『薔薇とダイナマイト』『ムーンシャイン』(今、ムーン社員って変換してくれやがりましたよIME!)『フィラメント』をイーエスブックスを利用して購入。便利だ。愛してしまいそうだ。

『薔薇とダイナマイト』
店頭で発見できずに十年。ようやく買いました!読みました!コノ頃の若木未生は勢いがあって大変によいですね。地の文の独特さが疾走感に溢れて印象強い。頭から突っ込んでいくしかない不器用なヒロイン西条が、上手く自分の気持ちを伝えられずにぐしゃぐしゃに乱される様子がなんかいい。上手いなあ。そして全く欠片も一ミリも一グラムも躊躇しないで、覚悟を決めたならどんな怖いことでも嵐の中でも突き進むだけ、っつーある意味では暴虎馮河な無鉄砲無軌道無理無茶無謀を貫き通す姿勢にも惚れ。音に関する描写の切れが恐ろしいですよ。何処からこの速度と威力が出てくるのかなあ。形容詞重ねればいいってわけじゃないから余計に不思議。こんなのを一人称で書いてたら、そりゃあ世の乙女が影響受けるよな、と若木劣化コピーが素人の間で氾濫した時期を懐かしく思い出してみる。
『ムーンシャイン』
やべっ、これ持ってるかもしれん。読んだ覚えが満載。アシハラから借りたのは番外だけの筈……?坂本一人称「ムーンシャイン」が真骨頂。ヘッドホンでクリックトーン聴きながら、都会のど真ん中で深海に潜って熱帯魚に金魚鉢かぶせて、母親と全く意思の疎通が出来なくて社会的に半人前で外れてしまってもう帰れない。それがどうした俺は音楽がやりたいんだよ、という話。母親との会話の噛み合わなさときたら、こっちが歯噛みをしたくなる勢い。っていうか大人ってそうだよね。質問に答えないで勝手な話を始めた挙句、どうなのよと重ねて聞くと人の話を聞いてくれないと逆切れするんだよね。ふふふ。すげえわかる!と思った自分は今も変わらずにすげえわかるよその気持ち!と思います。藤谷先生と歩道橋の上でムーンシャインを作るくだりが白眉かな。
しかしこの頃に比べると、「GLASS HEART」になってからは随分苦しいのが目に見えるようだ。無理やり勢いをつけようとして失敗してる。クロイツェルソナタ(忘れたので途中から編曲)の金色の音なんて失速する以前に音じゃないよ。あーあ。

『フィラメント』は漆原友紀の初期短編集。しまそよこ(漢字がわからん)名義で書いてたものがほとんどかな。二本ほどリアルタイムで読んだものが入っていて、大変懐かしい。絵柄が今と恐ろしく違うのもご愛嬌。今の民俗学関係の昔懐かしい香りもたまらなく好きだけど、この頃時々見られる長野まゆみテイストも大好きなんです。しかし……怖い話はマジで怖いよ!(泣)。

次はCGI入門書か『文体練習』か……どっちにしようかな。

『骨音』

2004年9月27日 未分類
いしだいら。ああっ、しまった、縊死がトップに出てくる上に石平って変換できなくなってる!
んなことはどうでもよし。池袋ウェストゲートパーク、ようやく文庫でお目見えなりなり。こないだふらっと寄った本屋で発見、即購入したのに何故か忘れてて今日まで積んでました。ファンを名乗る資格なし(ファンというわけでもないんだけど)。
「骨音」
最速、ということがどれくらい格好良いのか、という話。嘘です。いやでも、今までに聞いたことのない断然カッコいい音、が最速の音だというのは、問答有無用の真実だと思う。最速ってことはそれだけで充分なカッコよさなのですよ。わかるかい、撃墜王(意味なしフレーズ)。頭のてっぺんから爪先まで、光の速さで駆け抜けていく電撃のような音が、もし出せたなら、僕はきっとそれを追及して踏み外すに違いない。僕ですら踏み外すというのに、それが「耳の種族」であるスライが見過ごせるわけがない。ううむ、一つの素敵なものを追求するときに、どれだけのものを犠牲に出来るかという命題は、「全て」と当たり前のように答えられる人間が一番カッコいいんだと若い頃は信じていたものです。あの時君は若かった。事件の構造としては、謎というものが何処にあるのか探した方が早いような単純さなので、純粋に音を愛でればよいのかと。多分。あと、ギターの「俺が飲むから」というガッツを高く買う。以上。多分。
「西一番街テイクアウト」
やばい、香緒が可愛すぎる。いいなあ。父親になってもいいなと思ってしまった主人公の気持ちはわかるぞ同士!「叶姉妹に判定勝ち」など、今回の文庫は描写のときの小技が冴えてるね。人によっては鬱陶しいと感じる向きもあるかもしれんが。「(ユニクロ)(アディダス)(オールイングランドのすかした白いダッフルコート)」に暫く笑いが止まらなかった……。服装の描写じゃないところがポイントなー。しかも人間でもないじゃん!主人公母が本格的に登場したのが嬉しいような、出張りすぎなのが悲しいような。普通のおふくろだった方が個人的には良かったかなあ。
「キミドリの神様」
もう事件はどうでも良いらしいです。投げてるのか石平。初期の事件の混迷→解決の手さばきは何処へ放棄してしまったのだ。ここからちょっと気になったのが、ゲストとして出てくる登場人物の造形に対する踏み込みの浅さ。造形としては申し分なく「キャラが立っている」状態なんだけれど、そのキャラクター(性質)に対する踏み込みが甘い。主人公が事件を通してのみかかわりを持つせいなのだろうと推測。事件以外でかかわりを持った登場人物はレギュラーになっているのとあわせると、これ以上増やせないので仕方ない判断だとは思うんだけども、なんだか物足りないのは間違いない。「おしゃれなカフェのステップを、おしゃれに降りる」とか、相変わらず細かい部分では笑いまくったけど。
「西口ミッドサマー狂乱」
鋼のソプラノ。以上。いや、なんだろ、もうこれ以上言うことはないっつーか。欲しかった言葉を有難う、っつーか。コントミン飲み過ぎて動けなくなったことはあるけど、スマートドラッグで飛んだことはないです。キノコが合法だった頃に友人から体験レポなんかを聞かせてもらったのも遥か昔の思い出。今ではしらふでトリップできます(大嘘)。作中主人公が、音楽と水と夜明けの光だけで飛んでいたのと同じようなことは可能だと信じている手合いです。何かの助けを借りないとその域にたどり着けないうちは色々とまだまだなんだろうなー。一冊の半分近くを占めているのに気付いたときはびっくりして「長ッ」と呟いてしまいました。それにしても音楽というものの力を描くのが好きですね石田衣良は。

不満な点は、タカシの描写が記号的になってきたこと。これじゃあそこいらの萌えキャラと同じ扱いです。「冷たい」ということを毎回毎回描写するのも良いけれど、前回を踏まえて洒落として織り込んでるのだろうとも考えられるけど、「クールで感情表現の少ないタイプ」っていうのは狙いすぎると記号になるので、次回以降は何とかしていただきたい。事件に対する雑な設定もできれば……。

鋼のソプラノ、鋼のソプラノ。うん、いいフレーズだ。
裏表紙の内容紹介の時点でげんなりしたっつーの。「痛めつけた→監禁し、暴行を加えた→助け出し、暴行を加え……」裏表紙だけで食傷できる小説ってのも中々珍しいと思うんだけど。
『行きどまり』なんとか読了。5日とかかかった気がします。読み出した時点で、主人公が大学生なのが妙に生臭い感じがして一度置いちゃったんだ、そういえば。
抜ける油も生成できないような、乾燥するための潤沢さもない青二才がハードボイルドって、どうなのよ。少なくもと俺は認めなくってよ。これだったら高村薫の『わが手に拳銃を』のほうが、青春してる分まだマシだって。マシっていうか比べ物にならん。主人公にはきちんと女がいて、バイトしてて、親友がいるのに、のっぴきならぬ事情で流されるように暴力社会に足を突っ込んだその先が、「行きどまり」だというのは共通なのにね……。ああん。

女史の愛読書は「JISハンドブック」という情報を入手。わしも真似してみるかー。
土曜日は午前中で閉まってしまうことを失念したまま郵便局へ荷物を出しに行って倒れました。世界は日曜祝日と平日だけで出来ている。
『ビートのディシプリンSIDE3』読了。相変わらず打ちにくいタイトルだ。そしてプリンみたいでおいしそうだ。
雑誌連載終了してたんじゃなかったですかー?!終わってないなんて聞いてない。ああ聞いてないとも。しかし、上遠野は毎回「読みにくい……」と歯噛みするような文章を書いてくれますな。「そいつ」とか「そんな」とか、地の文で使わないでくれ。シリアスな筈なのに腰砕け。「世界を裏から牛耳る組織」と比較される組織集団がいつもちゃちいのはなんでですか。世界を知らない中学生が「凄い」ことを強調しようとして失敗してるみたいだ。なんつーかアレだ、現代日本なのに「財閥の総帥」とか言っちゃうみたいな。「中枢」の設定は面白いんだけどなー(只単に「未登場なので読み手が勝手に期待を大きくしているだけ」かもしれないと思うとやりきれない)。おかげで物語に入るまでが大変。入ってしまえばノンストップでラストまで駆け抜けるんだけど。
そろそろオールスター登場で、あの人も正体が割れました。くそう、個人的にはあの人は未だ地上にたどり着けないでいる人であって欲しかった。迂回と犬と酸素大好き。しかし、前回から間があったせいで、ストーリーの細かいところを殆ど忘れている罠。
「当たってから射たんだから〜」という台詞を引用されている弓の達人に笑った。そう考えると、傷物の赤と傷んだ赤ってネタ被りよね。本人達の言いたいところは反対らしいが。
酸素が鼓動をすなどったラストに爆笑。あ、すなどるが出ない。

今日からイーエスブックスに参戦。参戦ていう言い方もどうかなあ。
『フルーツバスケット』の15巻げとー(ずさー)。「じゅんぐろ」に爆笑。でも「純白じゅんぱく」なら「純黒じゅんこく」じゃないのかしらん。今、「じゅんこく」って打ったら「殉国」って変換されましたよ!魚谷さんたらおっとこまえー。由紀とあきとさんは小さい頃の方が普通に素直に可愛いと思えます。そういえば夾の時もそんなこと言ってたな自分。

で。

『NERVOUS VENUS』が続き出てるよー!!

大喜びです。欣喜雀躍です。狂喜乱舞です。カッコいいんだよー、いやもう、5巻読んでその場に崩れ落ちそうになった。厳しい男が好きだなんて、振られて「思ったとおりだ!」って、容赦の欠片もなく鋭く厳しい、力のある生き様。
登場人物のぎりぎりさがたまりません。こんな崖っぷちを好んで突っ走るような生き方してたら死んじゃうって。良く切れる刃物のようにあっさりざっくりと大事なものを切り裂いていくちから、が情熱として他人に向く、怖いなあ。人の想いが現実と同じだけ破壊力あるってのは一体どういうことなんだ。
こういう感覚を描いて(わたしが他人に説明するときに)言葉に困る作家といえば、あとは若木未生しか思いつかないなあ。

時期限定でも確かに自分の中にもあったちからなんだ。あれは。

北方さあ。

2004年9月21日 未分類
全部同じに見えるんだけどどうなのよ。
『友よ、静かに瞑れ』読了。
むかしむかしに読んだことがあるようなないような。これを読んでて思い出したのが、やっぱり人がいない街にやってきたハードボイルドな主人公が、線路の側だかトンネルだかでチンピラに命を狙われて、返り討ちにするという、かなりお約束な展開をする話。中学生の頃に読んだのだ。覚えている理由は只一つ、作中に登場する喫茶店の中に飾ってある絵がとても鮮烈だったから。赤い空、赤い海、水平線に没する輝きの一閃が赤い画面を強烈に分断していた。赤だけで描いた絵が、どうして真ん中の線が強く強く見えるのかなと不思議に思って想像して、自分で描いてみたけれど無理だった。夕日が沈んで青く染まっていくだけの絵になった。歯ブラシと網を使ってエアブラシみたいな効果を出すテクニックを習得したばっかりで、試してみたくて仕方なかったのが敗因だろう。
もしこの作品のタイトル作者を正確に覚えている人がいたら教えて欲しい、ってことで。

……ああ、肝心の『友よ〜』の話をひとつもしていない。
では採点だ(サイテー。よりによってこのネタがトップかい)。

買った本を読みつくし、今月の予算がもうないので家主の本を奪って読書開始。北方は好きですよ。中学生の頃、わざわざハードカバーの『活路』を購入したくらいですから。連載リアルタイムで読んでましたから。
毀したい、何を毀したいのかも曖昧な主人公は手が触れるものを毀し続ければその先に何かあるのかもしれないと考えた。一番毀したいのは自分自身だった。殺し合いもしてみたけれど、誰も俺を殺してはくれないのだな。理屈にならないということはこの世の中で通じないと言うことだと、自ら名言しながら漂流し続ける。能力はあるのに最後は駄目になる、自分から毀す。迷走中に「そこにあったから」と指先に触れた他者を完膚なきまでに毀す様は、駄々っ子のようにしか見えなかった。
ハードボイルド。鼻血が出てもハードボイルド。寧ろ鼻血と煙草と粗末な食事と酒と後頭部強打がなければハードボイルドとは呼べないのかも知れん。
ああ、駄目だ、ラストまで『活路』に被りまくり。登場人物も、他人に対する主人公の動きも、ほぼ置換可能。厚さが足りない。もっと書け。
こういうわけわからん男は、小説内でよく見かけるけれど、一体彼らは何を欲しがっているのかな。曖昧に濁した言葉の先をー!
ハードボイルドな男を捕まえて「子供のようだ」と言うのは、割とありがちな評価だな。

下巻読了。

2004年9月12日 未分類
脅迫状の文面がおかしい事には気付いても、それが一体どういうことなのか考えようともしないっつーか考えるなんて発想すら出てこない私。
同じ顔した人が二人出てきたからには、出てきたなりの展開があるだろうに、未だにそのお約束が飲み込めてない私。
実は上巻読了時点で「滋は殺され役に決定だろう」とか予想していたワタシ。
……段々化けの皮がはがれてきた気がする。
ミステリ読みの風上にも置けないみじんこも金田一事件簿ラストとなれば粛然とします。事件の結末はともあれ、あのラストは……滝から落ちなくて良かったね。でも、あの程度なら復帰できなくもない。年を取ったと盛んに地の文で言われ続けて『悪霊島』から『病院坂』だったので、ああ、老兵は死なず、ただ消え去るのみって言ったのは誰だったかなあ、な気分。
角川文庫では金田一の登場する事件は全部読めるのかしら。未収録作品とかあったら嘆き悲しんで売り払い、全収録してる出版社のシリーズに鞍替えしようと思います(物凄い無駄なお金の使い方)。

なんかこー、色々突込みどころを考えながら読んでいた気もするんですが、いざパソに向かったらほとんど吹っ飛んだ。善哉善哉。
へいへいへーい、やっとこさ上巻読了イエー☆
ジャズの話に終始したので頭の中がよくわからない音楽に占拠されまくり。どうせなら上巻終了時点での今後の展開及び犯人の目星ついでに犯行の動機に方法にふたつの事件の関係を推測して感想に書き、晒し上げるという自殺行為に及んでみたかったけれど、全くなんにもかけらも見当がつかないので挫折。下巻を読んで真相を知ってから見たら、余りの外れっぷりに思わず首をくくりたくなるような感想を書くのが夢だったのに。ちぇ。せめてもと用意した由香利さんと小雪ちゃんが同じ顔だろう予測はあっさり上巻で解明されてしまって立場のない私。
それにしてもとり・みきは偉大だ。ネタバレになってるけどなってない。美人だかブスだか解らないあの人はいつでてくるのか。そして馬は(出てくるわけがない)。横溝は大事件となると、入り組んだ血縁関係を用意しますけど、どうしてなんでしょうか。矢張り必要な登場人物が赤の他人だと縁もゆかりもなくて厳しいからでしょうか。ちゅうか弥生さんより上の世代の血族の話って必要なのかい。
物語の書き手であるところの「先生=ご隠居」が作中内に登場してえらくびっくりした。この人は語り手としてしか登場しないものだと思っていたのに。うひー、流石最後の事件。まだ『仮面舞踏会』読んでないけど。
話は下巻を読んでからだ(またか)。
『悪霊島(下)』一気呵成に終了〜。上巻とは比べ物にならん勢いです。真帆ちゃん死なんでくれと心臓どっきどき。磯川警部はなんだかおかしなことになってるし。巴さんは蒸発してる人が他にもいるという話が出たところからやたらに怪しいし。つーかね、

「女郎蜘蛛」なんて章があったらそれだけで犯人がわかっちゃうと思うの……!

あ〜あ〜あああああ〜。
シリーズ最後に発表されただけあって、ややこしさとそれを捌く手つきには見事なものがありました。
次は『美容院坂〜』だー!(違います。でもとり・みき大好き)。
……洞窟内で対決、決着って他にもあったよな。『八つ墓村』だっけ?

すすまねえ。

2004年9月8日 未分類
『悪霊島(上)』ようやく読了。だらだら3日とかかかりましたよ。なんでこんなに読みにくいんだ。登場人物が多すぎて把握できなくなってきました。なんつーか、殺人が起こるまで下準備と仕込みだけ読まされてる感じ。
金田一が昔の事件を思い出したり、自分の性格について自省してみたり、磯川警部と微妙に行き違ってみたり、あれあれ、これはシリーズが終わりに近くなると見られる傾向じゃないですか?
話は下巻を読んでからだ。
推理小説じゃなくて冒険譚として楽しめば、頭の中がハリウッド。
『三つ首塔』読了。
得体も正体も知れない男前の悪党と、超のつく巻き込まれ型ヒロインが人生を滑り落ちるように転落しながら目指す塔にたどり着いた冒頭。さてどうして良家の子女である私がここまで落ちたのかというと、それはもうちょっと筆舌に尽くしがたい事件事件またまた事件という、とんでもない運命の急流に落ち込んだからなのでした。
三つ首塔が日本の田舎にあるんじゃなければ、マジでハリウッドの冒険映画みたいなノリだったのになー。逃走しながら事件の真相に迫る!みたいな。変装尾行に危機一髪、カーチェイスだけはないけど軟禁監禁地下生活、双子に姉妹に同性愛までは幅広くご用意しております。当然探偵も警察も殺人犯もいるぜー。あとは空からの落下追跡があったりしたら完璧だった(それはもう違う話だし)。
あ、落下あったわ、そういえば。
漢字で書くと不思議なものもらい。昨日、久しぶりにコンタクトをしたせいかもしれない。とりあえず「眼球に傷」じゃなくて良かった。
『女王蜂』読了。
どうしてタイトルが女王蜂なのかさっぱりわからんのですが。智子さんは蜂で女王様なだけで、別に女王蜂ではないと思うんですが。苦しいな。そこら辺はさておき、ハッピーエンドでよかったよかった。……あれ、この構図、前にも読んだぞ。……犬神家か、そういえばあそこも美貌の跡取り娘+周りの男が死んでいくっつーパターンでしたな。神尾女史は端ッから怪しくてよいですね。もうひとり怪しい人間を探さねば!と思って読んだけれど、ほとんど直前までわからなかった……。
うむ、満足。

『罪と罰』

2004年9月1日 未分類
今夏自分的課題図書、読み終わりましたー!
いやあもうものすげえ面白かった!!特に下巻、ジェットコースターですよ。一気に読んじゃったよ。重さと厚さに躊躇してこれを読んでいない本好きは、絶対損をしている。つーか、人口に膾炙しているような粗筋は誰が考えたんだ。アレのせいで面白い本を読み損なっている人間はかなりの数だと思うぞ。あー、もうホント勿体無い。厚さだって実際読んでみれば大したことないし。読みにくい文体でもないし、難しい言葉が並ぶわけでもないし、読むのにかかった時間と気力なら高村薫の『リヴィエラ〜』の方が上だったな。

ラスコーリニコフVSポルフィーリィ。
予審判事の性格の悪さにはときめき。解説でも書いてたけど、形式としては完全に「コロンボ」なのですね。判事の視点から描いた場面がないために、読者には判事が何処まで掴んでいるのか、行っていることの何処まで嘘なのかはっきりとわからない。心憎い!
ルージンVSスヴィドリガイロフ。
ルージンの阿呆ッぷりと途中脱落振りには同情の涙を禁じえませんでしたな……(笑)。才色兼備な主人公妹を挟んで合わせ鏡のように登場したスヴィーにインパクトで負けて蹴落とされたというのが相応しい。ルージンがソーニャにちょっかいを出したときは、このロリコン、まさか次は代わりにソーニャをターゲッチングしたのではあるまいな?!とどきどきしたもんです。つーかスヴィーの変態ロリコン振りには「ニヒリスト」なんて形容が似合わないです。なんだよ、50歳になるおっさんが16歳の許婚に鼻の下伸ばしやがって。確かに綺麗で若い女の子は素敵だが!主人公妹が好きで好きで仕方がない理由は、彼女がややロリィだからなんだろうか……。
主人公とその妹。
途中から影が薄い……(笑)。てっきり、一冊丸々かけて主人公が苦悩する様をねちねちねちねち描いた作品だと思ってたのに、発狂もせず普通に収監されて、あまつさえ更生しちゃって。お前って奴は周囲に恵まれたよな。人間万事塞翁が馬、の見本みたいな人。妹とは双子みたいで面白かった。ていうか妹が面白かった。兄さん大好き妹大好きなこの兄妹、絶対シスコン&ブラコンだよな。主人公の妹に対する過保護さは、ある意味仕方ないのかもしれない。変質者二人も出てきて兄さんもう大変☆とか。妹にはいつ不幸になるか死ぬんじゃないかとハラハラさせられっぱなし。薄幸な匂いがするんだもの。
神VS無神論者。
ロシアという、正教の支配下真っ只中で、洗礼を受けるのが当たり前なほどのキリスト教徒が神を信じなくなる/信じられなくなるということの苦痛がいかほどのものであるか、現代日本に住む私には解らないのですが、神を信じなくなる/信じられなくなるほどの苦痛であるならば、一端ではあるけれど、想像できる。貧しさということ、をマルメラードフが語っていたけれど、閉塞しない貧しさは、ただ破滅に向かってだけ道を示している。奇跡を待つ心の弱さや、切実さは、何の足しにもならないと一刀両断されているのが悲しい。
まとめ。
思想を読むことができ、犯罪後の対決を読むことができ、尊厳をかけた人間関係を読むことができ、現代では陳腐に堕してしまったリアリスティックな人間を読むことが出来る、一粒で4回美味しい本。更には新しい世界へ踏み出す希望のラストまでつけて文庫上下巻じゃ足りなーい!と思った私は少数派かしら。もっと書いて欲しかった。
『耳猫風信社』。これまた最初に読んだのは高校時代に単行本で。覚えてるエピソードは、前髪をフラッシュピンクに染めたい少年、耳の中に入ったうさぎ草、ママのひまわりパンと灰色猫、のみっつ。まあまあ覚えてた方だと自分では思う。
診療所にいた甥っ子の少年がビジュアル的にクリーンヒット。これ読んで以来、みじんこ理想の綺麗な少年は、「濃紺の上着に白いブラウスが似合うすっきり品のいい姿」をしています。カシスの黒コート姿も凄く好きだけど、やはり青系で。
なんちゅーかもう長野節大全開、真骨頂。大好き。
あれー、なんだか記憶と違うぞ、あつかましさ全開の女の子を拾って苦労するけど結局それでOKしてしまう話ではなかったか。
『月の船でゆく』読了〜。
首傾げながら読んでたら、間違ってなかった。少年は自分が女の子だと主張しているし、叔母上も女の子だと決めてかかってる。姉だけが弟だと言ってるけど、よし、間違っていないこれでOK。
最初に読んだのは高校生の頃に、母が図書館から借りてきた単行本だっけ。今ほど巻き込まれ型押し切られ型の主人公に反発を感じなかったような。しかしこうして改めて読んでみると、ものすご巻き込まれ型の主人公ですな。パロマもかわいそうに。変なのに引っかかっちゃって。
……叔母上が自分より年下になってしまったことに愕然。
『海猫宿舎』長野まゆみ読了。
宿舎で暮らす体の弱い少年たち、新しくその土地にやってきた先生、季節が移り行くそのほんの僅かな境目、当たり前のように溶け込む「不思議」、成長の軌跡と待ち受ける奇跡。
まあ要するにいつもどおりといえばいつもどおりということで。ただ、いつもの毒だの偏執だの拘泥するところがない書きぶりのせいか、この作家にありうべからざらる地味さ。普通さ。真っ当さ。綺麗には間違いないんだけれども、何か足りない気がする。
普通の話を書く長野まゆみって平凡な作家でしかない気がする。知らずにこの話だけ読んだら「ふーん」ってあまりの普通さと地味さに多分、もとい間違いなく読み捨てにしていたに違いない。『夏帽子』なんかと比較するとよくわかると思われる。
いや、でもより現実に寄り添う姿としてはこちらが正解なのだろうな、とは思った。ただそれが「長野まゆみ」に似合うかどうかは別の話というだけのこと。

それにしても『月の船でゆく』が光文社から文庫化してたとはねー。やられた。道理で見つからない筈だわ。

罪と罰

2004年8月27日 未分類
罪と罰〜♪
すっかりありふれてそこいらの安い歌にでも転がるようになったフレーズですが書名です。
ドストエフスキーの『罪と罰(上)』読了です。
ドストエフスキーは(゜Д゜)ゴルァ!!なんですねー、と知り合いに話したら爆笑されました。高級な話題なのか低俗な話題なのかわからないし。
途切れ途切れに読んでいたら、誰が誰なのかわからなくなって大変。ザミョートフっていつ出てきたんですか。あと、名前を活用しまくるのを何とかしてください。女性の愛称変化はなんとか知識の中にありましたが、名字まで活用されるとはおもわなんだ……。「マルメラードワ」なんて誤植かと思ったっつーの。
ポルフィーリィが出てきてぎくっとした俺は阿呆ですね。こっちが元ネタなんだから出てくるのが当然だというに。
下巻でどれくらいラスコーリニコフがいかれるのか大変楽しみです。
通称「おねえさま」「ささやん」そして「家主」と僕の4人でオタクスポットにゴーです。うふふ。むしろくすくす。
何処へ行ってきたのかといえば、耳にしたことはあるけれど足を踏み入れたことは一度たりともない地底の穴、まんだらけですよ……!いやあ、おかしいネ!テレビで話題になっていた頃の姿を想像して足を踏み入れたワタクシ、ビル一つぶち抜いていることに驚愕。社会見学の如き態度で18禁男性向けコーナーへ……(間違っている)。

通販特典の「アレ本」がいちまんごせんえんってどういうことですか師匠!
初回限定版が1万ちょっとって、それは初回特典ついているのですか!
どうしてBPNとメタモとBABYとナオトの服がコスプレ衣装と一緒に売っているのですか!
ちゅーか主目的であった店員さんによるステージ上ライブがいたたまれないのはどうしてですか……!

同人誌など今更欲しいとは思わないので、この程度で撤退してきました。ああ、面白かった。
そして途中で寄った本屋でメルブラのリアクト攻略ガイドブックと、fateのプレミアムファンブックを購入。家主に馬鹿呼ばわりされました。メルブラもっていないのにどうする気だと。いいんだ、今度買いに行くから。
真っ当な本も買いました。『海猫宿舎』を探していて『月の船でゆく』『耳猫風信社』を発見、まとめてゲット。『悪霊島(上下)』『病院坂の首縊りの家(上下)』『三つ首塔』『女王蜂』……ガーン、『仮面舞踏会』買い忘れた!後一冊でシリーズコンプだったのに(号泣)。
今月はもうお金ないんで、家で大人しく本を読むことにします。
しかし、プレミアムファンブックが割りと期待はずれだったのでどうしてやろうかと復讐の念に萌えています。違う燃えています。

もしかしたらメルブラのためだけにパッド購入もあるかもしれない。人生のピンチ!
何を勘違いしたのか母に向かって「芥川賞受賞作品」と解説してしまった『脳男』。いやそれありえないから。気付いてすぐに訂正したので以下何事もなかったかのように感想。
色々使い捨てというか出しっぱなしというか。出したものにきちんとケリをつけてくれていないので(具体例:青木)どうにも散漫な印象が拭えない。もっとタイトにつめて濃縮還元120%くらいにしてくれれば丁度いいと思われる。主人公も刑事と女医と脳男のどれかに絞った方が良かったなあ。刑事を主人公に一本書いたら、菊地秀行みたいなそれはそれは無茶で面白い話が出来そうな予感がするんだけど。
まあ第一作目でこれなら大したものなんだろうなあ。とか、最近濃い上に重いものばかり読んでいるからジェットコースター系は評価が低くなるのかなあ、とか。まあ色々。フォローフォロー。

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