ぎゃああああああ?!
2004年11月20日 未分類だらりんと本屋によって『×××HOLIC』の新刊を購入。表紙の衣装が素敵ー。そういえば劇場公開とか宣伝してるよなー、と思いながら読み終わってから気付いた。
帯に京極夏彦のコメントが。
ええええええー?!
確かに好きそうだなー、とは思ったけれどもなんだか腑に落ちない。何故だろう。妖怪繋がりで講談社繋がりなのに、解せない。
京極といえば、でぶと狼はどするかなー。
日常雑記だけでは日記の趣旨に反するので追加。
『三日月少年の秘密』長野まゆみ、河出書房新社。
書き下ろし一本と雑誌掲載作品二本だけか……。もう一本くらい収録しても良さそうなものだけどな。一頁当たりの字数を増やして欲しいとか長野読者がおよそ望まない方向で要求を出してみる。
『三日月少年漂流記』を持っているので大変期待して読んだら、――理解できませんでした。明快に「ここがこういう仕掛けなのだよ」と言えそうなのに言えない、「これはこういった理不尽or不条理なストーリーである」と説明できそうでできない辺りが喉に刺さった小骨のよう。整然とした不思議設定を作り損ねた感じを受けるのは何故だろう。
三日月少年、黒猫、月光舎、祖父に良く似た人、開かない鞄、秘密の鍵、列車で横切る日付け変更線と、好きな要素は満載なのに楽しめなかったというのが素直な感想。収録順を変えてくれたらもう少し理解が……多分及ばない。
一人称で台詞そのままの地の文が、この居心地の悪さの原因なんだろうな。それから旧仮名遣いの手紙が微妙に安心して読めないっていうのも首を傾げた。どうしちゃったのかしらん。
帯に京極夏彦のコメントが。
ええええええー?!
確かに好きそうだなー、とは思ったけれどもなんだか腑に落ちない。何故だろう。妖怪繋がりで講談社繋がりなのに、解せない。
京極といえば、でぶと狼はどするかなー。
日常雑記だけでは日記の趣旨に反するので追加。
『三日月少年の秘密』長野まゆみ、河出書房新社。
書き下ろし一本と雑誌掲載作品二本だけか……。もう一本くらい収録しても良さそうなものだけどな。一頁当たりの字数を増やして欲しいとか長野読者がおよそ望まない方向で要求を出してみる。
『三日月少年漂流記』を持っているので大変期待して読んだら、――理解できませんでした。明快に「ここがこういう仕掛けなのだよ」と言えそうなのに言えない、「これはこういった理不尽or不条理なストーリーである」と説明できそうでできない辺りが喉に刺さった小骨のよう。整然とした不思議設定を作り損ねた感じを受けるのは何故だろう。
三日月少年、黒猫、月光舎、祖父に良く似た人、開かない鞄、秘密の鍵、列車で横切る日付け変更線と、好きな要素は満載なのに楽しめなかったというのが素直な感想。収録順を変えてくれたらもう少し理解が……多分及ばない。
一人称で台詞そのままの地の文が、この居心地の悪さの原因なんだろうな。それから旧仮名遣いの手紙が微妙に安心して読めないっていうのも首を傾げた。どうしちゃったのかしらん。
奈須きのこ『空の境界」愛蔵版(講談社定価9800円)が予約受付終了。
発売予定日が2004年12月中旬 になってますけどマジでか?オフィシャルでも宣伝してなかったのに。みじんこが目にしたのはesにて。
ガセか、ガセなのか。
それともマジなのか!
発売予定日が2004年12月中旬 になってますけどマジでか?オフィシャルでも宣伝してなかったのに。みじんこが目にしたのはesにて。
ガセか、ガセなのか。
それともマジなのか!
『私小説 from left to right』
2004年11月19日 未分類どうしても「フロムライト〜」って言ってしまうのはそっちの方が語呂がいいから。
水村美苗、新潮社。
素晴らしく敷居の高い本。余りに読み手を限定するので信じられず一瞬ぽかーんとなったり。いやだって、本文中の英語が理解できないと、話が理解できないって凄いでしょう。てっきり英語部分は飛ばしても大丈夫なんだと思ったわよ。念のため調べてみれば「英語がわからないと読めません。英語以外の言葉も出てきます」だもん。仏語なんてわかりません。辞書片手に呼んだ自分は偉いと思いながらも、同時に、勉強しながら読んでる自分偉いという気分に浸らせてくれた本も久しぶりだなと思った。学術書以来だ。
私小説。人生を定められずにアメリカで大学院生をしながら日々を過ごす美苗が、先延ばしにしていた口答試験を受けて日本に帰るかどうかを決めるまでのたった一日を描いている。作中での時間経過こそ一日足らずであるものの、語られる時間は彼女がアメリカに着てからの20年ほぼ全て。漫然とした印象であるが、実際漫然としてるのは作品ではなく主人公である美苗とその姉である奈苗の態度であり、「漫然」ということをこれ以上ない明確さで描き出している。焦燥も不安も、言葉を一枚隔てたぼんやりとしたものでしかない姉妹の、索漠とした孤独と屈辱。「左から右」と横書きでなければならなかったのは、作中での会話が横書きの言語で行われているからではなく、美苗が日本語を使う人間としてアメリカに暮らす20年のうち、いつも意識するとも無しに感じていた「境界」とその曖昧さ、明確さ、をあらわすには縦書きであってはならなかった、ということだと思われる。文化だけでなく、人種だけでなく、言語ということによって隔てられた世界や、創造された世界については、誰かの感想を聞くよりも読んだほうがはやいと思うので割愛。
以下個人的に尽きる感想。
目が滑った。難しい内容になったり、一文が長くなったりすると途端に理解できなくなる。横書きの魔力恐るべし。というかやっぱり自分の脳は縦書きにフォーマットされてるんだなー。会話文と地の文の差が一見してわからない、英語はともかくフランス語は読めない、ページが隔たると時系列が混乱するなど、分量の割りに長いものを読んでいる気分になりました。字数換算するとそれほど長い作品ではない筈。著者略歴を見て余りの知識階級ぶりに尻尾を巻いて退散寸前、『続明暗』の著者であることを知りやたら驚いた。『明暗』の続編を、何処かの出版社だかが企画立てて募集してたのも、応募した女性の作品が出版されたのも知っていたけど水村美苗という名前とは一ミリも一致していなかったよ!リアルタイムで聞いてたはずなんだけどもなあ。
えーと、のが変換っていうんだったけかな?「教えるのが大変な」「教えるのの大変な」という互換の効く「の」と「が」の関係がたいそう気になりました。地の文で「〜のの」を連発されるといやんな気分になります。「ひたぶる」とか出てくる割にはなんだか日本語がうまく使えない人なんだろうか、と思わせるような文章がそこここに。「美苗」が20年間、古典文学と家族との会話以外で日本語に触れていないということを前提にわざとやったのだとしたら、芸が細かいっていうか細かすぎて凄い。
「大教授」素敵!「大教授」素敵!(二回言う)。美苗が出会った教師陣は素敵な人が多いですね。あと、「chopstick」が恥ずかしいとか、宮殿のごとき図書館には馴染めないとか、「わかるわかる!」と手を打ってしまうようなことがたびたびありました。
次は『本格小説』だー!関連があるらしいので非常に楽しみです。
水村美苗、新潮社。
素晴らしく敷居の高い本。余りに読み手を限定するので信じられず一瞬ぽかーんとなったり。いやだって、本文中の英語が理解できないと、話が理解できないって凄いでしょう。てっきり英語部分は飛ばしても大丈夫なんだと思ったわよ。念のため調べてみれば「英語がわからないと読めません。英語以外の言葉も出てきます」だもん。仏語なんてわかりません。辞書片手に呼んだ自分は偉いと思いながらも、同時に、勉強しながら読んでる自分偉いという気分に浸らせてくれた本も久しぶりだなと思った。学術書以来だ。
私小説。人生を定められずにアメリカで大学院生をしながら日々を過ごす美苗が、先延ばしにしていた口答試験を受けて日本に帰るかどうかを決めるまでのたった一日を描いている。作中での時間経過こそ一日足らずであるものの、語られる時間は彼女がアメリカに着てからの20年ほぼ全て。漫然とした印象であるが、実際漫然としてるのは作品ではなく主人公である美苗とその姉である奈苗の態度であり、「漫然」ということをこれ以上ない明確さで描き出している。焦燥も不安も、言葉を一枚隔てたぼんやりとしたものでしかない姉妹の、索漠とした孤独と屈辱。「左から右」と横書きでなければならなかったのは、作中での会話が横書きの言語で行われているからではなく、美苗が日本語を使う人間としてアメリカに暮らす20年のうち、いつも意識するとも無しに感じていた「境界」とその曖昧さ、明確さ、をあらわすには縦書きであってはならなかった、ということだと思われる。文化だけでなく、人種だけでなく、言語ということによって隔てられた世界や、創造された世界については、誰かの感想を聞くよりも読んだほうがはやいと思うので割愛。
以下個人的に尽きる感想。
目が滑った。難しい内容になったり、一文が長くなったりすると途端に理解できなくなる。横書きの魔力恐るべし。というかやっぱり自分の脳は縦書きにフォーマットされてるんだなー。会話文と地の文の差が一見してわからない、英語はともかくフランス語は読めない、ページが隔たると時系列が混乱するなど、分量の割りに長いものを読んでいる気分になりました。字数換算するとそれほど長い作品ではない筈。著者略歴を見て余りの知識階級ぶりに尻尾を巻いて退散寸前、『続明暗』の著者であることを知りやたら驚いた。『明暗』の続編を、何処かの出版社だかが企画立てて募集してたのも、応募した女性の作品が出版されたのも知っていたけど水村美苗という名前とは一ミリも一致していなかったよ!リアルタイムで聞いてたはずなんだけどもなあ。
えーと、のが変換っていうんだったけかな?「教えるのが大変な」「教えるのの大変な」という互換の効く「の」と「が」の関係がたいそう気になりました。地の文で「〜のの」を連発されるといやんな気分になります。「ひたぶる」とか出てくる割にはなんだか日本語がうまく使えない人なんだろうか、と思わせるような文章がそこここに。「美苗」が20年間、古典文学と家族との会話以外で日本語に触れていないということを前提にわざとやったのだとしたら、芸が細かいっていうか細かすぎて凄い。
「大教授」素敵!「大教授」素敵!(二回言う)。美苗が出会った教師陣は素敵な人が多いですね。あと、「chopstick」が恥ずかしいとか、宮殿のごとき図書館には馴染めないとか、「わかるわかる!」と手を打ってしまうようなことがたびたびありました。
次は『本格小説』だー!関連があるらしいので非常に楽しみです。
ちょっとちょっと、ありえないわよ。
2004年11月16日 未分類折角『薔薇の名前』をハードカバー上下巻で購入し、うきうきしていたのに、
「ねえ、これみじんこちゃんが書いた文章だよね?(見たことも無いURL)」
というありえないお問い合わせが友人からきました。
確認してみたらこれが見事な無断転載&パッチワーク。なんだ、誰だ、何が目的だ、これは晒し上げなのかー?!と七転八倒する羽目になりました。なんちゅーかもう、よりによってあんな恥ずかしい文章転載しないで下さい。号泣。失意前屈体。
家主は満面の笑顔で「良かったなー、お前の文章物凄くその人から愛されてるぞ」とか言うし。じゃあお前が転載されてみろ、どんだけ恥ずかしいか解るから!と詰め寄ったら納得してくれました。
これが凄く力を入れた文章の作者偽証&盗用なら、普通に腹立ててそれなりの対応をして終わりなんだろうけどさ……。昔の文章だけに「ああ、そんなもの見ないでそこの一般閲覧者さんー!!」って感じ。しかも自分のサイトではないのでどんなに恥ずかしくてもおろすことが出来ない罠。
やっぱりこれは計画的な羞恥プレイですか。
ありえないとわかっていてもそんな考えが頭をよぎる。
おちおち読書もできやしねえ……。
「ねえ、これみじんこちゃんが書いた文章だよね?(見たことも無いURL)」
というありえないお問い合わせが友人からきました。
確認してみたらこれが見事な無断転載&パッチワーク。なんだ、誰だ、何が目的だ、これは晒し上げなのかー?!と七転八倒する羽目になりました。なんちゅーかもう、よりによってあんな恥ずかしい文章転載しないで下さい。号泣。失意前屈体。
家主は満面の笑顔で「良かったなー、お前の文章物凄くその人から愛されてるぞ」とか言うし。じゃあお前が転載されてみろ、どんだけ恥ずかしいか解るから!と詰め寄ったら納得してくれました。
これが凄く力を入れた文章の作者偽証&盗用なら、普通に腹立ててそれなりの対応をして終わりなんだろうけどさ……。昔の文章だけに「ああ、そんなもの見ないでそこの一般閲覧者さんー!!」って感じ。しかも自分のサイトではないのでどんなに恥ずかしくてもおろすことが出来ない罠。
やっぱりこれは計画的な羞恥プレイですか。
ありえないとわかっていてもそんな考えが頭をよぎる。
おちおち読書もできやしねえ……。
長野まゆみ、文芸春秋。
ちょっぴりSF入った学校生活を送る少年がサマーキャンプに行く話かと思ったら全く違ってた。帯でもついていれば、どんな内容なのか方向性はともかく、具体的なところは逃さずにすむんだけれど。でも帯ってときどきとんでもないネタばらしをしていたりするので油断ならない罠。
話の筋はとくに難しいというわけでもないので、さらりと流せなかった/考え込んでしまった点だけ。
ついに家系図だけでは済まないところまで踏み込んだのですね……。身体の性表現と、生殖機能の性と、性自認が全部ばらばらであるひとたちの、かなりややこしい情愛・絆のありように考え込まされた。
主人公・温が財布を盗られ→自転車持って行かれ→犬が大変→医者にろくでもない目に合わされ→ひわ子さんに罵られ→姉に罵られ、の辺りの泥沼ぶりには泣きました。ここが居場所だと信じていたのに、どうして理不尽に責められて捨てられなければならないのか、ひとつも理由がわからない。アレルギー体質のせいで母に触れることが出来ず、父からは親子という間柄から得られる筈の情愛はなく、毛布と腕時計が生み出す擬似的なパルスだけを頼りに、部屋の片隅で膝を抱える少年にはちと厳しすぎる扱いではないか。
獣医の辰は「少しからかっただけだ」と平然と言い抜けるし、姉は将来アンタがどんな目にあうか知ってるんだから今のうちに得意になっておきなさいと敵意の塊をぶつけてくれるし、なんだなんだ、温はそこまでされなきゃならないほどのことなんて何もしてないぞー、
と思ったら。
最後まで読んで、実は温のアレルギーによる不思議体質が発覚したところで大逆転。慌てて読み返す二回目。
ルビが大変に切ない。兄に認識してもらえない幼少期を過ごし、実際はどちらでもないのに男であれと強制され、頭ではそれが正しいのだとわかっているけれど、矢張り女の子でいたかった。でも、女の子だと温に気付いてもらえない。健気だ。たいそう健気だ。初回は間違いなく温視点で読んでしまうので、ルビが意識障害をもっていそうな扱い切れない子ども、に見えてしまうけれど、実際温の体質を理解してから読むと、ルビがどれだけ勇気を振り絞って温のところにやってきたか伝わってきて切ないですよ。
辰は駄目な大人であることがよくわかりました。初回も駄目な男だなー、と思って読んでいたけど、真相発覚後、もう一度自殺したがるくだりを見ると、何してんですか主治医、事情がわかってるのに拗ねるなよ。と微妙に生ぬるい笑みが……。ラストは余りの駄目な男ぶりに、逆に愛着がわきました。駄目な男は割と好きだ。
ひわ子さんがとても素敵で男前でカッコいい大人の女性でしかも色っぽいなー、とときめき数値はねあげつつ読んでました。実際、前述の泥沼のときの温に対する態度は、全く正当だったし。知っていると思えばあれくらいは言う。あの温に我慢できるって物凄い忍耐力。ただ、不幸なことに温は何も知らない状態になっていたので、お互いに理不尽な行き違いが起こったと。あの辺りの行き違いを見ると感動します。作者は全てを把握しているのに、何も知らない温側の視点を齟齬なくフォローなく書ききっている。改めて温が知らないということを知ってから読むと、知らない立場の温の反応も、温が知っていると思っているひわ子さんの反応も、全くそれぞれ独立していて、両方知っている人間(つまり作者)が書いたとはとても思えないー。これぞ職人芸。知っていることを知らないこととして書くのはなんと難しいことか。
ひわ子さんは、もう少し自分に向けられた視線の意味を好意的に解釈してもいいんじゃないかなあ。温はひわ子さんを母親・姉と比べてるけど、その結果としてひわ子さんに好意を抱いてるわけだし(というかひわ子さんに好意を抱いているので、つい、近親にもかかわらず好意を抱けない母姉を比べてしまっているように見える)。でも結局、自意識過剰な姉と同じように、鏡島の直系であることを気にしてるんだなあ。
ひわ子さん、ルビがすげー好き。景と辰は好きになれない。意外と母がいい味出していて面白い。
主人公は、巻き込まれ型と思いきや、これ以上ない巻き込み振り回し型でびっくりした。いつも巻き込まれ型主人公が押されっぱなしで進行する話ばっかりだった気がするので。優秀で横暴な少年が主人公万歳。
そういえば温はなにゆえサマーキャンプなどに出かけたんだろう。ルビが認識できるようになったのがきっかけ?それともルビが混濁しているところに引きずられたのかなー。
ちょっぴりSF入った学校生活を送る少年がサマーキャンプに行く話かと思ったら全く違ってた。帯でもついていれば、どんな内容なのか方向性はともかく、具体的なところは逃さずにすむんだけれど。でも帯ってときどきとんでもないネタばらしをしていたりするので油断ならない罠。
話の筋はとくに難しいというわけでもないので、さらりと流せなかった/考え込んでしまった点だけ。
ついに家系図だけでは済まないところまで踏み込んだのですね……。身体の性表現と、生殖機能の性と、性自認が全部ばらばらであるひとたちの、かなりややこしい情愛・絆のありように考え込まされた。
主人公・温が財布を盗られ→自転車持って行かれ→犬が大変→医者にろくでもない目に合わされ→ひわ子さんに罵られ→姉に罵られ、の辺りの泥沼ぶりには泣きました。ここが居場所だと信じていたのに、どうして理不尽に責められて捨てられなければならないのか、ひとつも理由がわからない。アレルギー体質のせいで母に触れることが出来ず、父からは親子という間柄から得られる筈の情愛はなく、毛布と腕時計が生み出す擬似的なパルスだけを頼りに、部屋の片隅で膝を抱える少年にはちと厳しすぎる扱いではないか。
獣医の辰は「少しからかっただけだ」と平然と言い抜けるし、姉は将来アンタがどんな目にあうか知ってるんだから今のうちに得意になっておきなさいと敵意の塊をぶつけてくれるし、なんだなんだ、温はそこまでされなきゃならないほどのことなんて何もしてないぞー、
と思ったら。
最後まで読んで、実は温のアレルギーによる不思議体質が発覚したところで大逆転。慌てて読み返す二回目。
ルビが大変に切ない。兄に認識してもらえない幼少期を過ごし、実際はどちらでもないのに男であれと強制され、頭ではそれが正しいのだとわかっているけれど、矢張り女の子でいたかった。でも、女の子だと温に気付いてもらえない。健気だ。たいそう健気だ。初回は間違いなく温視点で読んでしまうので、ルビが意識障害をもっていそうな扱い切れない子ども、に見えてしまうけれど、実際温の体質を理解してから読むと、ルビがどれだけ勇気を振り絞って温のところにやってきたか伝わってきて切ないですよ。
辰は駄目な大人であることがよくわかりました。初回も駄目な男だなー、と思って読んでいたけど、真相発覚後、もう一度自殺したがるくだりを見ると、何してんですか主治医、事情がわかってるのに拗ねるなよ。と微妙に生ぬるい笑みが……。ラストは余りの駄目な男ぶりに、逆に愛着がわきました。駄目な男は割と好きだ。
ひわ子さんがとても素敵で男前でカッコいい大人の女性でしかも色っぽいなー、とときめき数値はねあげつつ読んでました。実際、前述の泥沼のときの温に対する態度は、全く正当だったし。知っていると思えばあれくらいは言う。あの温に我慢できるって物凄い忍耐力。ただ、不幸なことに温は何も知らない状態になっていたので、お互いに理不尽な行き違いが起こったと。あの辺りの行き違いを見ると感動します。作者は全てを把握しているのに、何も知らない温側の視点を齟齬なくフォローなく書ききっている。改めて温が知らないということを知ってから読むと、知らない立場の温の反応も、温が知っていると思っているひわ子さんの反応も、全くそれぞれ独立していて、両方知っている人間(つまり作者)が書いたとはとても思えないー。これぞ職人芸。知っていることを知らないこととして書くのはなんと難しいことか。
ひわ子さんは、もう少し自分に向けられた視線の意味を好意的に解釈してもいいんじゃないかなあ。温はひわ子さんを母親・姉と比べてるけど、その結果としてひわ子さんに好意を抱いてるわけだし(というかひわ子さんに好意を抱いているので、つい、近親にもかかわらず好意を抱けない母姉を比べてしまっているように見える)。でも結局、自意識過剰な姉と同じように、鏡島の直系であることを気にしてるんだなあ。
ひわ子さん、ルビがすげー好き。景と辰は好きになれない。意外と母がいい味出していて面白い。
主人公は、巻き込まれ型と思いきや、これ以上ない巻き込み振り回し型でびっくりした。いつも巻き込まれ型主人公が押されっぱなしで進行する話ばっかりだった気がするので。優秀で横暴な少年が主人公万歳。
そういえば温はなにゆえサマーキャンプなどに出かけたんだろう。ルビが認識できるようになったのがきっかけ?それともルビが混濁しているところに引きずられたのかなー。
『楽園の知恵 あるいはヒステリーの歴史』
2004年11月13日 未分類牧野修、早川書房。ハヤカワSFシリーズJコレクション(時に尋ねたいのだがこの「J」の意味するところは何ぞや)。
妄想幻想恐怖戦慄神秘奇蹟の悪夢を13編収録した短編集。
すげえ。
食事の前後にはとても読めたものではないので、厚さの割りには時間がかかりました。
「いかにして夢を見るか」
私が夢を見ないのは。
ブラックで正統だと思うので「世にも奇妙な物語」。
「夜明け、彼は妄想より来る」
みんな船に乗っている。行き先を知らないまま揺られている進んでいる乗っている。そして電波(物凄い褒めてます)。合間合間に語られる、乗客の脅迫染みた妄想と不条理が、むやみにリアルで一部の隙もない圧倒的な勢い。人の話を聞け、と思わないでもないけど、言ったって無駄無駄ァ!世界の中心が自分で妄想を垂れ流しても存在の曖昧さが不安の大本なので如何ともしがたい。弟のひとさし指と虫の船医が苦手どころをクリーンヒット直撃してくださって泣きそうです。うう、猟奇は平気なはずなのに、ピンポイントに地雷が。
「召されし街」
少年が街を出たのが街が滅んだ理由。『傀儡后』を読んでいると細部でにやりとできる。しかし巻き込み型というか、人の話を聞かないタイプを書かせるとちょっと右に出る人がいない勢いですね。こういう巻き込み型に誰か一撃鉄槌を高度よし角度よし死ねる威力で振り下ろしてくれたら凄く気分が爽快になるような気がするんですが、それを許したら自分の頭に鉄槌が落ちてきそうなので黙っている。
「インキュバス言語」
笑い死ぬかと思いました。ありえない、ありえなさすぎる。壮大なスケールでエロ用語を使用するとこんなことになるのか!つーかホントありえない。本を持ったまま笑い伏してしまった。電車がホームに入る様をエロ描写するなんて発想、どこをどうやったらでてくるのか。世界をエロ言語で描写しようという着想の奇抜さが冴え渡る。
でもみんなマゾなんですね。ちょっとつまらない。
「ドギィダディ」
やばい、常日頃から例のあれのことを「矢部(仮)」などと呼んでいたさりげない偏執が暴かれてしまった?!(自分から喋る場合は暴露であって暴かれるとは言わない)。やばいやばい、最初から最後まで素晴らしい濃度の電波。でも時々さりげなく猟奇でギャー。
誰かとうさんの台詞を訳しては下さらんか。
「バロック あるいはシアワセの国」
「時の王国」グッジョブ。バロックと聞いただけで、宜しくないゆがんだものという連想が働く当方大喜び。でも寄生虫は勘弁してください。
「中華風の屍体」
脚専用娼婦、という発想の爛れっぷりにまずときめき撃沈。妄想する弟の紡ぐ兄に関する妄想がツボ。奇抜な視点も正統な幻想もありというんだから芸風広いぜ作者。
「踊るバビロン」
マゾばっか。出てくる変態の殆どがマゾじゃないか!あと、巻き込み型が出てくるだけで腹が立つのに、巻き込まれ型がおとなしく巻き込まれているのを見ると、腹立ちも二倍どころか寧ろ二乗。で、自分の腹立ち振りを客観視して、作者の見事なストーリー展開の腕に唸る。腹が立つということは、それだけ身を入れて読んでいるということだと解釈しているので。どうでもいい稚拙な話では腹なんて立たないのです。
リビンガーに大笑い。今度から引きこもりの名称を「リビンガー」と改めてもいいかなー。
で、この辺りで、お笑いから始まっても、お笑い落ちやハッピーエンド系の話がないということに気付く。気付いて凹む。
多数の国家、多数の宗教、多数の神秘にまたがる知識の幅広さに愕然として「何処までネタなのかわからない……!」と途方に暮れたのもここ。
「演歌の黙示録」
……まず絶句し、しばらく沈黙し、語彙の中から適当な単語を見つけられずに口を閉ざしたまま考え込む。解決方法として笑う。
なんですか、演歌で神秘主義でクトゥルフですか。ありえねえー、そのありえなさがそのまま笑いに変換されてます。
で、一生懸命元ネタを探して、これはあれだと明確に言い切れるのが3割くらい。つまり残りの7割は、元ネタがきちんと存在するお遊びなのか、作者の完全な創作によるネタなのか判別不可能であるということで、……口がふさがらなくなりました。多岐にわたりすぎ。作者凄すぎ。演歌でクトゥルフの親戚召喚日本沈没。ふんぐるいえむぐるうなふー・る・りえー。
ら・ら・かみさま。
「或る芸人の記録」
饒舌に大法螺吹くには尋常でない知識量の裏打ちが必要なんだなー。ぽかーんと口あけたまま読んで、
無理だ!
と思いました。
「憑依奇譚」
押しかけ女房タイプが苦手な理由をようやく言葉にすることが出来そうです。ストーカー的な巻き込み型の嫌な点も、それに嫌悪を示す人間の嫌な点も描いてしまうところに感嘆。両者の視点も、一者の両面も説得力溢れる。
いやほんと、自意識過剰であるという最近の人間心理の特徴的な部分を明確に見せてくれます。
「逃げゆく物語の話」
逃げる物語。言葉を狩るように物語を狩る人間。分解するとテキストとして再構築される言語人形の設定がたまらない。一回使用したらそれっきり。究極の使い捨て、或いはコレクターズアイテム。僕と彼女の逃走が泣ける。たいそう泣ける。分解された言語人形から立ち上がるテキストの設定と、その効果が絶品。やられた。
「付記・ロマンス法について」
痛っ痛っ痛い!ひぃいい。
12編、全部読んだ後なら言える、こんな話を書く作者がもし取り締まられたなら言い訳のしようがないと。
そしてこれが最高の賛辞だと思ってます。
妄想幻想恐怖戦慄神秘奇蹟の悪夢を13編収録した短編集。
すげえ。
食事の前後にはとても読めたものではないので、厚さの割りには時間がかかりました。
「いかにして夢を見るか」
私が夢を見ないのは。
ブラックで正統だと思うので「世にも奇妙な物語」。
「夜明け、彼は妄想より来る」
みんな船に乗っている。行き先を知らないまま揺られている進んでいる乗っている。そして電波(物凄い褒めてます)。合間合間に語られる、乗客の脅迫染みた妄想と不条理が、むやみにリアルで一部の隙もない圧倒的な勢い。人の話を聞け、と思わないでもないけど、言ったって無駄無駄ァ!世界の中心が自分で妄想を垂れ流しても存在の曖昧さが不安の大本なので如何ともしがたい。弟のひとさし指と虫の船医が苦手どころをクリーンヒット直撃してくださって泣きそうです。うう、猟奇は平気なはずなのに、ピンポイントに地雷が。
「召されし街」
少年が街を出たのが街が滅んだ理由。『傀儡后』を読んでいると細部でにやりとできる。しかし巻き込み型というか、人の話を聞かないタイプを書かせるとちょっと右に出る人がいない勢いですね。こういう巻き込み型に誰か一撃鉄槌を高度よし角度よし死ねる威力で振り下ろしてくれたら凄く気分が爽快になるような気がするんですが、それを許したら自分の頭に鉄槌が落ちてきそうなので黙っている。
「インキュバス言語」
笑い死ぬかと思いました。ありえない、ありえなさすぎる。壮大なスケールでエロ用語を使用するとこんなことになるのか!つーかホントありえない。本を持ったまま笑い伏してしまった。電車がホームに入る様をエロ描写するなんて発想、どこをどうやったらでてくるのか。世界をエロ言語で描写しようという着想の奇抜さが冴え渡る。
でもみんなマゾなんですね。ちょっとつまらない。
「ドギィダディ」
やばい、常日頃から例のあれのことを「矢部(仮)」などと呼んでいたさりげない偏執が暴かれてしまった?!(自分から喋る場合は暴露であって暴かれるとは言わない)。やばいやばい、最初から最後まで素晴らしい濃度の電波。でも時々さりげなく猟奇でギャー。
誰かとうさんの台詞を訳しては下さらんか。
「バロック あるいはシアワセの国」
「時の王国」グッジョブ。バロックと聞いただけで、宜しくないゆがんだものという連想が働く当方大喜び。でも寄生虫は勘弁してください。
「中華風の屍体」
脚専用娼婦、という発想の爛れっぷりにまずときめき撃沈。妄想する弟の紡ぐ兄に関する妄想がツボ。奇抜な視点も正統な幻想もありというんだから芸風広いぜ作者。
「踊るバビロン」
マゾばっか。出てくる変態の殆どがマゾじゃないか!あと、巻き込み型が出てくるだけで腹が立つのに、巻き込まれ型がおとなしく巻き込まれているのを見ると、腹立ちも二倍どころか寧ろ二乗。で、自分の腹立ち振りを客観視して、作者の見事なストーリー展開の腕に唸る。腹が立つということは、それだけ身を入れて読んでいるということだと解釈しているので。どうでもいい稚拙な話では腹なんて立たないのです。
リビンガーに大笑い。今度から引きこもりの名称を「リビンガー」と改めてもいいかなー。
で、この辺りで、お笑いから始まっても、お笑い落ちやハッピーエンド系の話がないということに気付く。気付いて凹む。
多数の国家、多数の宗教、多数の神秘にまたがる知識の幅広さに愕然として「何処までネタなのかわからない……!」と途方に暮れたのもここ。
「演歌の黙示録」
……まず絶句し、しばらく沈黙し、語彙の中から適当な単語を見つけられずに口を閉ざしたまま考え込む。解決方法として笑う。
なんですか、演歌で神秘主義でクトゥルフですか。ありえねえー、そのありえなさがそのまま笑いに変換されてます。
で、一生懸命元ネタを探して、これはあれだと明確に言い切れるのが3割くらい。つまり残りの7割は、元ネタがきちんと存在するお遊びなのか、作者の完全な創作によるネタなのか判別不可能であるということで、……口がふさがらなくなりました。多岐にわたりすぎ。作者凄すぎ。演歌でクトゥルフの親戚召喚日本沈没。ふんぐるいえむぐるうなふー・る・りえー。
ら・ら・かみさま。
「或る芸人の記録」
饒舌に大法螺吹くには尋常でない知識量の裏打ちが必要なんだなー。ぽかーんと口あけたまま読んで、
無理だ!
と思いました。
「憑依奇譚」
押しかけ女房タイプが苦手な理由をようやく言葉にすることが出来そうです。ストーカー的な巻き込み型の嫌な点も、それに嫌悪を示す人間の嫌な点も描いてしまうところに感嘆。両者の視点も、一者の両面も説得力溢れる。
いやほんと、自意識過剰であるという最近の人間心理の特徴的な部分を明確に見せてくれます。
「逃げゆく物語の話」
逃げる物語。言葉を狩るように物語を狩る人間。分解するとテキストとして再構築される言語人形の設定がたまらない。一回使用したらそれっきり。究極の使い捨て、或いはコレクターズアイテム。僕と彼女の逃走が泣ける。たいそう泣ける。分解された言語人形から立ち上がるテキストの設定と、その効果が絶品。やられた。
「付記・ロマンス法について」
痛っ痛っ痛い!ひぃいい。
12編、全部読んだ後なら言える、こんな話を書く作者がもし取り締まられたなら言い訳のしようがないと。
そしてこれが最高の賛辞だと思ってます。
「GOD SAVE THE QUEEN」というサブタイトルが美しい、森博嗣、幻冬舎。
森博嗣読むのは久しぶりだー。このひとは「新本格」に入るのだったかしら。そこら辺の分類ってよくわかりません。でも今回は伏線が残らずきちんと回収されていて、気分良く本を閉じることが出来ました。頭悪いから明言されていないと理解できないままの事がよくあるのです。
以下だらだらと感想。
ハードカバーの時はいつも装丁が美しいですね。この独特の雰囲気がいい。一人称が「僕」で機械のパートナーと旅するミチルを見て、なんとなく『キノの旅』を連想。物語に徹底的に噛んでいるところは全く似ても似つかないんだけれども、どこかずれたところが彷彿とするのかもしれない。「語り口」だけ見ると長野まゆみみたいだとか、好き勝手最近読んだ本を思い出してました。「カーボン・ファイバの耐久性なんて、高が知れている」の辺りとか、時々えらい近似値を描くのでびっくりしました。
相変わらず芸が細かいというか言葉に対して斜めな拘り方をする、と思ったのが「50」と「15」の聞き間違い。日本語だったら絶対「15」と「50」を間違えたりしないので、ああなるほど、英語だなあと感心することしきり。言葉に対する機械的というか、システム的な、曖昧さを許さない独特な感性がちょこちょこ顔を出しているのがたまらない。行間を読めとか言われたら、本当に文字列と文字列の間の空白を読みそうなところがいい。具体的な数字が出てくるのに具体的な描写がなにもなく地に足のついていない感じも妙に懐かしく。謎の副タイトも読めば納得の美しさ。タイトルを見てどんな話なのか全く想像できなかったのに、読めば確かに「女王」で「百年密室」で「神は女王を救う」つー。うーん、ジャストでナイスで流石なり。
百年間誰にも知られず、部外者の立ち入りなく存続してきた国に、偶然迷い込んだ主人公が、たまたま起こっちゃった殺人事件の犯人を見逃せずに、ひとり犯人探しをはじめます。設定がファンタジーなのに、理屈は一から十まで厳密に論理的ですな。ジャイロコンパスのついた銃があれやらこれやら云々云々。
ミチルと僕と彼女の関係が二回騙されて最後に「そうか、それ以外ないな」という見事な回転。エピローグは本気で驚いた。ええええ?!って感じで。まさか当たるとは。そして××××とは。そして××××さらに××××で××××とくるかー。うわ、伏字ばっかりになった。
面白かった。買うならハードカバーで買うべきだ。漫画版も見てみたい。
ところでサラはなにゆえにラストでああいう行動に出たんですかね?確か誰がどうしてああしてそうなったのかは公表してないと思ったんだけど。
森博嗣読むのは久しぶりだー。このひとは「新本格」に入るのだったかしら。そこら辺の分類ってよくわかりません。でも今回は伏線が残らずきちんと回収されていて、気分良く本を閉じることが出来ました。頭悪いから明言されていないと理解できないままの事がよくあるのです。
以下だらだらと感想。
ハードカバーの時はいつも装丁が美しいですね。この独特の雰囲気がいい。一人称が「僕」で機械のパートナーと旅するミチルを見て、なんとなく『キノの旅』を連想。物語に徹底的に噛んでいるところは全く似ても似つかないんだけれども、どこかずれたところが彷彿とするのかもしれない。「語り口」だけ見ると長野まゆみみたいだとか、好き勝手最近読んだ本を思い出してました。「カーボン・ファイバの耐久性なんて、高が知れている」の辺りとか、時々えらい近似値を描くのでびっくりしました。
相変わらず芸が細かいというか言葉に対して斜めな拘り方をする、と思ったのが「50」と「15」の聞き間違い。日本語だったら絶対「15」と「50」を間違えたりしないので、ああなるほど、英語だなあと感心することしきり。言葉に対する機械的というか、システム的な、曖昧さを許さない独特な感性がちょこちょこ顔を出しているのがたまらない。行間を読めとか言われたら、本当に文字列と文字列の間の空白を読みそうなところがいい。具体的な数字が出てくるのに具体的な描写がなにもなく地に足のついていない感じも妙に懐かしく。謎の副タイトも読めば納得の美しさ。タイトルを見てどんな話なのか全く想像できなかったのに、読めば確かに「女王」で「百年密室」で「神は女王を救う」つー。うーん、ジャストでナイスで流石なり。
百年間誰にも知られず、部外者の立ち入りなく存続してきた国に、偶然迷い込んだ主人公が、たまたま起こっちゃった殺人事件の犯人を見逃せずに、ひとり犯人探しをはじめます。設定がファンタジーなのに、理屈は一から十まで厳密に論理的ですな。ジャイロコンパスのついた銃があれやらこれやら云々云々。
ミチルと僕と彼女の関係が二回騙されて最後に「そうか、それ以外ないな」という見事な回転。エピローグは本気で驚いた。ええええ?!って感じで。まさか当たるとは。そして××××とは。そして××××さらに××××で××××とくるかー。うわ、伏字ばっかりになった。
面白かった。買うならハードカバーで買うべきだ。漫画版も見てみたい。
ところでサラはなにゆえにラストでああいう行動に出たんですかね?確か誰がどうしてああしてそうなったのかは公表してないと思ったんだけど。
そうすれば百年密室の続編も読めたのに。8冊借りて足りないと思ったのは初めてだ。
つーわけで本日の借り出しブツ。
『私小説』『本格小説(上下)』『三日月少年の秘密』『サマーキャンプ』『新世界1st』『女王の百年密室』『楽園の知恵』
長野まゆみ、牧野修、水村美苗、森博嗣。
マ行をうろうろしてたのが発バレですね!
つーわけで本日の借り出しブツ。
『私小説』『本格小説(上下)』『三日月少年の秘密』『サマーキャンプ』『新世界1st』『女王の百年密室』『楽園の知恵』
長野まゆみ、牧野修、水村美苗、森博嗣。
マ行をうろうろしてたのが発バレですね!
長野まゆみ、マガジンハウス。
珍しく語り手が女性の一人称視点。語り手として登場する人物イコール主人公、という鉄板なお約束でもあれば安心できるんだけど……それじゃつまらないか。
物語の中心になるのは、遠足に行ったきり姿を消した弟の真哉、隣家の比和君、ふとしたきっかけで知り合うことになる弟と同じ年頃の和。
男ばっかり。
語り手の「わたし」が大学をおととし卒業して、老舗の百貨店で紳士用品の売り場に勤めている、という時点で、おや珍しいと期待したけれども。
相変わらずでした。
なんか安心(笑)。
周子さんと和かなー、とやや期待しつつも、途中で「これで比和君と和でも驚かないぞー」と身構えていたら、それを上回ってくれました。うん、いや、どうだろう。向坂さんは嫌な人だと思ったのに、単なる情けない人でした。
すみれさんが何故ああも繰り返し登場するのか、比和君と真哉と和の登場する関係性がわからなくて最後に手を打った。
それにしてもスーツやコートの似合う男は姿がいいっての全くだ。好みかどうかはさておく。
珍しく語り手が女性の一人称視点。語り手として登場する人物イコール主人公、という鉄板なお約束でもあれば安心できるんだけど……それじゃつまらないか。
物語の中心になるのは、遠足に行ったきり姿を消した弟の真哉、隣家の比和君、ふとしたきっかけで知り合うことになる弟と同じ年頃の和。
男ばっかり。
語り手の「わたし」が大学をおととし卒業して、老舗の百貨店で紳士用品の売り場に勤めている、という時点で、おや珍しいと期待したけれども。
相変わらずでした。
なんか安心(笑)。
周子さんと和かなー、とやや期待しつつも、途中で「これで比和君と和でも驚かないぞー」と身構えていたら、それを上回ってくれました。うん、いや、どうだろう。向坂さんは嫌な人だと思ったのに、単なる情けない人でした。
すみれさんが何故ああも繰り返し登場するのか、比和君と真哉と和の登場する関係性がわからなくて最後に手を打った。
それにしてもスーツやコートの似合う男は姿がいいっての全くだ。好みかどうかはさておく。
言いたいことは色々あるんだけれど、とりあえず「俺は向田邦子が読みたくて長野まゆみを読んでるんじゃなーい!」。ぐぎぎぎぎ。
子供の頃、ゲームするときのお約束として「三回パスしたら負け」というのが大変メジャーだったため、未だにその呪縛から逃れられない三つ子の魂百まで根性で意地で書く。
『コドノモクニ』長野まゆみ、河出書房新社。
「小鳥の時間」「子供だっていろいろある」「子どもは急に止まれない」の三篇を収録。「わたし」の視点から一人称で語られる子どもの頃の話。語り手が共通なので連作かな?多分著者の子どもの頃の話ではないかと。大阪で万博があった頃に小学校5年生だったという記述が出てくるので。
で、語り手である「わたし」がどうしても作者に見えて仕方ないのですが、これが物語である以上決してイコールで結ばれることはないわけで。そんなことはわかってる、わかっているけれども!
読むのに二日かかったわ。どうしてくれる。
多分、読者=みじんこが求めているところと、物語が与えてくれるところが全く違ったというだけで、作品自体の価値が云々される筋合いは全くないはず。ただ、「長野まゆみ」という作者を好んで読む手合い(極端な言い方をすれば、若いお嬢さん方)は、「一昔前の女の子が過ごしたリアルな少女時代」には興味がないと思うんだけどなあ。こういうものを読んで感慨にふけるには私はまだ若すぎたし、かといって作中に登場する「女の子が好むもの」に愛着は全く感じない……。むしろ「少年が愛好するもの」として登場する小物に惹かれて長野フリークやってるのになんだかなあ。とりあえず「少女時代」を、女の子が好むようなものに全く気をひかれずに素通りしてきた身には色々と辛う御座いました。刺繍は好きだけど、フリルは嫌いよ。ピンク色の下敷きも、苺柄の小物も持ったことがないわ。なんで「わたし」の気持ちはほとんどわからなかったり。
個人的に一番腹が立ったのは、「わたし」の自覚的な美意識。自分が全く自覚というものと縁なく無駄に時間を費やしたことを思って、こんな小学生がいてたまるかー!と、嫉妬ではらわたが煮えくり返るのですよ。きいぃぃー!ハンカチ噛み千切ってやる。←たいそう妬ましい。
……もしあれが本当だったら、やはり作家という生き物は次元が違うのだなあと涙に暮れるしかない。
(ちゅーかなんですか、チェーホフ読む小学生とか、尾崎紅葉読む小学生とかって。マジですか)
子供の頃、ゲームするときのお約束として「三回パスしたら負け」というのが大変メジャーだったため、未だにその呪縛から逃れられない三つ子の魂百まで根性で意地で書く。
『コドノモクニ』長野まゆみ、河出書房新社。
「小鳥の時間」「子供だっていろいろある」「子どもは急に止まれない」の三篇を収録。「わたし」の視点から一人称で語られる子どもの頃の話。語り手が共通なので連作かな?多分著者の子どもの頃の話ではないかと。大阪で万博があった頃に小学校5年生だったという記述が出てくるので。
で、語り手である「わたし」がどうしても作者に見えて仕方ないのですが、これが物語である以上決してイコールで結ばれることはないわけで。そんなことはわかってる、わかっているけれども!
読むのに二日かかったわ。どうしてくれる。
多分、読者=みじんこが求めているところと、物語が与えてくれるところが全く違ったというだけで、作品自体の価値が云々される筋合いは全くないはず。ただ、「長野まゆみ」という作者を好んで読む手合い(極端な言い方をすれば、若いお嬢さん方)は、「一昔前の女の子が過ごしたリアルな少女時代」には興味がないと思うんだけどなあ。こういうものを読んで感慨にふけるには私はまだ若すぎたし、かといって作中に登場する「女の子が好むもの」に愛着は全く感じない……。むしろ「少年が愛好するもの」として登場する小物に惹かれて長野フリークやってるのになんだかなあ。とりあえず「少女時代」を、女の子が好むようなものに全く気をひかれずに素通りしてきた身には色々と辛う御座いました。刺繍は好きだけど、フリルは嫌いよ。ピンク色の下敷きも、苺柄の小物も持ったことがないわ。なんで「わたし」の気持ちはほとんどわからなかったり。
個人的に一番腹が立ったのは、「わたし」の自覚的な美意識。自分が全く自覚というものと縁なく無駄に時間を費やしたことを思って、こんな小学生がいてたまるかー!と、嫉妬ではらわたが煮えくり返るのですよ。きいぃぃー!ハンカチ噛み千切ってやる。←たいそう妬ましい。
……もしあれが本当だったら、やはり作家という生き物は次元が違うのだなあと涙に暮れるしかない。
(ちゅーかなんですか、チェーホフ読む小学生とか、尾崎紅葉読む小学生とかって。マジですか)
『ぼくはこうして大人になる』
2004年11月5日 未分類長野まゆみ、大和書房。
今回も……パス!
とかやったらたいそう大人気ないのだろうなあ、と思って真面目に書いてみる、挑戦。
てっきり主人公は七月の登場で居場所を失われるか、蹴落とされるかするのだろうと思っていたら、さにあらず。七月が絡んだ出来事のせいで、周囲が暴走、その結果として主人公どん底へ叩き落されるという意外な展開。七月が歓迎されると信じ込んでいたのでびっくりびっくり。今までにないパターン万歳。主人公・一がどんどん泥沼状態になっていく経緯がもどかしいを超えて厳しい。筋から細部まで上手いだけに余計に、抵抗する機会もなくどん底へ転がり落ちていく様が切ない。
で。
「悪癖」を持った主人公が、実は自分の価値なんて所詮中学生の枠組みの中のものでしかないと気付くまでの悪戦苦闘を描く、明快にタイトルどおりの成長で青春物語。……が。納得いかん。一が「悪癖」を持つのは彼が物語の中で唯一性を獲得するのに必要な要素だけれども、どうして最終的に和解する七月までそうでなければならんのか。なんか都合よい展開にしか見えないし。それなら健の「そういうのがあってもいい」のほうがよほど見事だ。令哉の「殴ってくれ」も潔し。
……とりあえず、最早少年ではない(架空の生き物として扱われない)兄や従兄がそういう性癖を持っていると、生っぽくていやん。そして彼らとかかわりを持つ一も、架空から現実に両足を突っ込んでいる状態なので、やっぱりなんかいやん。兄や従兄がいなければ、一は架空の生き物でいられたのになあ。
そういえば何処かで作者が「陶器のような少年はもう思う存分書いたから、次はなまものっぽい人間を書きたい」というようなことを言っていたのを思い出した。……そういうことなのだろうか。
大人なんて嫌いだ涙ッシュ。
今回も……パス!
とかやったらたいそう大人気ないのだろうなあ、と思って真面目に書いてみる、挑戦。
てっきり主人公は七月の登場で居場所を失われるか、蹴落とされるかするのだろうと思っていたら、さにあらず。七月が絡んだ出来事のせいで、周囲が暴走、その結果として主人公どん底へ叩き落されるという意外な展開。七月が歓迎されると信じ込んでいたのでびっくりびっくり。今までにないパターン万歳。主人公・一がどんどん泥沼状態になっていく経緯がもどかしいを超えて厳しい。筋から細部まで上手いだけに余計に、抵抗する機会もなくどん底へ転がり落ちていく様が切ない。
で。
「悪癖」を持った主人公が、実は自分の価値なんて所詮中学生の枠組みの中のものでしかないと気付くまでの悪戦苦闘を描く、明快にタイトルどおりの成長で青春物語。……が。納得いかん。一が「悪癖」を持つのは彼が物語の中で唯一性を獲得するのに必要な要素だけれども、どうして最終的に和解する七月までそうでなければならんのか。なんか都合よい展開にしか見えないし。それなら健の「そういうのがあってもいい」のほうがよほど見事だ。令哉の「殴ってくれ」も潔し。
……とりあえず、最早少年ではない(架空の生き物として扱われない)兄や従兄がそういう性癖を持っていると、生っぽくていやん。そして彼らとかかわりを持つ一も、架空から現実に両足を突っ込んでいる状態なので、やっぱりなんかいやん。兄や従兄がいなければ、一は架空の生き物でいられたのになあ。
そういえば何処かで作者が「陶器のような少年はもう思う存分書いたから、次はなまものっぽい人間を書きたい」というようなことを言っていたのを思い出した。……そういうことなのだろうか。
大人なんて嫌いだ涙ッシュ。
長野まゆみ、毎日新聞社。
ああああ。ファンタジーとしてなら誰が誰とどうなろうと構わないのですが、これは困る参る。生臭い気がするんですよ……。長野作品の少年は、物語に登場する猫が、現実にいる猫とは違うように現実にいる人間男のある一時期を指すものではなく、「少年」という生き物を書いているんだと思ってました。人類とは違う生き物がよくわからない精神的な交流をしようと気にはならないけれど、いい年こいた大人の男が意味深長にやりとりしてくれると大変に眩暈が。
なので。
今回は。
パス!
ああああ。ファンタジーとしてなら誰が誰とどうなろうと構わないのですが、これは困る参る。生臭い気がするんですよ……。長野作品の少年は、物語に登場する猫が、現実にいる猫とは違うように現実にいる人間男のある一時期を指すものではなく、「少年」という生き物を書いているんだと思ってました。人類とは違う生き物がよくわからない精神的な交流をしようと気にはならないけれど、いい年こいた大人の男が意味深長にやりとりしてくれると大変に眩暈が。
なので。
今回は。
パス!
『超少年』『上海少年』
2004年11月4日 未分類『超少年』河出書房新社。
副タイトルが(表紙を見ると日本語の方がサブタイトルみたいだ)「Super Petit-Prince」。やたら可愛らしいなあと思ったら、内容もやたら可愛らしかった。てっきり『新世界』みたいな内容だと思っていたのに。
相変わらずというか、お約束の超巻き込まれ型主人公が、「王子、こんなところで何やってんですか、ピエロ-αが迎えにきましたからとっとと帰りましょう」と、謎の一卵性三人ピエロ自称αに迫り倒される話。
間違ってないけど全然違う話になってしまったわ……。ワンスモア。
絶滅した植物種を苗床としての王子に植え付けて繁殖させるピエロ。ひたすら眠り続け自発的な意志のない王子。主人公スワンの暮らす時代とは違う未来からやってきた三人のピエロは、スワンを行方不明になっていた王子だと決め込んで「誰が次のαか選べ」と迫る。期限は十日間。てのひらから植物が芽を出すという事態に直面しながら、押しかけ同居人三名とのややこしい生活が始まる。
頑張って粗筋かいてみました。こっちの方がまだましかな?長野作品らしからぬ場面が随所に見られて面白い。スワンは常の如く巻き込まれる身ではあるけれども、「図抜けた少年を親友に持つ、やや内向的な巻き込まれ型」とは少し違う。優秀な兄に反発できないところは寧ろ『新学期』の主人公に似ていて、ファンタジーでは珍しい造作。アクロバティックな飛行が得意で減点の多いγが、三人のピエロの中で一番好感度の低い扱いを受けているのも面白い。物語自体も、今までとは少し違う方向性の結末を持っている(例えばαと王子、特派員が連れ帰らなかった理由など)。個人的に、『千年王子』に続いて、「優秀な兄」「少年の憧れとしての年上の男性」「物語の進行上必要な役柄」「舞台装置」のいずれでもない、ちゃんとそれ自体のキャラクターと役割をもって「男前」が登場しているのがやけに新鮮でした。いいじゃんカッコいい。男前素敵。黒髪の方が好きだけど。
微妙に突っ込みたい点としては、三人の見分けがつかないと文句を言うピエロが実は××××たこと。お前ら人のことをとやかく言う前に自分をなんとかしろと(笑)。これに気がついてしまうと感動的なαと王子の間柄すら「なんだかなー」と思ってしまう。βが自慢げに王子の組成を披露して「お前のことはなんでも知っている」というのに対して、中身を見ているんだと主張したげなαの立場もない。
王子をサルベージしたシーンが何故か一枚絵として頭の中に浮かぶので、てっきり挿絵があると思っていたら、そんなものは何処にもなくびっくりした。
『上海少年』
図書館では、ライトノベルみたいなものと一緒の棚に入れてありました。900番台の分類とは別にしてあったんだけども、これは……図書館側の想定しているコーナー利用者にはまずいと思うな。わからないだろうまず、内容が。わかる頃にはそういうコーナーを利用するのは気恥ずかしい。「雪鹿の子」とかさあ、あれ読みようによってはせっせと「特製の餌」をこしらえているようにも見えるわけですよ、ラスト。「幕間」はものの見事に近親相姦だし、しかも祖母の悪意がごっつい。救いがあるとは言い難い幕切れだしな……。
「上海少年」
ここまで読んで、女性陣の特徴に漸く思い至って満足。「わからない貴方が悪い」と主張する女性が作中では男の側が間抜けだということで全く責められないんですが、そういえば少年達は「それじゃあ伝わるもんか」と踏み出すことを常に望まれているのですよね。「雪鹿の子」は典型的にそんな感じ。大体、綺麗で賢くて潔くて思い切りが良くて意地が悪い、というのが長野作品に登場する女性なんですが。これもある種の「役割」でしかないのかな。女性という記号化が行われているようです。
「白昼堂々」
続きがあると知っていると、ちっとも終わっているように見えないから不思議。感想はパス。
……あれ、もしかして『上海少年』も読んだことがある……?「満点星」「幕間」「白昼堂々」がおぼろげながら記憶にあるようなないような……。またしても記憶が曖昧。
副タイトルが(表紙を見ると日本語の方がサブタイトルみたいだ)「Super Petit-Prince」。やたら可愛らしいなあと思ったら、内容もやたら可愛らしかった。てっきり『新世界』みたいな内容だと思っていたのに。
相変わらずというか、お約束の超巻き込まれ型主人公が、「王子、こんなところで何やってんですか、ピエロ-αが迎えにきましたからとっとと帰りましょう」と、謎の一卵性三人ピエロ自称αに迫り倒される話。
間違ってないけど全然違う話になってしまったわ……。ワンスモア。
絶滅した植物種を苗床としての王子に植え付けて繁殖させるピエロ。ひたすら眠り続け自発的な意志のない王子。主人公スワンの暮らす時代とは違う未来からやってきた三人のピエロは、スワンを行方不明になっていた王子だと決め込んで「誰が次のαか選べ」と迫る。期限は十日間。てのひらから植物が芽を出すという事態に直面しながら、押しかけ同居人三名とのややこしい生活が始まる。
頑張って粗筋かいてみました。こっちの方がまだましかな?長野作品らしからぬ場面が随所に見られて面白い。スワンは常の如く巻き込まれる身ではあるけれども、「図抜けた少年を親友に持つ、やや内向的な巻き込まれ型」とは少し違う。優秀な兄に反発できないところは寧ろ『新学期』の主人公に似ていて、ファンタジーでは珍しい造作。アクロバティックな飛行が得意で減点の多いγが、三人のピエロの中で一番好感度の低い扱いを受けているのも面白い。物語自体も、今までとは少し違う方向性の結末を持っている(例えばαと王子、特派員が連れ帰らなかった理由など)。個人的に、『千年王子』に続いて、「優秀な兄」「少年の憧れとしての年上の男性」「物語の進行上必要な役柄」「舞台装置」のいずれでもない、ちゃんとそれ自体のキャラクターと役割をもって「男前」が登場しているのがやけに新鮮でした。いいじゃんカッコいい。男前素敵。黒髪の方が好きだけど。
微妙に突っ込みたい点としては、三人の見分けがつかないと文句を言うピエロが実は××××たこと。お前ら人のことをとやかく言う前に自分をなんとかしろと(笑)。これに気がついてしまうと感動的なαと王子の間柄すら「なんだかなー」と思ってしまう。βが自慢げに王子の組成を披露して「お前のことはなんでも知っている」というのに対して、中身を見ているんだと主張したげなαの立場もない。
王子をサルベージしたシーンが何故か一枚絵として頭の中に浮かぶので、てっきり挿絵があると思っていたら、そんなものは何処にもなくびっくりした。
『上海少年』
図書館では、ライトノベルみたいなものと一緒の棚に入れてありました。900番台の分類とは別にしてあったんだけども、これは……図書館側の想定しているコーナー利用者にはまずいと思うな。わからないだろうまず、内容が。わかる頃にはそういうコーナーを利用するのは気恥ずかしい。「雪鹿の子」とかさあ、あれ読みようによってはせっせと「特製の餌」をこしらえているようにも見えるわけですよ、ラスト。「幕間」はものの見事に近親相姦だし、しかも祖母の悪意がごっつい。救いがあるとは言い難い幕切れだしな……。
「上海少年」
ここまで読んで、女性陣の特徴に漸く思い至って満足。「わからない貴方が悪い」と主張する女性が作中では男の側が間抜けだということで全く責められないんですが、そういえば少年達は「それじゃあ伝わるもんか」と踏み出すことを常に望まれているのですよね。「雪鹿の子」は典型的にそんな感じ。大体、綺麗で賢くて潔くて思い切りが良くて意地が悪い、というのが長野作品に登場する女性なんですが。これもある種の「役割」でしかないのかな。女性という記号化が行われているようです。
「白昼堂々」
続きがあると知っていると、ちっとも終わっているように見えないから不思議。感想はパス。
……あれ、もしかして『上海少年』も読んだことがある……?「満点星」「幕間」「白昼堂々」がおぼろげながら記憶にあるようなないような……。またしても記憶が曖昧。
『少年・卵』『新学期』
2004年11月3日 未分類『少年・卵』サンリオ。
谷山浩子の歌に登場する不思議な世界は、長野まゆみの小説に登場する不思議な世界とどこか共通した匂いを持っていると、常々思っていたのですが、多分これで同意を得るだけの説明はできるようになった……かも。
主人公の鳥子が、先輩の家に行って遭遇する変な出来事から、気がついたら追うものがスライドして、これ終わるのかしらん、と少ない残りページに眉根を寄せました。ところがスライドしていると思ったのは鳥子と読み手の私だけ。追うべきものはちゃんとその先にあり、彼女が考え違いをしていただけ――というところで終わらずに、何故にあの結末か。卵から出てきたのが少年かそれとも少女の分身かそれとも普通に卵の中身かによって、ストーリーが全く違うものに。「食べれば戻れる」という展開に「あ、ぽっぺん先生だ」とやたらほほえましいハッピーエンドを予想してしまったみじんこの負け。
しかし長野まゆみと似たような似ていないような。明確に似ていない点は、恐怖に関する描写。猫也登場後しばらく「このひと怖いもの書くなー」と尻込みしました。こういう怖さは長野作品ではお目にかかった覚えがない。思わず「ぎゃー」と心の中で叫ぶくらいの怖さ。使う単語のせいか、のんびしりした雰囲気の文章なのに、対象の描写には回りくどいところがない。直接的というか、時折生々しくすらある。
面白い。作品タイトルだけなら両手で足りないくらい知ってるのに、実物にお目にかかれたためしがないので、これからもチャンスがあれば逃さずゲットの方向で頑張ります。版元がサンリオなのには驚いたけど。
『新学期』河出書房新社。
読んだことあるような……と思いつつ借りてきたらやっぱり読んだことがあった……。別の話と微妙に混同していたせいらしいですが、それでもがっくり。本に関してだけは忘れないと思っていたのに、最近の記憶の衰え振りには戦慄を感じます。
史生の思うように行かないもどかしさが、以前読んだときよりも鮮明に感じられ「ぎりぎりぎり……」と怪しいひとりごとと共に読み進めました。兄との意思疎通の齟齬やらなにやらに身悶え。もごごご。椋と密の二人ともまた思うようにいかない。ぐぎぎぎぎ。史生と共に泣きを入れながら頑張る。ていうか泣いた。以前どういう感想を抱きながら読んだのかおぼえていないけど、少なくともここまで胸に迫るものはなかった。年とともに感傷的になったのかしらん。
それにしても長野作品は舞台になる街の設定や描写が絶妙ですね。実在の土地なのかそれとも架空の場所なのか、わからないしわからなくてもいい。それでいて嘘くさくないというのが不思議。適当に街なんか書いたらそれこそ虚構の街になるのになあ。確かにそこにあり、四季が過ぎ去る物語上の街なんてそうそうお目にかかれない。実在の土地でも紙っぺらのような描き方しか出来ない人間には魔法のように見えます。
谷山浩子の歌に登場する不思議な世界は、長野まゆみの小説に登場する不思議な世界とどこか共通した匂いを持っていると、常々思っていたのですが、多分これで同意を得るだけの説明はできるようになった……かも。
主人公の鳥子が、先輩の家に行って遭遇する変な出来事から、気がついたら追うものがスライドして、これ終わるのかしらん、と少ない残りページに眉根を寄せました。ところがスライドしていると思ったのは鳥子と読み手の私だけ。追うべきものはちゃんとその先にあり、彼女が考え違いをしていただけ――というところで終わらずに、何故にあの結末か。卵から出てきたのが少年かそれとも少女の分身かそれとも普通に卵の中身かによって、ストーリーが全く違うものに。「食べれば戻れる」という展開に「あ、ぽっぺん先生だ」とやたらほほえましいハッピーエンドを予想してしまったみじんこの負け。
しかし長野まゆみと似たような似ていないような。明確に似ていない点は、恐怖に関する描写。猫也登場後しばらく「このひと怖いもの書くなー」と尻込みしました。こういう怖さは長野作品ではお目にかかった覚えがない。思わず「ぎゃー」と心の中で叫ぶくらいの怖さ。使う単語のせいか、のんびしりした雰囲気の文章なのに、対象の描写には回りくどいところがない。直接的というか、時折生々しくすらある。
面白い。作品タイトルだけなら両手で足りないくらい知ってるのに、実物にお目にかかれたためしがないので、これからもチャンスがあれば逃さずゲットの方向で頑張ります。版元がサンリオなのには驚いたけど。
『新学期』河出書房新社。
読んだことあるような……と思いつつ借りてきたらやっぱり読んだことがあった……。別の話と微妙に混同していたせいらしいですが、それでもがっくり。本に関してだけは忘れないと思っていたのに、最近の記憶の衰え振りには戦慄を感じます。
史生の思うように行かないもどかしさが、以前読んだときよりも鮮明に感じられ「ぎりぎりぎり……」と怪しいひとりごとと共に読み進めました。兄との意思疎通の齟齬やらなにやらに身悶え。もごごご。椋と密の二人ともまた思うようにいかない。ぐぎぎぎぎ。史生と共に泣きを入れながら頑張る。ていうか泣いた。以前どういう感想を抱きながら読んだのかおぼえていないけど、少なくともここまで胸に迫るものはなかった。年とともに感傷的になったのかしらん。
それにしても長野作品は舞台になる街の設定や描写が絶妙ですね。実在の土地なのかそれとも架空の場所なのか、わからないしわからなくてもいい。それでいて嘘くさくないというのが不思議。適当に街なんか書いたらそれこそ虚構の街になるのになあ。確かにそこにあり、四季が過ぎ去る物語上の街なんてそうそうお目にかかれない。実在の土地でも紙っぺらのような描き方しか出来ない人間には魔法のように見えます。
長野まゆみは読んでいないものがかなり大量にあることが発覚。しかし「紺」「白昼」のシリーズは避けて通りたいので、次回図書館レッツゴー日までに調べておかねば。
今日は家主を連れて図書館へ行ったのですよ。DVDやCDなんかも貸し出ししてるよー、とコーナーへ案内。落語家の全集なんかを見て「これを全部聞いたら少しは文化人に近づけるだろうか」「うーん、難しい命題だ」とか言いつつ借りたわけですよ。で、車の中で早速聞いてみようとしたら。
なんと。
CDに直接分類用のシールが張ってあるんですけど。
ありえん。
っていうか危ないそれは。家主は「こんな危険なもの、可愛いうちの電子機器で再生できるかー!」って。というわけで聞かないまま返却することにしました。CDの表面にシール張るくらいなら、油性ペンで直接書いておけばいいのになー。
公的機関のすることってわからないですね。
『新学期』『上海少年』『東京少年』『超少年』『ユーモレスク』『コドモノクニ』『ぼくはこうして大人になる』『少年・卵』(最後のこれは谷山浩子。色々と本を書いているのは知っていたけど、実物にお目にかかったのはこれが初めて)。
今日は家主を連れて図書館へ行ったのですよ。DVDやCDなんかも貸し出ししてるよー、とコーナーへ案内。落語家の全集なんかを見て「これを全部聞いたら少しは文化人に近づけるだろうか」「うーん、難しい命題だ」とか言いつつ借りたわけですよ。で、車の中で早速聞いてみようとしたら。
なんと。
CDに直接分類用のシールが張ってあるんですけど。
ありえん。
っていうか危ないそれは。家主は「こんな危険なもの、可愛いうちの電子機器で再生できるかー!」って。というわけで聞かないまま返却することにしました。CDの表面にシール張るくらいなら、油性ペンで直接書いておけばいいのになー。
公的機関のすることってわからないですね。
『新学期』『上海少年』『東京少年』『超少年』『ユーモレスク』『コドモノクニ』『ぼくはこうして大人になる』『少年・卵』(最後のこれは谷山浩子。色々と本を書いているのは知っていたけど、実物にお目にかかったのはこれが初めて)。
『蚊トンボ白鬚の冒険』
2004年10月31日 未分類藤原伊織、講談社。
あ、後味悪ッ!
「冒険」という単語には「少年少女、常に大団円、活劇あるいはハリウッド」というイメージがある当方には衝撃の結末。主人公の頭に蚊トンボが飛び込んできた、というコミカルな導入部に対してわくわくしていた読者の期待を素晴らしく裏切ってくれたな藤原ー!(名字だけだと誰だかわからない辺り、外国の有名人みたい)。
主人公は世を拗ねてるのだか老成してるのだか単に偏屈なのかわからないけれど、最近では珍しいとても真っ当な青年。職業は配管工。水道周りの職人さん、の見習い。その彼の頭に突撃かました蚊トンボとの出会いから始まる奇妙奇天烈な物語。
頭の中に住みついた蚊トンボが、何故か言葉を操り筋肉を操る非日常。しかも蚊トンボ記憶力も目もいい、性格は極楽トンボ。隣の部屋の住人がヤクザに絡まれているのを助けたらあとはジェットコースターで二人の冒険が始まるのでした。
――という導入部に対してあのラストはなんだ?!コミカルな主人公達に対してやけにサイコな敵役や、隣人のデイトレーダーが繰り広げるインテリな演説と何かちぐはぐ。もっと方向性を絞り込んでくれ。そして理解できない薀蓄も削ってくれ。ああいう方向性で出発した作品内で女性に対する暴力はいかん。親方が感動的に独立の話をしてくれたじゃん!こういう場合は途中の伏線通り蚊トンボがお亡くなりになって、少年は辛い別れを乗り越えて一回り大きくなるんだよ!二人とも××××ておいて何が「冒険」か!
「冒険」と言う言葉から「予定調和でもいいから悪は滅びて正義は勝つハッピーエンドで明るい未来」という連想をする方にはまったくお勧めできない。お約束破りが大好きな方には全力でお勧め。ストーリの一貫した流れよりも、内容の勢いや細部の充実を重視する人もどうぞ。物語が妙にアンバランスで綱渡りなのは故意犯なのかしら。こういうアンバランス、綱渡り、ちぐはぐ、奇妙な感触を好む人にはたまらないかもしれない。
それにしても「巻き込まれ型主人公」って見てて歯がゆいですね。特に女性陣が押せ押せだった場合とか。
あ、後味悪ッ!
「冒険」という単語には「少年少女、常に大団円、活劇あるいはハリウッド」というイメージがある当方には衝撃の結末。主人公の頭に蚊トンボが飛び込んできた、というコミカルな導入部に対してわくわくしていた読者の期待を素晴らしく裏切ってくれたな藤原ー!(名字だけだと誰だかわからない辺り、外国の有名人みたい)。
主人公は世を拗ねてるのだか老成してるのだか単に偏屈なのかわからないけれど、最近では珍しいとても真っ当な青年。職業は配管工。水道周りの職人さん、の見習い。その彼の頭に突撃かました蚊トンボとの出会いから始まる奇妙奇天烈な物語。
頭の中に住みついた蚊トンボが、何故か言葉を操り筋肉を操る非日常。しかも蚊トンボ記憶力も目もいい、性格は極楽トンボ。隣の部屋の住人がヤクザに絡まれているのを助けたらあとはジェットコースターで二人の冒険が始まるのでした。
――という導入部に対してあのラストはなんだ?!コミカルな主人公達に対してやけにサイコな敵役や、隣人のデイトレーダーが繰り広げるインテリな演説と何かちぐはぐ。もっと方向性を絞り込んでくれ。そして理解できない薀蓄も削ってくれ。ああいう方向性で出発した作品内で女性に対する暴力はいかん。親方が感動的に独立の話をしてくれたじゃん!こういう場合は途中の伏線通り蚊トンボがお亡くなりになって、少年は辛い別れを乗り越えて一回り大きくなるんだよ!二人とも××××ておいて何が「冒険」か!
「冒険」と言う言葉から「予定調和でもいいから悪は滅びて正義は勝つハッピーエンドで明るい未来」という連想をする方にはまったくお勧めできない。お約束破りが大好きな方には全力でお勧め。ストーリの一貫した流れよりも、内容の勢いや細部の充実を重視する人もどうぞ。物語が妙にアンバランスで綱渡りなのは故意犯なのかしら。こういうアンバランス、綱渡り、ちぐはぐ、奇妙な感触を好む人にはたまらないかもしれない。
それにしても「巻き込まれ型主人公」って見てて歯がゆいですね。特に女性陣が押せ押せだった場合とか。
『エンジェル・ハウリング』
2004年10月29日 未分類10巻、ついに完結。秋田禎信、富士見ファンタジア文庫。
数々の謎を置き去りにしたまま完結してくれやがりまして、何がわからなくて何がわかったのかもわからない私の理解力の低さを笑わば笑え、る・たった♪
フリウが呼んだ「最強」には意表をつかれました。ああ、確かに、確かにあれは最強だ。ものっそい納得。あと、今更何しに出てきた新キャラしかも超重要人物。オニキス集団とか普通に怖いし。硝化した砂の津波は洒落にならんですよ。
彼女がついに居場所を見つけて、ここからはじめるんだと笑顔で花まで歩くことを決意したのは素敵なことだと思います。表紙の花が作中の大事なところを担っていたのだなあ。最奥に向けて歩いているときに、今後の話をされて「ええ?!」ってなってる辺り、微妙に抜けてるんだなー、とか、そうなればいいと考えてもいなかったのかなー、とか、きっとここから「その後」のことを意識したのかもしれないとか、よくわからん妄想ぐるぐる。
それにしても職業作家としての秋田は素晴らしいですよ。最近ライトノベルを新規に買わなくなったんですが、シリーズ物だけは完結まで追いかけてます。で、未だに追いかけてる作家ってみんな極道なんだよなー。やたら寡作だったり、シリーズぽこぽこ量産して中断しまくりだったり。頼むから死ぬまでには完結してくれと思う作家が多い中、大体の計画通りに10冊で完結させた秋田禎信は本当に凄い。……や、もしかしてこれが当たり前のなのかもしれないけれども、最近延期が当たり前の18禁パソゲばっかり追いかけてるのでなんだかやたらに感激しました。「天銃」はついに年越しだよもう……(泣)。
数々の謎を置き去りにしたまま完結してくれやがりまして、何がわからなくて何がわかったのかもわからない私の理解力の低さを笑わば笑え、る・たった♪
フリウが呼んだ「最強」には意表をつかれました。ああ、確かに、確かにあれは最強だ。ものっそい納得。あと、今更何しに出てきた新キャラしかも超重要人物。オニキス集団とか普通に怖いし。硝化した砂の津波は洒落にならんですよ。
彼女がついに居場所を見つけて、ここからはじめるんだと笑顔で花まで歩くことを決意したのは素敵なことだと思います。表紙の花が作中の大事なところを担っていたのだなあ。最奥に向けて歩いているときに、今後の話をされて「ええ?!」ってなってる辺り、微妙に抜けてるんだなー、とか、そうなればいいと考えてもいなかったのかなー、とか、きっとここから「その後」のことを意識したのかもしれないとか、よくわからん妄想ぐるぐる。
それにしても職業作家としての秋田は素晴らしいですよ。最近ライトノベルを新規に買わなくなったんですが、シリーズ物だけは完結まで追いかけてます。で、未だに追いかけてる作家ってみんな極道なんだよなー。やたら寡作だったり、シリーズぽこぽこ量産して中断しまくりだったり。頼むから死ぬまでには完結してくれと思う作家が多い中、大体の計画通りに10冊で完結させた秋田禎信は本当に凄い。……や、もしかしてこれが当たり前のなのかもしれないけれども、最近延期が当たり前の18禁パソゲばっかり追いかけてるのでなんだかやたらに感激しました。「天銃」はついに年越しだよもう……(泣)。
ないとめあびふぉあくりすます。(デジタルリマスタリング版)
2004年10月28日 未分類を、見てきました。いやー、CGは動きが美しすぎていやー!(泣)。クレイアニメみたいな、ひとこまごとに動いてるのがわかるような、かくかくした感じが好きだったのにー。まー、内容自体は相変わらずのキュート&ブラックでときめきましたが。
一本目の妄想少年に笑った。なんてブラックなの!少年の視点と、割って入ってくる母の視点のもうありえないほどの落差が素晴らしいときめきを生んでいました。監禁されて気が狂ったー、といってる少年の部屋に入ってきて、天気がいいから外に遊びに行きなさいって、……。
フラン犬はビデオで同時収録されてるのを見たので特にコメントなし。人間の身勝手さを皮肉るブラックな視点がたまらない。しかし少年、本を読んだだけで人工生命の創造とは、天才にもほどがある(笑)。
本日ついに『エンジェル・ハウリング10』と『月姫読本Plus Period』ゲット。……読本ぶ厚っ!
一本目の妄想少年に笑った。なんてブラックなの!少年の視点と、割って入ってくる母の視点のもうありえないほどの落差が素晴らしいときめきを生んでいました。監禁されて気が狂ったー、といってる少年の部屋に入ってきて、天気がいいから外に遊びに行きなさいって、……。
フラン犬はビデオで同時収録されてるのを見たので特にコメントなし。人間の身勝手さを皮肉るブラックな視点がたまらない。しかし少年、本を読んだだけで人工生命の創造とは、天才にもほどがある(笑)。
本日ついに『エンジェル・ハウリング10』と『月姫読本Plus Period』ゲット。……読本ぶ厚っ!
『禁じられた楽園』恩田陸、徳間書店。
読んでる間中がたがた怯えっぱなしでした。背中が寒かった……。怖いものは好きだけど、おびやかされるのは大嫌いです。『月の裏側』以来の恩田ホラー。ホラーと言うくくりは正しくないんですが、怖いのは間違いない。
相変わらず細部がノリノリなんですよー。芸術家のみなさんが素敵。確かに量と速度を求められたときに真価がわかるよなー、とかジャンルを越えて確執する芸術家の根性にカンパイ。伯父さまのプライベートミュージアムには是非とも招待されたい。体感サウンドノベルの登場人物になったつもりで死ぬほど怯えたい。そしてうっかり転落してみたい。残念ながらトラウマ体験はないのでぬぼーっと通り過ぎるだけになる予感がひしひしとするけど。伯父さまの個展も観に行ってみたいなー。一畳の幅しかない細長い家とか、階段しかない家とか、写真集とかカタログとかあったら絶対買う。
で。ラスト、眼鏡の淳さん、姉の香織さん、ショートカットの娘律子さん、弟は確認できたけど、響一さん貴方はいずこに……。夏海さんと和繁さん、あなたがたもだ。
そして結末が弱いと評されることの多い恩田陸にしては珍しく、かっきり終わってますな。普通に読んだところ、伏線の取りこぼしとかなかったし。実はあの人が、この人が、目的が、正体が、謎が、というのも見事なもんです。あー、そうだ、橘さんの弟とか、首なし死体の皆さんは何がどうしてそうなったのかわからないけど、とりあえず本筋に影響はないので見なかった振り。
「はきだめに鶴のポスター」など、好感の持てるシーンがさりげなくちりばめられているのもいい感じ。
階段が一番大変そうだけど、一番行ってみたい。見ただけで挫折して帰るかも知れないけど(笑)。
文庫化に期待大。
ふふふ、全く関係ないですが、あまりに近所の本屋に置いていないので『エンジェル・ハウリング』の10巻はesで注文してしまいました。そして『月姫読本』がただの画集にあらず!という情報をゲットしたので一緒に注文しました。わーい、早く来ないかなー。
読んでる間中がたがた怯えっぱなしでした。背中が寒かった……。怖いものは好きだけど、おびやかされるのは大嫌いです。『月の裏側』以来の恩田ホラー。ホラーと言うくくりは正しくないんですが、怖いのは間違いない。
相変わらず細部がノリノリなんですよー。芸術家のみなさんが素敵。確かに量と速度を求められたときに真価がわかるよなー、とかジャンルを越えて確執する芸術家の根性にカンパイ。伯父さまのプライベートミュージアムには是非とも招待されたい。体感サウンドノベルの登場人物になったつもりで死ぬほど怯えたい。そしてうっかり転落してみたい。残念ながらトラウマ体験はないのでぬぼーっと通り過ぎるだけになる予感がひしひしとするけど。伯父さまの個展も観に行ってみたいなー。一畳の幅しかない細長い家とか、階段しかない家とか、写真集とかカタログとかあったら絶対買う。
で。ラスト、眼鏡の淳さん、姉の香織さん、ショートカットの娘律子さん、弟は確認できたけど、響一さん貴方はいずこに……。夏海さんと和繁さん、あなたがたもだ。
そして結末が弱いと評されることの多い恩田陸にしては珍しく、かっきり終わってますな。普通に読んだところ、伏線の取りこぼしとかなかったし。実はあの人が、この人が、目的が、正体が、謎が、というのも見事なもんです。あー、そうだ、橘さんの弟とか、首なし死体の皆さんは何がどうしてそうなったのかわからないけど、とりあえず本筋に影響はないので見なかった振り。
「はきだめに鶴のポスター」など、好感の持てるシーンがさりげなくちりばめられているのもいい感じ。
階段が一番大変そうだけど、一番行ってみたい。見ただけで挫折して帰るかも知れないけど(笑)。
文庫化に期待大。
ふふふ、全く関係ないですが、あまりに近所の本屋に置いていないので『エンジェル・ハウリング』の10巻はesで注文してしまいました。そして『月姫読本』がただの画集にあらず!という情報をゲットしたので一緒に注文しました。わーい、早く来ないかなー。
ちょっと球形(ああ、らしい誤変換……)休憩、恩田陸。新潮社だ。てっきり講談社かと思ってた。短編集。
「春よ、こい」
ル、ループネタは勘弁してくださいといった矢先にループネタ。成功するまで何度も同じシーンを繰り返す、だけに終わらないのが恩田陸。成功するまで繰り返すだけではなく、失敗した先のことも絡めて書いてあるのには唸った。歯切れ良く爽快。
「茶色の小壜」
これ、何かと繋がってるって話を耳にしたんだけどなー。なんだろうなー。缶の中に何が入っていたのかできれば見せて欲しかった(笑)。
「イサオ・オサリヴァンを捜して」
あとがきによれば長編のプロローグ。これで完結してるように見えるのは、作者があれだから……なのか。
「睡蓮」
理瀬ー!『百合骨』読んだ直後なのですーっと理解できました。ポニーテールの彼女がこんなところに。しかし、これ『麦海』からシリーズをひとつも読んでいない人にはどういう風に見えるんだろう。予備知識/先入観なしで読んでみたかった。「源氏物語って知ってるか?」の意味が二回ともさっぱり解らなかった阿呆は私……。
「ある映画の記憶」
一瞬、「『不安な童話』の人じゃないだろうな?」と身構えた。警戒しすぎ。それにしてもどうして恩田陸の作中作はこんなに魅力的なんだろう。今回は実在の映画書籍らしいですが、こういうのは「どういうものなんだろうなー」と一人楽しく想像しているのが一番楽しかったりします。ラストの母に対する疑問が矢張り解けず……(呼びかけもしたんだかどうだかわからない……)。
「ピクニックの準備」
『夜のピクニック』だー!と思ったら本当に予告編なのですね……。新世紀新年号のために用意して没ったってことは、本編まで実に3年半かー(多分)。歩くのは好きだけど走るのは嫌いです。
「国境の南」
しりあるきらーばんざい。茶色の小壜とシリーズというのは非常に頷ける。いっそこのシリーズだけで一冊出してくれまいか。
「オデュッセイア」
こころこ可愛い!可愛い!ラヴィ!
あれ?そういえば最近、海を移動する島の話を読んだような……。そういえばそのシリーズでは移動する要塞が出てきたな、以前。
「図書室の海」
夏さんは大人になったらいやなひとになりました(嘘)。そういえば春、秋共に主人公(級の話)をやってるのに夏さんだけは主人公で一冊もってないですね。頑張れ、超頑張れ!
「ノスタルジア」
夜中のテレビの話が洒落にならん怖さですよ。でも、語り手の言う解釈をするとえらく和む。この落差には感じ入った。同じことを同じ言葉で語っても、こんなに違う事柄があるのか。メインの二人の関係がおかしいなー、友人のアドバイスが素敵。天敵なんて今までの人生であったことがないわ?多分。できればあいたくないし。
早く文庫化してくださいよー。
「春よ、こい」
ル、ループネタは勘弁してくださいといった矢先にループネタ。成功するまで何度も同じシーンを繰り返す、だけに終わらないのが恩田陸。成功するまで繰り返すだけではなく、失敗した先のことも絡めて書いてあるのには唸った。歯切れ良く爽快。
「茶色の小壜」
これ、何かと繋がってるって話を耳にしたんだけどなー。なんだろうなー。缶の中に何が入っていたのかできれば見せて欲しかった(笑)。
「イサオ・オサリヴァンを捜して」
あとがきによれば長編のプロローグ。これで完結してるように見えるのは、作者があれだから……なのか。
「睡蓮」
理瀬ー!『百合骨』読んだ直後なのですーっと理解できました。ポニーテールの彼女がこんなところに。しかし、これ『麦海』からシリーズをひとつも読んでいない人にはどういう風に見えるんだろう。予備知識/先入観なしで読んでみたかった。「源氏物語って知ってるか?」の意味が二回ともさっぱり解らなかった阿呆は私……。
「ある映画の記憶」
一瞬、「『不安な童話』の人じゃないだろうな?」と身構えた。警戒しすぎ。それにしてもどうして恩田陸の作中作はこんなに魅力的なんだろう。今回は実在の映画書籍らしいですが、こういうのは「どういうものなんだろうなー」と一人楽しく想像しているのが一番楽しかったりします。ラストの母に対する疑問が矢張り解けず……(呼びかけもしたんだかどうだかわからない……)。
「ピクニックの準備」
『夜のピクニック』だー!と思ったら本当に予告編なのですね……。新世紀新年号のために用意して没ったってことは、本編まで実に3年半かー(多分)。歩くのは好きだけど走るのは嫌いです。
「国境の南」
しりあるきらーばんざい。茶色の小壜とシリーズというのは非常に頷ける。いっそこのシリーズだけで一冊出してくれまいか。
「オデュッセイア」
こころこ可愛い!可愛い!ラヴィ!
あれ?そういえば最近、海を移動する島の話を読んだような……。そういえばそのシリーズでは移動する要塞が出てきたな、以前。
「図書室の海」
夏さんは大人になったらいやなひとになりました(嘘)。そういえば春、秋共に主人公(級の話)をやってるのに夏さんだけは主人公で一冊もってないですね。頑張れ、超頑張れ!
「ノスタルジア」
夜中のテレビの話が洒落にならん怖さですよ。でも、語り手の言う解釈をするとえらく和む。この落差には感じ入った。同じことを同じ言葉で語っても、こんなに違う事柄があるのか。メインの二人の関係がおかしいなー、友人のアドバイスが素敵。天敵なんて今までの人生であったことがないわ?多分。できればあいたくないし。
早く文庫化してくださいよー。