのほうが気になって仕方ない……。しかも「あの頃は」と言いながら、自覚すれども反省はせずを地で行っているので、痛々しい青春の勘違いと傲慢さにかけては青春小説と題されたものと比較しても全く遜色ない。
かたわらいたし。
そうして自覚と共に欺瞞を重ねすり替え逃避を続ける主人公は、ふとしたことから「あの頃」のみんなが逃げずに努力したなりの結果を得た姿を目の当たりにすることになり。
反省しろよこの野郎。
ミステリとしては普通の部類に入るような気がするけども、同時進行そして必須用件として描かれる主人公の逃避っぷりが、この本をただのミステリで終わらせない。西澤保彦を強力に推していたサイトさんの影響でもって手をつけたのだけれど、これは納得。いやあ、なんというか青春の醍醐味って振り返ってみればゴミだよね、とかゴミになりうるというか、寧ろ人がゴミのようだったよね、とか、
身につまされすぎ。
実家にいる間に買った本やら読んだ本やらの感想は後でぼちぼちつけていくとして。
今日は早速図書館に行ってきました。森博嗣にしようかなー、と思って棚まで行ったら、シリーズ途中巻が借り出されていたのでパス。ある筋の情報から西澤保彦にしてみました。
『リドルロマンス迷宮浪漫』『神のロジック人間のマジック』『黒の貴婦人』『聯愁殺』『笑う怪獣』『黄金色の祈り』『異邦人』
まー、こんだけ読めば西澤保彦の作風や傾向くらいは理解できるだろうと。
ついでに「一冊だけ外国文学」という自分ルールをつくったので、早速実行。ミヒャエル・エンデの『鏡のなかの鏡』。
『悪霊』とか『薔薇の名前』とか積みっぱなしになるんだろうな……。
そして『ハッピーロンリーウォーリーソング』げっつ。ちょっとネット落ちしていた間にesが7yとかいうわけのわからないものになっていてびっくり。でもCD欲しくなった。とても釣られやすい。
今日は早速図書館に行ってきました。森博嗣にしようかなー、と思って棚まで行ったら、シリーズ途中巻が借り出されていたのでパス。ある筋の情報から西澤保彦にしてみました。
『リドルロマンス迷宮浪漫』『神のロジック人間のマジック』『黒の貴婦人』『聯愁殺』『笑う怪獣』『黄金色の祈り』『異邦人』
まー、こんだけ読めば西澤保彦の作風や傾向くらいは理解できるだろうと。
ついでに「一冊だけ外国文学」という自分ルールをつくったので、早速実行。ミヒャエル・エンデの『鏡のなかの鏡』。
『悪霊』とか『薔薇の名前』とか積みっぱなしになるんだろうな……。
そして『ハッピーロンリーウォーリーソング』げっつ。ちょっとネット落ちしていた間にesが7yとかいうわけのわからないものになっていてびっくり。でもCD欲しくなった。とても釣られやすい。
『マリア様がみてる インライブラリー』
2005年1月20日 未分類今野緒雪、集英社コバルト文庫。
短編集は外れのないひとだよなー。冒頭と結末の呼応が途中で読めてしまったけど。それはそれで可愛らしい呼応だったので寧ろやってくれなきゃ嘘だー、と思う。「祥子さまはそんなことしないもん!」って某所の某氏26歳男が未読時にネタバレを聞いて暴れたけど気にしない。
「チョコレートコート」がドツボにはまってのたうった。なんだなんだ「二人のささやかな逢瀬が始まった」って!よく見たら「逢瀬」ってアナタ!みたいな。
さりげなく恐ろしいことを書くお人だ……。
百合だ百合だと言われているけれど、友情とは明確に違い、それでいて少女間の性愛ではないという、この線引きの上手さに愕然とする。最近お疲れ気味な書き下ろしに気勢を削がれたので、頼むからシリーズは丁寧に扱ってくださいと拝み倒したい。
瞳子のツンデレここに極まるっつー感じです。ちくしょー、このドリルめ!お前可愛いんじゃー!(錯乱気味)
短編集は外れのないひとだよなー。冒頭と結末の呼応が途中で読めてしまったけど。それはそれで可愛らしい呼応だったので寧ろやってくれなきゃ嘘だー、と思う。「祥子さまはそんなことしないもん!」って某所の某氏26歳男が未読時にネタバレを聞いて暴れたけど気にしない。
「チョコレートコート」がドツボにはまってのたうった。なんだなんだ「二人のささやかな逢瀬が始まった」って!よく見たら「逢瀬」ってアナタ!みたいな。
さりげなく恐ろしいことを書くお人だ……。
百合だ百合だと言われているけれど、友情とは明確に違い、それでいて少女間の性愛ではないという、この線引きの上手さに愕然とする。最近お疲れ気味な書き下ろしに気勢を削がれたので、頼むからシリーズは丁寧に扱ってくださいと拝み倒したい。
瞳子のツンデレここに極まるっつー感じです。ちくしょー、このドリルめ!お前可愛いんじゃー!(錯乱気味)
岩井志麻子、中公文庫。
女学校時代、友人同士だった二人。華やかで無邪気な明子は、自由戀愛で結ばれた夫と幸せな結婚生活を送っている。対照的に暗く堅固な清子は離縁されたあと、実家で老婆のごとき生活を送っていた。
ある日明子が出くわした友人、噂好きな千鳥が「清子さんの身の上」を語る。同情した明子が、清子を訪ねていき、夫の会社で募集している事務員になってはどうかと勧める。
明子の無邪気な同情に、酷い侮辱を感じた清子は決意する。もう今までの地味で乾いた女はやめて、明子の夫を奪ってみせる、と。
一人の男を奪い合う、対照的な女性二人の戦い。――戦いは戦いなんだけれど、最終的に二人が直面することになる敵が、お互いではないというところがミソ。明治末期から大正を舞台にした女二人の確執が「自由戀愛」という小説になるのは、単に妻のある男を奪い合ったからではないのですな。その辺りは解説が一目瞭然の明快さでもって説明していますので参考はそちらをどうぞ。
水村美苗の『本格小説』を読んでから、岩井志麻子がこういう話を書いたら、さぞ絢爛で妖しく、残酷で悪夢のようなきらびやかさを持った世界を書いてくれるに違いない、と夢想していたのでこれには待ってましたと手を打った。語りの上手さはずば抜けてるよなー。明子さん再婚のあとと、清子さん家出の後の優一郎さんの辺りをもう少し詳しく見たかった。しかし、優一郎の駄目っぷりに一度気がつくと「なんじゃあその身勝手の癖に根性無しは?!」と身悶えしたくなります。
忘れてたことを色々思い出させてくれた素敵な本。
女学校時代、友人同士だった二人。華やかで無邪気な明子は、自由戀愛で結ばれた夫と幸せな結婚生活を送っている。対照的に暗く堅固な清子は離縁されたあと、実家で老婆のごとき生活を送っていた。
ある日明子が出くわした友人、噂好きな千鳥が「清子さんの身の上」を語る。同情した明子が、清子を訪ねていき、夫の会社で募集している事務員になってはどうかと勧める。
明子の無邪気な同情に、酷い侮辱を感じた清子は決意する。もう今までの地味で乾いた女はやめて、明子の夫を奪ってみせる、と。
一人の男を奪い合う、対照的な女性二人の戦い。――戦いは戦いなんだけれど、最終的に二人が直面することになる敵が、お互いではないというところがミソ。明治末期から大正を舞台にした女二人の確執が「自由戀愛」という小説になるのは、単に妻のある男を奪い合ったからではないのですな。その辺りは解説が一目瞭然の明快さでもって説明していますので参考はそちらをどうぞ。
水村美苗の『本格小説』を読んでから、岩井志麻子がこういう話を書いたら、さぞ絢爛で妖しく、残酷で悪夢のようなきらびやかさを持った世界を書いてくれるに違いない、と夢想していたのでこれには待ってましたと手を打った。語りの上手さはずば抜けてるよなー。明子さん再婚のあとと、清子さん家出の後の優一郎さんの辺りをもう少し詳しく見たかった。しかし、優一郎の駄目っぷりに一度気がつくと「なんじゃあその身勝手の癖に根性無しは?!」と身悶えしたくなります。
忘れてたことを色々思い出させてくれた素敵な本。
『Twelve Y.O.』
2005年1月3日 未分類福井晴敏、講談社。第44回江戸川乱歩賞受賞作。
戦記かシミュレーションか、はたまた海外エンターテイメントにあるような軍事技術に関連したパニック物みたいな(最後のひとつは寡聞にして、というか浅学でジャンル名を知らないのです。げふー)ものだと思って読み始めたら、予想外にライトノベル寄りの筆致に驚いた。最近のライトノベルはマニアックだから、もしこの本がそこに分類されたとしても驚くには値しないのかもしれないけど。
しかしですねー、驚くのはこれでデビューなんですよ福井晴敏。『川の深さは』の文庫を最近見かけたこともあり、ジャンル内では有名どころな新人から中堅過渡期の、現代軍事物といえば福井アリー、みたいな今をときめく売れっ子のあぶらののった作品かと思ったら、なんですか、『川の深さは』が初の応募で『Twele Y.O』で受賞ですかい。これは瞠目しますな。カツモクシテミヨー、みたいな。
飛行恐怖の元自衛隊ヘリパイロット平、手出し無用の電子テロリスト、トウェルブとその連れウルマ、追いかけるは自衛隊の中でも隠匿された情報機関ダイス、その他各国の諜報機関諸々。アメリカ海軍に沖縄からの撤退を迫るテロリストの本当の目的とは。二転三転する「キメラ」の真相を追いかけてほぼ全員が突っ走る。
最初に思ったのが「完全に電子化された軍事施設や設備は愛せない……」。だって哨戒用のレーダーがダンボの耳のようなサイズでなまっちろい船の上でくるくる回るんですよ?黒い鉄鋼の無骨な戦艦が、肉眼の見張り要員立てて夜を徹した作戦行動に出るなんてロマンとは比べ物にならんですよ。知り合いが「火薬が登場してからの戦争は愛せない。銃器も同様」としみじみと述懐していた気持ちが良くわかりました。確かに発展しすぎた技術は一部のロマンを奪うな。れーだーろっくー、ではすいっちおん、ぽちっとな。で戦闘機一機撃墜なんて誰が許すというのか?!
しかしこの作品に関してはそんな心配は全くの無用、杞憂にござる。電子テロリスト、トゥェルブのおかげで電子機器のほとんどが使用不可能になり、ヘリの空中戦はなんと電子装置なし、照準ロックなし、目視のみで戦えばんざいーい!ひひひひひ、ここまでくると単葉機の時代と大して変わりません隊長。ベレッタがやたら活躍してる上に、グロックの出番も多くてうはうはです。
さて、次に感じたのが諜報戦といえば傑作があそこに!というわけでどうしても高村薫の『リヴィエラを撃て』を思い出すという。思い出してその作風の、というよりはジャンルの隔たりに愕然とし、どう考えてもライトノベルではありえない高村薫との差異はなんであろうか、これからゆっくり考えてみることにします。
とりあえず夏生素敵二尉、作戦行動中に指揮官として喋っているのに「あたし」は駄目だと思います。それからウルマのビジュアルが頭の中でレオナ置換されてしまった自分はもっと駄目だと思います。
「生きろ」という言葉を誰かに渡すために、渡してくれたひとに返すために、いきていくために戦う人たちの、希望のはなし、と表せばたいそう陳腐に聞こえてしまいそうだけれども、あえて書いてしまう。
43回は『破線のマリス』か……。確かにあれと争ったら厳しい。
戦記かシミュレーションか、はたまた海外エンターテイメントにあるような軍事技術に関連したパニック物みたいな(最後のひとつは寡聞にして、というか浅学でジャンル名を知らないのです。げふー)ものだと思って読み始めたら、予想外にライトノベル寄りの筆致に驚いた。最近のライトノベルはマニアックだから、もしこの本がそこに分類されたとしても驚くには値しないのかもしれないけど。
しかしですねー、驚くのはこれでデビューなんですよ福井晴敏。『川の深さは』の文庫を最近見かけたこともあり、ジャンル内では有名どころな新人から中堅過渡期の、現代軍事物といえば福井アリー、みたいな今をときめく売れっ子のあぶらののった作品かと思ったら、なんですか、『川の深さは』が初の応募で『Twele Y.O』で受賞ですかい。これは瞠目しますな。カツモクシテミヨー、みたいな。
飛行恐怖の元自衛隊ヘリパイロット平、手出し無用の電子テロリスト、トウェルブとその連れウルマ、追いかけるは自衛隊の中でも隠匿された情報機関ダイス、その他各国の諜報機関諸々。アメリカ海軍に沖縄からの撤退を迫るテロリストの本当の目的とは。二転三転する「キメラ」の真相を追いかけてほぼ全員が突っ走る。
最初に思ったのが「完全に電子化された軍事施設や設備は愛せない……」。だって哨戒用のレーダーがダンボの耳のようなサイズでなまっちろい船の上でくるくる回るんですよ?黒い鉄鋼の無骨な戦艦が、肉眼の見張り要員立てて夜を徹した作戦行動に出るなんてロマンとは比べ物にならんですよ。知り合いが「火薬が登場してからの戦争は愛せない。銃器も同様」としみじみと述懐していた気持ちが良くわかりました。確かに発展しすぎた技術は一部のロマンを奪うな。れーだーろっくー、ではすいっちおん、ぽちっとな。で戦闘機一機撃墜なんて誰が許すというのか?!
しかしこの作品に関してはそんな心配は全くの無用、杞憂にござる。電子テロリスト、トゥェルブのおかげで電子機器のほとんどが使用不可能になり、ヘリの空中戦はなんと電子装置なし、照準ロックなし、目視のみで戦えばんざいーい!ひひひひひ、ここまでくると単葉機の時代と大して変わりません隊長。ベレッタがやたら活躍してる上に、グロックの出番も多くてうはうはです。
さて、次に感じたのが諜報戦といえば傑作があそこに!というわけでどうしても高村薫の『リヴィエラを撃て』を思い出すという。思い出してその作風の、というよりはジャンルの隔たりに愕然とし、どう考えてもライトノベルではありえない高村薫との差異はなんであろうか、これからゆっくり考えてみることにします。
とりあえず夏生素敵二尉、作戦行動中に指揮官として喋っているのに「あたし」は駄目だと思います。それからウルマのビジュアルが頭の中でレオナ置換されてしまった自分はもっと駄目だと思います。
「生きろ」という言葉を誰かに渡すために、渡してくれたひとに返すために、いきていくために戦う人たちの、希望のはなし、と表せばたいそう陳腐に聞こえてしまいそうだけれども、あえて書いてしまう。
43回は『破線のマリス』か……。確かにあれと争ったら厳しい。
虚淵玄(ニトロプラス)、角川スニーカー文庫。
(右手をメガホン代わりに口元に当てて、精一杯息を吸い込む)
「われはこのいっとうにかけるしゅらー!!」
絶叫。
どうよ、こんなアホ行動で始まる読書感想って。いやはやまったく、これが自分の芸風なのかそうなのか。
今、横合いから家主に「お前アホだろ?!」と、確認の形で断定されました。いやまー、なんちゅーか年末に「我はこの一刀に賭ける修羅ー!」と何かにつけて叫びまくってればそれは単なるアホですよね。確かに。
以下普通に感想。
「鬼哭街」のノベライズですが、なんとシナリオ自らノベライズというそれはそれは贅沢な虚淵ファン垂涎の一冊。いやー、いやー、いやー、御大の文章が紙媒体で手元にあるということには生まれてきたことを感謝しても足りない。明らかに言葉がおかしいですが、脳内で怪しい物質が生産されまくっているのでまともな言語中枢を通した言葉はきっとその辺りでことごとく頓挫しているのでしょう、証拠にさっきから異常なまでにミスタイプが頻発。
中華でサイバーな街を舞台に、孤高の剣鬼が妹の仇を討つべく刀を執る。な、粗筋。
さあ騙されろ騙されろ。読み手は残らず須らく、真相に驚愕しろ。スニーカー文庫だからエロは削って〜、って、エロよりも青少年に有害な要素がごろごろしてると思うんですがっていうかこの話自体倫理観など向こうの世界に追いやって、妄執を糧に生きる鬼どもの姿満載なんですけど。ちゅーか倫理観や健全な青少年のための配慮とか言って手を加えたら出版自体無理っぽいのに、おためごかしなのかそれとも「建前さえあれば世の中大丈夫俺は俺の愛するものを世に送り出す」という素晴らしく気合の入った話なのかどっちなのか。
(右手をメガホン代わりに口元に当てて、精一杯息を吸い込む)
「終わってねええええー!!」
愕然。
次巻に続く。
(右手をメガホン代わりに口元に当てて、精一杯息を吸い込む)
「われはこのいっとうにかけるしゅらー!!」
絶叫。
どうよ、こんなアホ行動で始まる読書感想って。いやはやまったく、これが自分の芸風なのかそうなのか。
今、横合いから家主に「お前アホだろ?!」と、確認の形で断定されました。いやまー、なんちゅーか年末に「我はこの一刀に賭ける修羅ー!」と何かにつけて叫びまくってればそれは単なるアホですよね。確かに。
以下普通に感想。
「鬼哭街」のノベライズですが、なんとシナリオ自らノベライズというそれはそれは贅沢な虚淵ファン垂涎の一冊。いやー、いやー、いやー、御大の文章が紙媒体で手元にあるということには生まれてきたことを感謝しても足りない。明らかに言葉がおかしいですが、脳内で怪しい物質が生産されまくっているのでまともな言語中枢を通した言葉はきっとその辺りでことごとく頓挫しているのでしょう、証拠にさっきから異常なまでにミスタイプが頻発。
中華でサイバーな街を舞台に、孤高の剣鬼が妹の仇を討つべく刀を執る。な、粗筋。
さあ騙されろ騙されろ。読み手は残らず須らく、真相に驚愕しろ。スニーカー文庫だからエロは削って〜、って、エロよりも青少年に有害な要素がごろごろしてると思うんですがっていうかこの話自体倫理観など向こうの世界に追いやって、妄執を糧に生きる鬼どもの姿満載なんですけど。ちゅーか倫理観や健全な青少年のための配慮とか言って手を加えたら出版自体無理っぽいのに、おためごかしなのかそれとも「建前さえあれば世の中大丈夫俺は俺の愛するものを世に送り出す」という素晴らしく気合の入った話なのかどっちなのか。
(右手をメガホン代わりに口元に当てて、精一杯息を吸い込む)
「終わってねええええー!!」
愕然。
次巻に続く。
『やがてマのつく歌になる!』
2004年12月29日 未分類喬林知、角川ビーンズ文庫。
前回恐ろしい場所で中断され、本のど真ん中あたりに後書きがあったという経験を踏まえて、今度こそ!と読んでみたら。
終わってねえええええー!!
いやー、まあ概ね必要なところはクリアしたし、重大事も発覚したし、さてこれからどうするよと今までとは全く違う状況になったわけだからいいんですけども。あと何冊かかるのかなー(鬼か)。
毒女と長男の絡みは毎回ときめき補給に欠かせない。割とやばめなネタをぎりぎりまで突っ込んでくるところがたまらない。
でも最近、重要なところでほつれていませんか。今回は地球眼鏡組がなんだかおかしなことになっていて、昔はもっとよく練った感じだったのになあ、と全体に溜息つく回数が確実に増えている。
うーん、うーん。
前回恐ろしい場所で中断され、本のど真ん中あたりに後書きがあったという経験を踏まえて、今度こそ!と読んでみたら。
終わってねえええええー!!
いやー、まあ概ね必要なところはクリアしたし、重大事も発覚したし、さてこれからどうするよと今までとは全く違う状況になったわけだからいいんですけども。あと何冊かかるのかなー(鬼か)。
毒女と長男の絡みは毎回ときめき補給に欠かせない。割とやばめなネタをぎりぎりまで突っ込んでくるところがたまらない。
でも最近、重要なところでほつれていませんか。今回は地球眼鏡組がなんだかおかしなことになっていて、昔はもっとよく練った感じだったのになあ、と全体に溜息つく回数が確実に増えている。
うーん、うーん。
横溝正史、角川文庫。
これにて金田一シリーズはコンプ終了、と。……今感想を書くためにぐぐってたら横溝全集が出てるじゃないですか!ぎゃー!く、くくく、うぬう。収納スペースと財布と再度相談。
夏の軽井沢。超のつく大物映画女優が避暑にやってくる。別荘。彼女の三番目の夫が死体で発見される。昨年に引き続いての女優の夫であった男の死。死体の傍ら、テーブルにはマッチが楔形文字のごとき配列で散らばっていた。
つーわけで、離婚と再婚を繰り返す映画女優の、義理の母、娘、新しい恋人、別れた昔の夫達がメイン面子でお約束どおり死ぬのは昔の夫で狙われるのは新しい恋人。身の危険を感じた被害者予備軍に呼ばれて金田一耕介登場して以下ネタバレ。
の、前に感想を挟んで見たくないひとは回避してくださいよの空間を作る。村上青年が(・∀・)イイ!!ですね。うむ、火花散らしたり爽やかに友情したり、情に厚く育ちが良く性格が良く、男前というより「絵に描いたような好青年」。飛鳥さんも素敵ダンディで鳳さん萌えー。実は秋山氏がとてもいい味出していて脇役としてはぴかいちの役どころなので、村上青年ばかりでなくこのひとにも注目して欲しい。そしてネタバレ。
これは某英雄伝説……!
有名なネタなんだろうなー、と。ちゅーかまだ某英雄伝説読んでない人すいません。ものすごすいません。でもミステリってそういうもんだと思ったりもします。他所のネタバレが押さえておくべき名作のネタバレになってしまって号泣、という状況。ミステリはミステリの本だけ読んでいても理解できないですよね。予備知識のない人間にはちょっと敷居が高いのではないか。
これにて金田一シリーズはコンプ終了、と。……今感想を書くためにぐぐってたら横溝全集が出てるじゃないですか!ぎゃー!く、くくく、うぬう。収納スペースと財布と再度相談。
夏の軽井沢。超のつく大物映画女優が避暑にやってくる。別荘。彼女の三番目の夫が死体で発見される。昨年に引き続いての女優の夫であった男の死。死体の傍ら、テーブルにはマッチが楔形文字のごとき配列で散らばっていた。
つーわけで、離婚と再婚を繰り返す映画女優の、義理の母、娘、新しい恋人、別れた昔の夫達がメイン面子でお約束どおり死ぬのは昔の夫で狙われるのは新しい恋人。身の危険を感じた被害者予備軍に呼ばれて金田一耕介登場して以下ネタバレ。
の、前に感想を挟んで見たくないひとは回避してくださいよの空間を作る。村上青年が(・∀・)イイ!!ですね。うむ、火花散らしたり爽やかに友情したり、情に厚く育ちが良く性格が良く、男前というより「絵に描いたような好青年」。飛鳥さんも素敵ダンディで鳳さん萌えー。実は秋山氏がとてもいい味出していて脇役としてはぴかいちの役どころなので、村上青年ばかりでなくこのひとにも注目して欲しい。そしてネタバレ。
これは某英雄伝説……!
有名なネタなんだろうなー、と。ちゅーかまだ某英雄伝説読んでない人すいません。ものすごすいません。でもミステリってそういうもんだと思ったりもします。他所のネタバレが押さえておくべき名作のネタバレになってしまって号泣、という状況。ミステリはミステリの本だけ読んでいても理解できないですよね。予備知識のない人間にはちょっと敷居が高いのではないか。
岩井志麻子、新潮文庫。
「それは百年ほど前の、岡山でのこと(中略)。蕩けるほど淫靡で、痺れるほど恐ろしい、岡山土俗絵巻」
背表紙の文庫解説から引用しました。解説が久世光彦なのですが、その言葉の余りの的確さに、胸を突かれる思いをしました。もう他の人間の感想なんていらないだろうとあっさり挫折。
相変わらず淫靡で陰惨で地獄のような絢爛さ。それに加えていつもより幻想的に美しいものだから、そこから濃厚な血臭がしても花の香と取り違えそう。
中でも「おめこ電球」のねじれ具合にはやられた。
タイトルにも本文にも放送禁止用語をちりばめた短編九本を収録。
「それは百年ほど前の、岡山でのこと(中略)。蕩けるほど淫靡で、痺れるほど恐ろしい、岡山土俗絵巻」
背表紙の文庫解説から引用しました。解説が久世光彦なのですが、その言葉の余りの的確さに、胸を突かれる思いをしました。もう他の人間の感想なんていらないだろうとあっさり挫折。
相変わらず淫靡で陰惨で地獄のような絢爛さ。それに加えていつもより幻想的に美しいものだから、そこから濃厚な血臭がしても花の香と取り違えそう。
中でも「おめこ電球」のねじれ具合にはやられた。
タイトルにも本文にも放送禁止用語をちりばめた短編九本を収録。
『新世界2nd〜5th』
2004年12月9日 未分類そういえばこの日記、投稿時に半角が自動で全角になってしまうのですね。字面が大変美しくないのでなんとかならないかしらん。yonda?ブックチャームが送られてきました。そういえば文庫二冊を買って帯についている応募券を送ると、全員にプレゼントという企画に応募したのでした。すっかーんと忘れていました。
『新世界』ついにシリーズ制覇。感想はまとめてしまいます。
性別のありようが一元的な母星系と、成長にしたがってシフトする夏星系の、大別すると二種類の種族が互いの利権と覇権をめぐって暗躍する星を舞台に、
もうこれ以上説明できない。
見た目が全くあてになりません。種族、機能、自認、外見、これら全て性別と密接に絡む要素がひとりの中でてんでばらばら。しかも自分がこうだと認識している所属が、第三者から見た所属と一致しないことも多々あります。この指定は作者のダブルスタンダードじゃないのかしらー、というような所属を持つ登場人物もいるため、誰がなんなのか大混乱。どこかにまとめか一覧表はないんですか……!
鍵を握るのはイオ/ミンクなのに、物語のもっとも主要な人物がシュイであるために、おかしな乖離を感じます。記憶のない、別人の顔を持つイオが主人公で当然、という長野まゆみ作品に頻出のお約束を頭から信じ込んでいたせいかもしれません。1stがイオ視点で書かれているのに、2ndからシュイ視点に切り替わり、その後もシュイ視点が続いていたのには初めて読んだときも驚きましたが、一番の混乱の原因は、三人称視点なのに改行もはさまず、地の文の中で主観があちらこちらとふらつくこと。意識が連続してる人物同士ならともかく、ソレンセンからジャウに移動したときは何事かと思いました。
そのソレンセン。駄目すぎて眉間にしわが寄ります。『サマー・キャンプ』でもそうだったけれど、どうして大人の駄目男は医者なんですか?『千年王子』の眼鏡兄まで漏れなく連想しました。奥さんは素晴らしく美人で素敵なのにどうしてなのー。
少年や男や女というたやすい言葉が殆ど指示語としての意味を果たさないので厳密な説明が難しいですね。というか厳密に外見と機能の性別を分離して解説したら、一から十までネタバレじゃないかと叱られそうなのであきらめます。なんだか感じの悪い感想になってしまった……。おかしい、性別に関するくだりについてはとても感心したのに。種族の差異がそのまま機能差であり、階級差になるという設定はすごい。同じ人間型なのに違う生き物で、関連していて、社会を形成しているのだなとすぐにわかりました。
ところで、シュイが「肉体を手放すだけでなく、生きていた何の形跡も遺さずに消滅したいんだ。それがおれの、ほんとうの希みだ」という台詞は、『テレヴィジョン・シティ』のラスト付近で語られていたことと、ほぼ正反対ですね。真逆ということは、同じということですが。
『新世界』ついにシリーズ制覇。感想はまとめてしまいます。
性別のありようが一元的な母星系と、成長にしたがってシフトする夏星系の、大別すると二種類の種族が互いの利権と覇権をめぐって暗躍する星を舞台に、
もうこれ以上説明できない。
見た目が全くあてになりません。種族、機能、自認、外見、これら全て性別と密接に絡む要素がひとりの中でてんでばらばら。しかも自分がこうだと認識している所属が、第三者から見た所属と一致しないことも多々あります。この指定は作者のダブルスタンダードじゃないのかしらー、というような所属を持つ登場人物もいるため、誰がなんなのか大混乱。どこかにまとめか一覧表はないんですか……!
鍵を握るのはイオ/ミンクなのに、物語のもっとも主要な人物がシュイであるために、おかしな乖離を感じます。記憶のない、別人の顔を持つイオが主人公で当然、という長野まゆみ作品に頻出のお約束を頭から信じ込んでいたせいかもしれません。1stがイオ視点で書かれているのに、2ndからシュイ視点に切り替わり、その後もシュイ視点が続いていたのには初めて読んだときも驚きましたが、一番の混乱の原因は、三人称視点なのに改行もはさまず、地の文の中で主観があちらこちらとふらつくこと。意識が連続してる人物同士ならともかく、ソレンセンからジャウに移動したときは何事かと思いました。
そのソレンセン。駄目すぎて眉間にしわが寄ります。『サマー・キャンプ』でもそうだったけれど、どうして大人の駄目男は医者なんですか?『千年王子』の眼鏡兄まで漏れなく連想しました。奥さんは素晴らしく美人で素敵なのにどうしてなのー。
少年や男や女というたやすい言葉が殆ど指示語としての意味を果たさないので厳密な説明が難しいですね。というか厳密に外見と機能の性別を分離して解説したら、一から十までネタバレじゃないかと叱られそうなのであきらめます。なんだか感じの悪い感想になってしまった……。おかしい、性別に関するくだりについてはとても感心したのに。種族の差異がそのまま機能差であり、階級差になるという設定はすごい。同じ人間型なのに違う生き物で、関連していて、社会を形成しているのだなとすぐにわかりました。
ところで、シュイが「肉体を手放すだけでなく、生きていた何の形跡も遺さずに消滅したいんだ。それがおれの、ほんとうの希みだ」という台詞は、『テレヴィジョン・シティ』のラスト付近で語られていたことと、ほぼ正反対ですね。真逆ということは、同じということですが。