絵が怖いよ!

2004年8月18日 未分類
『透明人間の納屋』読了。ミステリランドは執筆陣が豪華だけど子供向けとしてはトチ狂ったとしか思えないラインナップですね。しかもこの本、やたらと絵が怖いし。装丁も怖ければ中の挿絵も怖い。うなされるっちゅーねん。ホラーかと思ったわ。
それはさておき面白かった。でも、透明人間実在説を信じさせたまま11章辺りで終わった方が良かったのではなかろうか。すべての不思議な出来事に、合理的解決がつくというのは、凄いことだけれど少し味気なくもある。金縛りの謎くらいは、読み手はともかく一人称の観点では謎のままにしておいて欲しかったなー、と。夢がないんですね、謎がひとつもないと。
それにしてもまさか政治ネタで落ちがつくとは思わなかった……。途中で「ん?」とは思ったけれども。「報道による大衆操作の一環」だったとかそういう逆転オチが後世で判明したらどうするのだろうと、現実の話には常に余計な心配をしてしまうチキンなわたし。げふへは。
ところで、ミスリーディングのひとつであろう「あなたの死体、消せるわ!」っていうあの台詞は一体どういうことだったのだろう。自転車での移動中何を着ていたのかー、とか、何か着ていたなら何故裸だったのかー、とか。単なる読み落としだったら情けないのですが。
そういえば島田も『竜臥亭〜』以来ご無沙汰だわ。図書館には結構入ってるから読んでもいいなー。
浅田次郎著、『姫椿』読了。
浅田は読みやすいからお勧めだよー、と母に薦めた浅田次郎、自分で読んでて割と世話無いですな。このひとのエッセイは大爆笑ですきなのだけど、直木賞受賞後から刊行ペースについていけなくなってご無沙汰だったのでした。『勇気凛々ルリの色』なんてハードカバーで買ったのにね。
それはさておき短編集。骨っぽさを語り口でもって巧みに整えた、手練な文章は相変わらず。泣かせどころを心得たしみじみとした筆は、年輪と経験が滲み出していてヒジョウに羨ましい。じゅるり。
「一体何処の国の麒麟を攫ってきたー!(笑)」な「シエ」から「落ちてねえー!」な「零下〜」、「エバーグリーンって聞いたことあるよなあ、でも思い出せない」な「緑」まで、幅広い作風で魅せてくれます。「再会」でのどん底ぶりや、「姫椿」での容赦なく襲う理不尽まで、さらりとした筆致で残酷というものの姿を描き出す様子にはもう脱帽。ってか、この人を見てると、北村薫が好んで描く残酷さがわざとらしく見えるんだよなあ。なんというか、北村薫のは、いかにも女性らしい仕組まれた個人攻撃、という黒さ。それに対して浅田次郎は、自然の猛威と同じく勘定(感情)なくそれゆえ仮借なく人を襲う理不尽の持つ残酷さ、というか。
久々にさくさくとした骨太の文章をかじりました。もぐもぐ。
ちゅーても浅田次郎にも、どちらかといえば女性の感性に寄り添うようなところがあるのだけど。
図書館で制覇するのも悪くないなあ。
やかましいタイトルですが、これくらいではちっとも全然まったく僕の心情を言い表せてはいないのですよお嬢さん。
なんかもう、フォントサイズ馬鹿でかくして前後2ページに渡るくらいのスクロールになるほど行間空けて、

古橋秀行はいいな……!

とかやりたいですよ。
『デモンベイン 機神胎動』読了。
鋼造カッコいいー!あんたのその手回しの良さには参るわ!人物造形はほとんどオリジナル鋼造みたいですが、細部を見る限り九郎鋼造のほうなのね。ゲストヒロインはどじっこ属性でありながら嫌味なく元気で前向きでかわいらしいですね!ナイアさん今回はネーミングセンスがないとは言わせない名前で登場。
しかしそうか、アイオーンはアイオーンで、アリゾナ発のデモンベインとは別の機体だったのか。ああ、でもこれなら「混ざった」とも解釈できるなあ。
おそらく今回の主役であると思われる(笑)アズラッドと、悪役でありつつ奥さんでもあるあの人の関係は激しくときめきです。奥さん(・∀・)イイ!!よな。アズラッドは乗り捨てられるマスターの分際でアルと仲良くしすぎです。ムキー。
あー、でもこの鋼造は写本持ちで孫娘持ちで時計塔で殺害確定なのかと思うと泣ける。とりわけエイダが泣ける。

なんだろ、他所のサイト様でも言われていたけれど、古橋ならば何か暴走脱線を一つくらいしてくるに違いないと思ったら、これがあまりに真っ当正統でびっくり。足りないところは一つもなく、過剰なところもまた一つもない。この「足るを知る」とでも言うんだろうか、元の世界から逸脱すること無しに充実するという事態に自分は驚いたのだと思う。
98点あげちゃう。
やられたー!!
思い返してみれば、最近ここまで見事に騙しの効いた本は読んでないや。一人称視点で読者を騙す〜、って括りで記憶に残ってるのは森博嗣の『そして二人だけになった』くらいかなあ(古いよ)。
いやあやられた。
蓬莱倶楽部の悪事を爽快に締め上げてくれるんかなー、と思ったら、あらまあ。ハードボイルドだけどハードボイルドが主眼じゃなかったのですね。
しかし、さくらさんが安藤だとわかっても、愛さんが祖母だとわかっても、トラが安藤ではないとわかっても、それでもまだ一番大きな作者の仕掛けが何処(何)なのか解らないというのには心底参った。読み手の先入観を逆手に取るどころか、手にとって転がしまくるのは全く見事な腕ですわよ。つっかね、さくらさんが怪しいのなんて途中でまるわかりなんだ。でも、さくらさんが節子さんで主人公を安藤だと思い込んでいたのには「うわっ」って感じでした。こういう場合、普通は読者ごと「主人公は安藤というのだな」と勘違いさせておくものじゃないのか。登場人物だけってのは何か定石を外して凄くないか。
やや惜しいのは、蓬莱倶楽部に関して最後で微妙に投げ気味なこと。二人が警察に行けば目的は果たされるんだからいいんだろうけど、どうせなら当初の予想通りに、愛さんが望む形で蓬莱倶楽部が壊滅する爽快な結末も見たかった。若かりし頃の主人公の話と、現在の主人公の話と、結局関連性が見出せなかったのもちょっとなあ。ううん。

いやいやいや、それにしても近年まれに見るくらいすっかりさっぱりしっかりきっかり騙されました。ああいい気分だ。

で、歌野は新人だと思っていたら15冊目のベテランだったのか……。
著者名が名字だけだったり、出版社関係の情報がすっかり落ちてたりするのは「メモだから」という手抜きであって、本当なら著者名出版社発行年月日版ISBNまできっちり記入する作法を知っています。つーか大学4年間で叩き込まれたので、間違ってる人を見るとむずむずします。
新潮文庫でよく遭遇するんだけれども、戦前の版と、戦後すぐの版と、最近の版では同じ作品でも全く違って見えるのですね。特に戦前の版で読むとほぼ原文底本なのに、最近の版を本屋で手に取ると間違って違う本を手にしてしまったのだろうかという気分になることもしばしば。夏目の「こころ」を夏の文庫フェアで手にしたときは、マジで同名の違う作品かと思ってしまった……。旧字旧仮名の原文が一番美しい作家なんか損しまくりだね。

『しゃべくり探偵の四季』読了。
中身は激しくどうでもいいんだけど、解説に爆笑。比較対象にする作家がよりによって高村薫かよ!コピーとって置けばよかった(笑)。
で、この解説を書いたのが誰なのかさっぱり記憶にない、と。
実家のすぐ側には町立の図書館があるので、気軽に本を借りにいけます。中学を卒業するまではお世話になったものだ。今回帰省中することがないというか読むものがないと怖いので母にくっついて本を借りに惨状、もとい参上。「買うのはためらうけど読んでみたいなあ」と思われる本を中心に借りてみた。
それが昨日の話。

黒崎みどりの『しゃべくり探偵』読了。
全編台詞だけで構成された(手紙などの例外もあるがほぼ会話のみといって差し支えない)、日常の謎ミステリー。大阪弁且つボケノリ突っ込み一人漫才しょうもない駄洒落でできているので、肌に合わなかった人、ギャグが笑えなかった人には相当苦しい。発想としては斬新なんだけどね……。僕は苦しかった。それなのにうっかり続編の『しゃべくり探偵の四季』から読み出してしまったために、泣く泣く全部読むことに。一冊目から読んでたら、読み終えると同時に捨ててた。図書館で借りて読んでよかった。
しかしこれが黒崎みどりか!どうしても『聖なる死の塔』のイメージが先行してしまうから(っていうかそれしかない)びっくりした。いや、『聖なる〜』自体も読んでなくて、ドラマの再放送を眺めて笑っただけなんですが。ファンの人には申し訳ない。

映画「キング・アーサー」見てきました。これ以上ないほどよこしまな目的で(笑)。そういえば「デイアフタートゥモロー」「イノセント」「ホーンテッド」「パイレーツオブカリビアン」は見られなかったんだよなあ。家主が映画館に行く習慣をもっていないから。残念。「キルビル」はDVDでいいや(投げやり)。
ところで「ダークウォーター」って『仄暗い水の底から』だよね?(今検索したら「灰暗い」が大量に引っかかって笑った)。
最寄り駅から大阪駅までの電車の中で『老人と海』を読み終えてしまいましたよ!いやだって、血沸き肉踊るハードボイルド小説だったのですもの。中学生くらいをだまくらかして「冒険小説だよ」って読ませても大丈夫な気がする。ヘミングウェイの骨っぽさはまさしく漁師の老人の、働くことによって削がれた手の骨のようだ。
訳者の福田恒存の解説にふんとかはあとかほへえとか。うんうん頷きながら読みました。そう、つまりそういうことなんだ、僕がアメリカ文学を愛せないのは。同時にこれが、自分とヨーロッパ文学の縁が薄い理由だったりもするのだろうなと。まあでも、日本文学>ヨーロッパ文学>アメリカ文学って感じの並びですわな。

今気がついたんだけど、中国文学を何処に入れようか。
『ナイン・ストーリーズ』読了。『ライ麦畑〜』は読んだことがありません。なんちゅーか「せいしゅん小説」ってくくりに入る古典(とか純文学とか)ってキライなんですよ。読まず嫌いだけど。

「バナナフィッシュにうってつけの日」
こ、こんなんありか?!ありなのか?!シーモアさんは他の長編にも登場してるということで、そっちから読めば何とかなるかもしれないけど、とりあえずこの短編だけ読んだ印象は「わからん」。わけわからんというか、もうそれ以前に「読めてない」。作者が意図したところなど読みきれるはずもないし、作者が意図したところ以上のものを読んでしまうのが読書の醍醐味だとは思うのだけど、それはあくまで「読んだ」時に汲み出したものについての話であって、何一つ汲み出せていないというのは大変に問題なのではなかろうか……。なんだかもう「読み方が解らない」のセカイ。
バナナフィッシュは一部で有名なエピソードだけれど、初出は何処なんだろう。この作品中では「見ると死にたくなる魚」ではないらしい。多分。
「コネティカットのひょこひょこおじさん」
解説によると、「最初から七番目まで同じ主題の絶妙なヴァリエーション」ということらしい。嘘つけ。男前なおねーさんが、母親を慕う子どものように泣いているラストはなんだか切ないなあ。
「対エスキモー戦の前夜」
いやー、笑った笑った。簡単に言ってしまえば「無神経な友人に清算を迫るが、友人の兄がいい男だったので縁切りを中止」ってことなんだろうけど、なんとも絶妙。いい味出してるわー。おかしい、エピソードとしてはいかにも類型的なのに、見たことの無い変さ。よく天日干しにして原材料がよくわからなくなってしまった干物を、奇妙な味に首傾げつつ食べきった後に、実はあれ食べ物でもなんでもないんだよね……と知らないところで噂されてしまったような気分。
「笑い男」
ああ、これならわかる、これなら読み方を知っている。高校のときに現代文の教科書に載っていた、志賀直哉(志賀直哉だよな?ものっそいうろ覚え)の作品に似ている。あれは、訓練中の兵士の「人間的」とはかけ離れた姿を見るのと、その時食べるつもりでいた鴨の姿とが重ねあわされた作品だった。感想とかそれがどういうことなのかとか、そういうことはさっぱりわからないけど、これは多分こういう感じ、という程度にならなんとか読めた。誰かこういうタイプの小編の読み解き方を教えてくれないものかしらん。
「小船のほとりで」
つまり、主題というのは「希望」ということでいいのかしら。この辺りから漸く理解が追いついてきた感じ。「コネティカット〜」と「対エスキモー〜」はこれと同系ですな。どうも俗っぽくて類型的なものの方が自分の好みに合っているようだ。さすが村上春樹の全作品が理解不能なだけあるぜ自分。
「エズミに捧ぐ」
これ、エズミがめちゃくちゃ可愛いのな。萌え萌えですよ。まさかサリンジャーも日本のオタクが「エズミ萌え〜」などと転がりまわっているとは予想だにするまい。耳までの金髪に迷わず「前髪は目の上直線な」と決めてかかった阿呆。
で、前半エズミの愛らしさにのた打ち回って、もう理解できなくてもエズミ可愛いから(・∀・)イイ!!や、とか腐ったことを考えていたのだけれど、神経症になった主人公にぐあーと歯軋りし、手紙を開いてからラストまでのくだりにえっらい泣かされた。サブタイトルに「愛と汚辱のうちに」ってあるんだけど、こんなお題でこんなものが出てきてしまうサリンジャー恐るべし。
「愛らしき口元目は緑」
電話口での会話のみでここまで描き出されるストーリーがあろうとは。ところで、帰ってきた奥さんって誰なんですか?妥当な読みとしては理不尽あるいは幻覚あるいは自殺の示唆だと思うんですが。
「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」
いつも思うんだけど、作中人物が物凄い大嘘をついた挙句、まったくさっぱりなんの「怖さ」も感じないまま、だまくらかした人の前に現れて、その嘘を突き通そうとするのって凄いですね。絶対出来ないって、無理だって。一体その度胸と危機感のなさと如才なさは何処から出てくるんだ……。職業としてそれを学習したわけでも訓練したわけでもない人間が、やすやすと実行していることが多いのは、フィクションじゃないと無理だからなのか、これくらい実際にはありがちだからなのか、どっちなんだ。
嘘ついて自分を突っ張ってみたけど、ちょっとした事情から年相応の決着を見て日常に帰るという、これもまたわかりやすい展開。細部はかなりありえないんだがナー。
「テディ」
うわあ。

新潮文庫は翻訳者が安定していいのばっかりですね。つか、訳者は野崎孝なのか。それなりにいい訳をするなと思ったら。野崎は具体的に翻訳作品を上げろと言われても出てこないけど、名前を聞いたらわかる程度には俺の中でメジャー(はっきり名前と作品が一致するのなんて福田恒存くらいだ)。「A Perfect Day for Bananafish」を「バナナ魚日和」って訳すセンスだったら多分理解できなかったと思うわ……。野崎に78点。
奇数巻と偶数巻で視点の交代するザッピングファンタジー(帯の煽り文句だった)ミズー編完結。10巻完結で最終巻は10月発売。マジで年内完結ですよ。偶数巻は連載分とはいえ、すげえ。
ひとつのエピソードが終了ということで、ちょっとは真面目に思ったところでも書きとめて置こうかな、と。
まずは話の締め方に驚く。まだまだ幾らでも長くなりそうなところを、この長さで落とすか。背景設定の惜しげもない使い捨てには参った。つーかここまできて新しい話だの設定だの登場人物だの出すか普通。うへえ。しかし考えてみれば、最初にでてきた主要人物はほとんど変動なく最後まで出てるのな。途中脱落者はひとりか精々ふたり。マリオが出てきたときには俺も驚いたさ……。
一番気になったのは、ミズーとアイネストとの対比とか、ウルペンとの対比とか。後者については「超のつくシスコンの義妹と対決する超のつく愛妻家の義兄」って書くとなんだか違う世界の出来事ですね。そういえば姉と妹で既にコントラストだったか。「タッチング・ディスタンス」を二種類に訳してみた。
契約の謎も皆目見当もつかない内容だったのが、聞いてみればさてもなるほど。大仰な内容だと思ってたのが実はささやかな謎でしかなかったというのは、作者の引きの腕だよなあ。最近、職業作家としての秋田の有能っぷりに感嘆することが多い。

で、今更のように、赤毛赤マントハートオブレッドライオンのヒロインの名字が「ビアンカ」ということに何か意味があるのかと首を捻ってみる。

うわー、何か思っていたよりはるかにまずい文章になったのは何故だ。書くのが久しぶりだからか。しかも内容も取り留めなさすぎ。ちょっと修行して出直してきます。
あるいは「非・正気DEフライトあくろばてぃっく」な感じ(我ながらニュアンスでしか喋ってない頭の悪さ)。
『罪と罰(上下)』『老人と海』『ナイン・ストーリーズ』購入。三島はどうした、とか言わないように。『エンジェルハウリング』の新刊が見つからない。
まーなんつーかぶっちゃけ実家の母が貧血で入院とか言われると例え緊急度がDくらいでもテンパって外国文学の苦手どころでも買ってしまうようなこともあるのだろうなあ。
で、こういうときに限ってというタイミングなので家主は出張中だー!GBアドバンスの電池が切れたー!

俺の神経も切れたー!

番外。

2004年7月21日 未分類
今日は何も読んでいないけれど日記。だらだらと雑事をば書き連ねてみる。
家主が出張なので駅まで送りがてら本屋へ。文庫で『月魚』が出ている、しかも今年の5月。物凄く悔しいなオイ。新書の週間売り上げランキングが張り出されている。『空の境界』上下で発売直後から独走状態。一度篠田真由美に押されて落ちるもすぐに復活してるし。売れてるなあ。一般向けではないと思ったんだが(しかし講談社ノベルスって形態はどうなのよ。もっぱらライトノベルが守備範囲のひとは買いにくいだろうし、講談社ノベルスの回し者としてはなんちゅーか浮いてて買いにくいし。パッケージングを誤ったとしか思えんのだが)『エンジェル・ハウリング』の9巻がもう出ているらしい。やるな秋田。年内完結なるか。って、文庫の刊行ラインナップを眺めてたら紙がはがれて落ちた。すみません店員さん。怪しい客で。光文社が江戸川全集を出すらしいので覚えておこう。各業界のシェア第一位によって企業の業績や推移を見ようという本が面白そう。買わないけど見たい。プリンタはHPが強い。
ついでに隣のコンビニでも雑誌チェック。アマゾンに勧められて以来気になって仕方ない「さきクロ」……。『ツバサ』は何だか苦しそうなのでコミックス買うの止めたし。残酷描写とそれをかいくぐる冨樫のあのセンスにやるなあ、と感心しつつ、頼むから真面目に仕事してくれよと本気で溜息をつくここはコンビニ内だ世間様の目を気にしろ自分。つーか星と野良犬対決は星があの人でいいんですかね?
結論、本屋はまめに行かないと駄目だ。
A:死ぬことと見つけたり。間違った解釈でタイトルコールしてみる。三島由紀夫『葉隠入門』読了。
なんとも実用的な本。ビジネス書でもこれくらいのことは言うだろう。このプラクティカルさは、タイトルから、あの言葉から普段想像されるところの物とは似ても似つかない。カリカリキリキリと正確にねじを巻いてゆく何かの仕掛けのような正確さ。人間観察とニヒリズムから成り立つ「人生」の本。センチメンタリズムなんてお呼びじゃないのよ、精々が理想に憧れる浪漫が許容範囲よ、と言わんばかりのこの素っ気無さ。最近見ない潔いということ、を目が覚めるような気持ちで眺めました。
……なんだけど、後半半分が、三島が引用した部分の原文と日本語訳。これ、引用の直後辺りに脚注か何かで訳を入れておいたらもっと見やすく且つ薄くなっていたのではないかなあ。いや、それともそんな根性のない読書は読書と認めん!と読者に気合を要求する本なのか?それならいっそ、後半の訳は収録しないのがよいと思う。教養とはてめえで苦労して噛み砕いて少しずつ不完全ながら身につけていくものなり。苦労しない知識は身につかないわよ!
と、人事のように高笑いしてみる。

そういえば吉田直氏の訃報が。現在正式発表待ちなのですが……。『トリニティ・ブラッド』はいつか買おうリストに入っていただけに、惜しいことをした気分。これで完結はないのか……。
先週から図書館に行こうとしてまだ果たせていない……。ろくまいのとんかつがあああああ(泣)。
64マリオにうつつを抜かしている場合じゃないようです。
ところで金田一って近代知って変換されますよね。そんなことはどうでもいい『悪魔の寵児』読了。最後まで犯人がわからなかったー。今回は大いに満足。石川兄妹は絶対に××××に違いない!と途中で確信してた割には気づかない自分がなんとも情けないね……。そして最近読んだ京極のせいで、水上記者が鳥口君に見えるときがあったり。些細なことですが、作中ではいつ梅雨が終わったんですかね?……あ、雨男の目元の皮膚が浅黒いってのはどうなったんですか?

夜中になってから『悪魔の百唇譜』も読み終わりー。いいですね、唇の型取って百枚綴りにチャレンジ。……これ一本で一冊分の内容があるとはちょっと思えないけど。

新潟にいる友人からメールがあったのですよ。「清水フードについてる本屋に『空の境界』が入ってたよー」って。思わず「何刷ですか?」と聞いた僕。「四刷だった」ときっちりチェック入れてる友人素晴らしい。しかし、予約時点で初版がはけて二刷混じり、速攻で再版かかって三刷だったってことをあわせると、一般書店に入ったのはかなり遅かったのか……。
そういえば、無駄足を踏んでいる人のためにひとこと「ゲームレビューはありません」。

連続金田一。

2004年7月11日 未分類
『七つの仮面』読了〜。短い話は読みやすくていいね。表題の通りに七編入っているのも心憎い。

「七つの仮面」
にくいなあ。にくいんだけど、なんで窓から突き落とされた人は殺されねばならなかったのですか?それだけ微妙に解らない。うーん、あれか、雪辱戦か。疲れてたのは落とすのに手間取ったからか(そんなわけがない)。
「猫館」
猫が沢山死体の周りにいた理由はー?
「雌蛭」
髪の毛はパーマで何とかしたとして、出目金のような目はー?レンズの効果ですかー?
「日時計の中の女」
わっけわからんし。晶子さん謎杉。
「猟奇の始末書」
落ちって言うか解決編つーか、犯人の指摘部分が強引杉。あれだけ前振りして解決が3ページってバランス悪すぎやしないですか。しかも唐突だし。何故気付かれたと気付いた犯人。
「蝙蝠男」
ナメクジと一緒に使ったじゃん、このタイトル。いや、「蝙蝠ならいいが蝙蝠男にすると江戸川乱歩の如きである」って回避したのはいつよ?まー、どうして犯人の目星がついたか探偵にしかわからない秘密にしておくのは宜しくないと思う。
「薔薇の別荘」
親戚一同、登場の必要なし。主客13人プラス飛び入り14人中、登場の必要があったのなんて、4人くらいじゃないか?三枝子さんが養子に取られるんじゃないかというのは見ててわかるよな。普通。みゆきさんはお亡くなりになると思ったんだが、穿ちすぎだったか。
これだけ人を集めてきたんだから、もっと豪華に薔薇の別荘で起こる連続殺人事件!惨劇!勿論クローズドでお願いします!――ってのは駄目かしら。王道古典で盛り上がると思うんだけど。

アンタくび。

2004年7月10日 未分類
っつーノリで宣言されたら面白いなあとか、それなら字が違うよなとか余計なことばかり考えていた。
横溝正史『首』読了。まあなんだ、いい加減「死姦ネタ大杉」。なんだ、死体を愛好する冒頭で始まる短編は、死体発見時に死体と一緒に出てくる奴が犯人というお約束でもあるのか。そして短編は毎回ネタ振りが厳しいなあ。獄門も再度の登場だし、岡山に骨休めに行くと事件に巻き込まれるってことをいい加減学習しない金田一もどうかしている。「花園の悪魔」って「幽霊男」と微妙に被ってませんか。ちゅーか同じようなネタを続けて読んでしまった僕は間が悪いのだろうなあ。順番に買わないからだよ……。
京極と時代が近いのでまたもや混乱。今読んでる三島も戦後のだしなー。
相変わらず番外は何もかもが嘘くさいなあ。登場人物どころか地の文まで嘘くさい。事件自体も荒唐無稽なパロディみたいなノリだし。楽しいといえば楽しいけれども、イメージががたがたと音を立てて崩れていくのがわかってなんともいやん。ちゅーか何処のライトノベルですか。『百器』は「本人が書いた本人のパロディ」みたいなノリを楽しめれば勝ったも同然だけれど、合わないと苦しむだけのような気もしないではない。
だって、アレを指して「理想的」「完璧」「万人が望む姿」はないだろう、幾らなんでも。絵面を想像してしまうのはきっと作者の思う壺なんだろうなあ。神無月のもってる鏡も一読全力ネタバレだったし。
あの人にはご登場願いたくなかったというのが全くもって正直な本音でございまする。

もっと緻密な京極が読みたいなあ。60点辛口。
夏は、京極。(嘘八百)
買って参りましたよ、夏の京極新刊。つーても連載だから書下ろしはないんだけれど。ん?いや、そうでもないか、「雲外鏡」は落ちが違うという話だし。連載で「五徳猫」が発表された頃はまだ「由良伯爵事件」は起こっていなかった(『陰摩羅鬼』未発売)のだと思うとなんだか笑える。本で読むと、きちんと順番どおりなんだけど、待ってた間は「白樺湖?大磯?なんだそれは。次の事件の内容か?」とぐるぐるしたもんだ。
それはさておき。去年の今頃は『陰摩羅鬼〜』探して彷徨っていたのだっけなあ。夜中に。今回は、夕方といっても日の沈まぬ暑気の最中にひょろりと出かけてきました。うう、呼吸が動悸が。ぜえはあ。水が沁み込むほどに乾燥するなんてことは久しくなかったなあ。体にいいことか悪いことかはさておき、身体感覚が薄いといわれている世代の僕としてはこういう体験は大事にしないといけないよなあ、としみじみ感じたのでありました。

で。
「凝るとこも揉み解し方も違うだろうよ」
すげェ台詞ですね。
読書なんてしてられっかー!!
という勢いで、やりかけのゲームも全て放り出して「聖剣伝説」プレイ中です。きゃー!!
1991年ってことは13年前ですよ!俺の青春!ビバ10年越しの熱愛!寧ろ老いらくの恋とか言われても眼中無し、俺はゲームするぞー!
ゲームボーイのあまりの進化ぶりに、操作方法がわからず電源探してうろうろしてしまったとか、電池を入れないでゲーム始めようとしたとか、そんな失敗は瑣末なことなのですよ。おわかりかね愚かな大衆ども。
生まれて初めてゲームで涙し、その後十数年俺の心を捉え続けた、マイベストオブゲームの座に燦然と輝く永遠の憧れ。RPGでは未だに「唯一の泣きゲー」(「はろわ」で号泣したのが記憶に新しいよママン)。
興奮のあまり日本語がうまく使えないという有様で書き綴った本日、もしかしたらうっかり人を殺しているかもしれません。だがそんなこたぁ知らん。眩暈吐き気が襲っても偏頭痛で倒れても、手はゲーム機を離さない勢いで心意気で、日常なんぞ軽く放棄して挑みたいと思います。
集英社夏の一冊。ナツイチとオツイチは似ている。そんな『暗黒童話』読了。
なんですかこのありえないグロさは。
余りにさりげなくてうっかり読み過ごしてから、あれ、と気がついて考え込んだ。昔読んだ本に「内臓をこね回したような肉塊の表面に顔だけぺったり貼り付けてある」姿にされてしまった登場人物がいて、えらく醜悪でえぐいもんだと嫌悪しつつも心惹かれたもんですが、それをあっさりと上回るオツイチ。リアルな想像をしたら吐くな。世の一生懸命猟奇を追及している文章書きが、すっかり形無し立場なし。
なのに筆致が淡々としているせいか、そういうものだという以上の感想を抱かずに読んでしまう。なんちゅーか童話の残酷さみたい。皮剥がれようが釘の樽に押し込まれようが「ふーん」で済む童話。
奇しくも最近「記憶と断絶されて、以前と違う人格になってしまった」話を読んだばかりなので同じ状況での反応の違いを「ふんふんなるほど」と興味深く読んだ。

娼年

2004年7月3日 未分類
石田衣良、ようやく文庫化。現在文庫コンプ中につき、発見と同時に即買。たったいまカバーを折ってしまってがっくり。
タイトルから「少年」を想像していたので、主人公が「青年」であることに少々違和感を感じる読み始め。読み終わってみれば結果オーライ。本当に年端も行かない少年じゃあお話にならないな。解説にもあるけれど、石田衣良の文章は上品でそっけなくて、つめたくてやわらかくてやさしい。「ひかりあふれる、まあたらしい、ひろい浴室の清潔なタイル」とはまた言いえて妙だ。
個人的に心に残ったフレーズは「どこまでも正しいメグミは強制をやめないのに、法や常識の外にいる咲良は最後の瞬間までぼくの自由を大切にしてくれる」。物語の核心はここには多分ないのだけれど、いつも気になっていた引っ掛かりをさらりと言葉にしてくれた石平は素敵だと思う。

それにしても、この人はさりげなくとてもお洒落だ。

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